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ゼロ金利下の量的金融緩和でデフレからマイルド・インフレに転換できるか?

ゼロ金利下の量的金融緩和でデフレからマイルド・インフレに転換できるか?

この点は、経済学者、エコノミストも意見が分かれるが、要するに、企業、家計、投資家の期待を金融政策でデフレ期待からインフレ期待に転換できるかどうかが問題。
ところが「期待」というものは実に操作しにくい。不連続な変化をするものだからね。

日銀はインフレ期待が強くなり過ぎた時に(インフレ期待の暴走)国債価格が暴落(利回り急騰)することを恐れている。だから量的金融緩和の段階的な拡大という慎重な政策をとっているのだけど、それが慎重過ぎて、市場参加者の期待修正にインパクトを与えることができないでいる、と私は理解している。

国債価格急落で損失するのは、当然国債を大量保有している金融機関で、筆頭は郵貯銀行、日銀自身、その他銀行、生保など。

メガバンクは保有する国債の期間を2〜3年物を中心にすることで、金利リスクを抑制しているようだが(必然的に利回りは低い)、郵貯銀行は国債が資産の9割前後で、その利息収入がほとんど唯一の収益源だから中長期債の比率が高い。その結果、インフレ転換で国債価格が急落すれば莫大な損失を被る。

日銀自身が金利リスクが怖くて長期国債はこれ以上買いたがっていない。だから、レポ取引や銀行への融資の形を増やしているんですね。この点でETFやREITも多少買っているのは、決して口に出さないが、インフレになった時に実物資産の裏付けがあるETFやREIT価格が上昇して、債券の評価損を相殺してくれるという読みが、実は日銀の秘められた動機だと思う。

だったそれを口外すればいいのに・・・日銀総裁が「かならず2%程度のインフレにしてみせる。その時に生じる債券損をヘッジするために実物資産も買うんだ!」と言い放てば、インパクトあるだろう。

リスクはインパクトが効きすぎるかもしれないことだね。ちょうど1985年のプラザ合意のように協調ドル売り介入の効果が効きすぎて、ドル下落が止まらなくなったことを想起する。世間の期待の操作というものは、実に難しい・・・・

また軽度のインフレになったからと言って、景気回復が無条件で保証されるわけでもない。ユーロ圏は現に2%程度のインフレですが、構造不況的な様相になっていますからね。もっとも軽度のインフレの方が様々な問題が長期的に解決しやすくなるのも事実。デフレ=逆風で走るか、軽度のインフレ=追い風で走るかの違いでしょうか。いずれの場合も走らないことには前に進まないからね。

本日12月6日の日経新聞「経済教室」伊藤隆敏教授

引用:
「数年後の製品価格や不動産価格が現在よりも下落すると予測すれば、いくら借入金利がゼロ%でも、企業は工場建設をためらい、家計は住宅投資をためらう。その結果、投資や消費が停滞し、経済成長率は低くなる。そうすると物価が下がり、株価も不動産価格も下落する。こうして最初の物価下落の予測が自己実現してしまう。15年間にわたる物価、不動産価格、株価の下落は自己実現的なデフレスパイラルの結果とも考えられる。

これまで日銀は自己実現的なデフレスパイラルの存在を認めてこなかったし、量的緩和の効果についても極めて懐疑的だった。企業や家計の将来の物価予測(インフレ期待)に働きかける政策についても試行してこなかったといってよい。」

12月5日ロイター、インタビュー記事、竹中平蔵教授

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8B402S20121205?rpc=131&pageNumber=2&virtualBrandChannel=14068

引用:
「政策は日銀が自主的に決めるべきだが、オーソドックスにひたすら市場から国債を買えばよい。日銀は企業に対する融資など変化球ばかり投げているが、日本には政策金融公庫があり、日銀はマクロ金融政策に特化すべき。国債買い入れを紙幣の発行残高に抑える日銀券ルールは意味がなく、自主ルールなので自主的に変えればよい」

2008年3月に書いた私の論考
http://masaharu-takenaka.jp/data/200803.pdf 「金融政策のデッド・ゾーン、デフレとの戦い」

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