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ピアノで「弾いてみた」動画が火付け役? コロナ禍で好調の背景をヤマハミュージックジャパンに聞いた

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昨年から続くコロナ禍の中、感染防止対策として緊急事態宣言が発令され、いわゆる「巣ごもり」を余儀なくされた多くの人は、どのようにおうち時間を過ごしているのだろうか。

ここ1年でブームとなった、巣ごもり時間の過ごし方は無数にある。例えば、Amazon Prime VideoやNetflixで映画鑑賞、PS5やニンテンドースイッチでゲーム、パン作りに挑戦したり、魚を一匹捌いてみたり、密にならない場所でのアウトドアなどさまざまだ。

これを機に、何か楽器を練習してみようという人も多くいたようで、楽器の売上が好調だという声もあった。「楽器を弾けると人生が豊かになる」といわれるように、音楽を奏でることで心を癒し、生活に楽しさをプラスできると考える人もいたのだろうか。

今回は、数ある楽器の中でもコロナ禍で人気を集めたピアノへの反響について、株式会社ヤマハミュージックジャパン鍵盤営業部ピアノ・EKBマーケティング課の西井浩史さん、事業企画部カスタマーサクセス課の山下有美子さんに話を聞いた。

巣ごもり需要でサイレントピアノの販売比率が増加

BLOGOS編集部

コロナ禍でピアノに興味を持つ人が増え、購入から到着まで数カ月待つ状況だったという声も耳にしたが、実際にはピアノ販売への反響はどれくらいあったのだろうか。

同社でマーケティングを担当する西井さんは、「コロナ禍でピアノのお客様人口は、増加したと実感しています。特に、気軽に始められる電子ピアノの需要が増えました。初めてピアノを始められる方はもちろんですが、以前ピアノをやっていた方やシニアの方も多くいらしたのではないかと思います」と反響を語る。

前回の緊急事態宣言時や、10万円の特別給付金支給があった時期には、オンラインストアからの注文が増え、ポータブルタイプの電子ピアノなど10万円以下の低価格帯ピアノの売上に大きな伸びがあったという。また、アコースティックピアノに消音機能がついた「サイレントピアノ」の売上も好調だった。

「外出が制限され、テレワークで在宅人数も増える中、音漏れなどを気にせずヘッドホンを使って演奏できる点でサイレントピアノの需要が伸びたのだと考えています。これはコロナ禍の反響として、印象的でした。特に、ご自宅にあるピアノをサイレントピアノにする後付けユニットの販売が好調になっています」。

一方、ピアノ需要が上昇する中、購入から納品まで時間を要する状況だという話もあるが、実際にはどのような背景があるのだろうか。

「コロナの影響で海外の製造工場が影響を受けています。そのため、多くの注文をいただいても製造が追いつかず、現在も一部の機種でそのような状態が続いており、少々お待ちいただいている状況です」。

YouTubeからピアノに興味を持つ人が増えたコロナ禍

BLOGOS編集部

最近はYouTubeでピアノ練習法に関する初心者向けの動画が投稿されていたり、オンラインによるレッスンが広がりを見せたこともあり、在宅でも効率的に練習する手段が充実している。こういったことが、初心者やピアノを再開する人の背中を押したのではないか。

YouTubeに投稿されている動画でいえば、ピアノ自慢のYouTuberによる「弾いてみた」動画も人気だ。

ピアノをもっと身近に感じて楽しんでもらうことを目指したプロジェクト「LovePiano」を同社で担当する山下さんは、「ここ1年でピアノ系YouTuberへの注目度が高まっています。チャンネル登録者数を2倍、3倍と伸ばしている方もいて、非常に伸びてきています」と、昨年からのムーブメントを振り返る。

駅などに設置され、誰でも気軽に演奏することができる「ストリートピアノ」で、ヒット曲を演奏する動画が人気を博している。

コロナ禍の特徴的な変化として、山下さんはストリートピアノでのピアノ演奏に興味を持つ年齢層の幅が広がったことだと話す。

「これまでは若年層が中心でしたが、幅広い年齢層の方に見ていただけるようになった感触はあります。これまでYouTubeを見てこなかった層がこの時期に動画を視聴され、力強く演奏する人を応援したい気持ちになったのではないかと思います」。

チャンネル登録者数がとても伸びているピアノ系YouTuberの中でも、いま特に注目されてるのがハラミちゃんだ。

ポップスピアニストという肩書きで活動し、チャンネル登録者約144万人のハラミちゃんは、歌手の広瀬香美とコラボした動画が1120万回再生、アニメ「鬼滅の刃」の楽曲メドレーを演奏した動画が1326万回再生されるなど、非常に多く視聴されている(登録者数、再生回数は2月20日現在)。

以降、ハラミちゃんは音楽番組やテレビCMに出演するなどマルチに活躍し、ピアノ動画をきっかけに活動の幅を大きく広げている。こういった躍進を見るに、巣ごもり時間の増加よって、再びピアノに注目する人が多くいたであろうことがうかがえる。

ヤマハは2017年から、ピアノをより身近に感じてもらう「LovePiano」プロジェクトに取り組んでいる。その一環として、誰でも自由に弾けるピアノをさまざまなオープンスペースに期間限定で設置する活動を展開。高尚なイメージを持たれがちなピアノに対するハードルを下げ、身近な存在に感じてもらいたいという思いがスタートだったという。

ショッピングモールに設置された「LovePiano」を演奏する様子(ヤマハミュージックジャパン提供)

「これまでピアノに触れる機会が少なかった方も、気軽に演奏できる場所を作りたいと思って始めました。しかし、現在では弾く人だけではなく、聴きに来る人がとても多くなり、関心の高まりを感じています。いまの状況ではなかなか直接聴きに来ることが難しくもありますが、そういった関心の高まりから動画を視聴する方が増えているのだと思います」。

また、公式Twitterで前年と比べてピアノへの接し方が変化したかどうかのアンケートを取ったところ、1851回答のうち、「ピアノを再開しました」が約33%、「新たにピアノを始めました」が約11%という結果に。実に44%の人が、ここ最近でピアノを始めていたのだ。

昨年はピアノの練習を始めたり、動画で興味を持った人が「生で聞いてみたい」と思い立ち、ストリートピアノに足を運ぶこともあったようだ。山下さんは、「コロナが落ち着いたら、ぜひまたLovePianoで演奏を楽しんでほしい」と呼びかけた。

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