政府は、昨日19日、国外退去命令を受けた外国人の入館施設での長期収容解消に向け、入管難民法改正案を閣議決定しました。
現在は、収容を解く仕組みは「仮放免」のみですが、一時的に社会で生活できる「管理措置」を新設して、逃亡した場合は罰則を科すことにしました。
また、難民認定基準は満たさなくても、母国の紛争で帰国できないといった外国人の在留を、難民に準じる「補完的保護対象者」として認める制度も創設します。
しかし、こうした改正は弥縫策で、根本的に、難民認定が厳しすぎ、先進国の中でも、日本の認定の少なさは際立っています。
また、取り締まることと、保護することを、ともに入管でしているために、人権が無視されることが起き続けている、とずっと指摘してきているのに改善されていません。
不法滞在者は、2020年1月時点で、約8万2千人。退去命令で、年間約1万人が帰国しています。
難民認定申請中は、強制送還が停止されるため、その目的で申請を繰り返すなどの「送還忌避者」は約3千人にのぼります。
この点については、改正案で、申請は2回まで、としています。
2019年6月には、長期収容に抗議したハンガーストライキ中に、ナイジェリア人の男性が餓死することも起きています。
弁護士の有志は、この改正案について「問題解決にはつながらず、難民申請者の命が危険にさらされる恐れが高い」とする反対声明を出しました。
入管法の改正については、野党が共同で対案を国会に提出しています。
難民認定のための独立機関を置くことや、収容の判断に裁判官が関わること、期間の上限を定めることなど、これまで議論されてきたことが盛り込まれています。
国会では、野党案も含めて、しっかり議論し、国際社会から日本は人権を守っている、と認められる制度に変えていってもらいたいと思います。