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米eコマース界で幅を利かす「プライベート・セール・サイト」まとめ

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今回は、ここ数年、米国のeコマース界でトレンドになっている「プライベート・セール・サイト」について取り上げる。

「プライベート・セール・サイト」とは

プライベート・セール・サイトには、一般に次の特徴がある。

  1. 会員制/招待制

    誰でもリクエストすれば会員になれるが、会員にならないと、サービスを利用したり、サイトでの商品の提供価格を確認することができない。

    プライベート・セール・サイトは提携しているブランドの商品を販売していることが一般的である。会員制を取る理由の1つは、提携先のブランドが、そのブランドの商品の価格を価格比較サイトなどで比較されるのを避けたがっていることが挙げられる。

    会員制ウェブサイトでは、会員のみに表示するという形式を取ることで、ユーザーの好奇心を刺激すると同時に、商品が検索エンジンで発見されないようにブランドに配慮しているのだ。

    また、会員からの招待状を必要とする「招待制」は、会員になっている友人からの招待メールは企業が送るメールよりも開封率が高く、利用者の増加につながり易いことを利用したシステムである。

  2. 高級ブランド品を提供

    高級ブランドの多く、特にファッションブランドは、不況で小売店が仕入れの量を大幅に引き下げたため、在庫を過剰に抱えている。そのため、高級ブランドは在庫を処分するチャンスとして、プライベート・セール・サイトに商品を供給するようになった。

    ブランド側には、「過剰在庫」とサイト名で宣言しているOverstock.comのようなECサイトに商品が流れるよりも、会員制のプライベート・セール・サイトで販売される方がブランドのイメージに傷がつかないという思惑がある。

  3. フラッシュセール(時間限定セール)
    提携した高級ブランドからの商品を会員に大幅にディスカウントで販売する。会員の購買意欲や衝動買いを刺激するために、毎日一定時刻にセールを開始し、商品が売り切れるか、制限時間が来たらセールを中止する。
プライベート・セール・サイトの実例

Gilt

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Giltは、プライベート・セールでラグジュアリー・グッズを最大60%オフで販売する、ニューヨークを本拠地とするECサイト。このサイトを運営するGilt Groupeは「プライベート・セール・サイト」というジャンルの牽引者的存在であり、「毎日がスペシャルセール」と銘打って日本にも進出している。

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他のプライベート・セール・サイトとの差別化のために、Giltでは魅力的な商品画像を掲載することに非常に力を入れ、ファッション雑誌のようにモデルを使って自社でオリジナルの写真を撮影している。「ディスカウントストア」ではなく、「ハイエンドのファッション系ストア」と見られることが、顧客獲得だけでなく、提携ブランドとの関係維持にもプラスになる。

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   (Gilt商品ページで登場するモデルをメークアップ中)

One Kings Lane

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One Kings Laneは2009年、サンフランシスコで2人の若い女性起業家がインテリアとライフスタイルをテーマに創設した。

創設時の米国は不況まっただ中だったため、起業資金の獲得には苦労したが、オープン後は「有名デザイナーのホームグッズが定価の最大70%オフで手に入る」とあって、すぐに人気となり、3年で会員数は300万人に達した。

しかし、定価より安いとはいっても、かなり高価な商品も多い。

以下はこのサイトで過去に販売された商品の例だ。

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左下の画像は、イギリス製の洗濯物かごのビンテージ物だそうだが、549ドルもする。一般の小売店でこの商品がこの価格で売られていたとしても、完売するとは思えないが、One Kings Laneでは売り切れている。

バーゲン目当てだったはずの顧客に思いがけない出費をさせるのは「フラッシュセール」の威力だ。One Kings Laneでは、さらにコンテンツ面での充実やサイト全体の洗練された雰囲気も手伝って購入価格を上げることに成功している。

コンテンツ面で特筆すべき点は、YouTubeの専用チャンネルだろう。インテリアのコーディネート方法やライフスタイル全般について提言し、顧客層の拡大に一役買っている。

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Zulily

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2010年1月にシアトルで開設されたZulilyは、乳幼児の衣服やマタニティ衣料などをフラッシュセールで会員に販売し、急速に成長した。

YouTubeにアップされたテレビのローカル番組では、Zulilyの利用者である若い母親が「大都市でないとアクセスできない高級なデザイナーブランドの子供服がディスカウント価格で手に入る」とZulilyを絶賛し、「すぐに売り切れになるから、気に入った商品はすぐに購入した方がよい」と視聴者に勧めている。

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「プライベート・セール・サイト」は大人向けのブランド商品を扱うサイトが多かったが、Zulilyの創設者たちは、「子供にもデザイナーブランドの服を着せたいと願うお洒落な若い母親」がいることに目をつけ、彼女らをターゲットにしたことが、成功の大きな要因だ。

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Zulilyのビジネスモデルの特徴は、セールが終了して会員からの注文件数が確定するまで、商品の仕入れをしないことだ。このため、Zulilyは在庫の始末に苦労するというリスクがない。

だが最近、同じ層をターゲットとしたTostyが躍進しているので、今後はさらに工夫が要求されるだろう。

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「プライベート・セール・サイト」を始めたい人へ贈る3つのポイント

  • ニッチを狙う
    今回紹介した3サイトの内、デザイナー家具・雑貨のOne Kings Laneと、ベビー用品のZulilyはかなり新しいECサイトだ。どちらにも共通して言えるのはターゲット層を絞り込んだニッチマーケットを狙っているという点だ。プライベートセールというビジネスモデル自体はすでに革新性を失っている。あなたはターゲットとするマーケットで唯一性、独自性を打ち出して行かなければならない。
  • ソーシャル・ネットワークを活用する
    プライベートセールをはじめるなら、前述のとおり、検索エンジンからの来店はあまり期待できない。そこで重要になるのはソーシャル・ネットワークとの連携だ。シェアされやすいコンテンツ(おそらく動画や画像といったビジュアルとなるだろう)を用意し続けよう。マスメディアも使いこなすことができれば用意したコンテンツを一気にシェアさせるきっかけとなるかもしれない。
  • 顧客との付き合いを大切にする
    プライベート・セール・サイトは商品情報を表に出すことができないため、通常のECサイトに比べて新規の顧客を獲得するハードルは高い。だから、一度でも購入してくれた顧客との付き合いは大事にしないといけない。「プライベート」であることを活用して、より顧客のニーズに応えていく努力をしよう。

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