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アングル:TikTok米広告事業が好調、トランプ氏の脅威去る


[16日 ロイター] - トランプ前米政権から中国政府の手先と非難された中国短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」にとって、昨年7月時点で広告事業の先行きは厳しそうだった。

TikTok幹部は広告主に対し、米国で事業展開を禁じられてしまった場合には資金を返済するとまで申し出たが、それでも大手ブランドの広告主は手を引っ込めた。

しかし、11月の米大統領選でのバイデン氏勝利が明らかになると、すべては様変わりした。

<トランプ氏の政策は「人目を惹く大芝居」>

「TikTokへの関心が一気に爆発した」と話すのは、広告代理店メディアハブ・ワールドワイドのバイスプレジデント、エリカ・パトリック氏。今後半年間で顧客企業からの広告支出がさらに大幅に拡大すると予想する。

広告代理店幹部3人がロイターに明らかにしたところでは、トランプ前政権が求めたTikTok米国事業の売却をバイデン政権が棚上げしたことで、スポンサー企業が一斉にTikTokに回帰。広告キャンペーンの予約を入れたり、顧客にアピールする新たな手法を試みたりしている。

パトリック氏は、前政権下でのTikTokと国家安全保障を巡る騒ぎは「人目を引くための大芝居」の側面が強かったようだと指摘。広告主も実は深刻に懸念してはいなかったと解説する。

ある広告関係者によると、TikTok騒ぎを「様子見」していた多くの広告主にとって、大統領選でのトランプ氏の敗北は転機だった。

事業が上向いたため、TikTok側も主要ブランドと個別に接触し、長らくあった広告出稿などの懸案事項を解決しようとしているという。

より規模の大きいソーシャルプラットフォームに比べると、TikTokの広告事業はまだ小規模にとどまると推計されている。しかし、同社によると昨年1年間で、TikTok上でキャンペーンを打つ広告主は米国で500%増えた。ブランド価値の安全性は損なわれないという説明を広告主に続けているという。

TikTok広報担当者によると、同社は昨年来、ファストフードのマクドナルド、ファッションのケイト・スペード、乳製品のチョバーニ、音響機器のボーズといった企業のほか、小児科病院などの非営利組織と広告契約を結んだ。

ボーズのソーシャルメディア担当者によると、同社の広告はTikTokに出した方が他のプラットフォーム上よりも視聴秒数が長いことが分かった。

小児科のセント・ジュード・チルドレンズ・リサーチ医院は9月以来、TikTokの寄付ボタンを通じて約5万ドルを調達した。同医院の資金調達などを担う組織ALSACが明らかにした。

ALSACのリック・シャドヤック最高経営責任者(CEO)は、「当方が使っているプラットフォームの中で、TikTokの伸びが最も速い」と言う。12月に有名女優を起用して初めて広告キャンペーンを張った際には「ものすごいエンゲージメント(反応)」があったと話した。

<著名インフルエンサーと手を組む>

1990年代半ばから2000年代初めに生まれた「Z世代」に絶大な人気を誇るTikTokは、こうした層からの収益をさらに増やしていく構えだ。だが野心はさらに膨らみ、今では休暇シーズンや大型イベントに絡む高額広告パッケージにも目を向ける。

米国の毎年2月の「黒人歴史月間」を祝うため、TikTokは18日に黒人クリエーター500人が参加する仮想イベントを開く。ロイターが入手したプレゼンテーション用資料によると、TikTokは75万ドル(約7938万円)の料金でイベントのスポンサーにならないかと複数のブランドに声を掛けた。

最終日である26日のライブイベントではアーティストによるパフォーマンスや特別ゲストの登場を予定しており、こちらのスポンサー料は150万ドルだ。

TikTokの発表文書によると、同社のビジネスでは電子商取引の優先度も上がっている。同社が戦いを挑むフェイスブック傘下のインスタグラムには、ユーザーがアプリ上で直接商品を買える仕組みがある。

TikTokは、ユーザーが関連商品のリンクを貼れるようにすることを検討中だ。「インフルエンサー」とTikTokが共に歩合を稼げる仕組みにするかもしれない。

「インフルエンサー・マーケティング」は既にTikTok広告の主要形態だが、さらに盛り上がりを見せる。ダンスやお笑いの動画で有名なトップスターにギャラを支払い、ファン数百万人に向けて商品を宣伝してもらおうとするブランドが引きも切らない。

広告代理店インフルエンサー・マーケティング・ファクトリーのCEO、アレッサンドロ・ボリアリ氏によると、TikTokインフルエンサーとの提携を望むブランドの数は昨年11月時点から5倍に増えた。

インフルエンサー広告の代理店バイラル・ネーションのジョー・ギャリーズCEOによると、最近では金融サービスなど「お堅い」企業からもTikTokに便乗する方法について問い合わせがある。若い世代が参入したゲームソフト会社ゲームストップ株の急騰騒ぎを見て、若い消費者の関心が、一部の広告主が思っていたより多様なことに気付いたためだ。

「TikTokはガラリと変わった。今や金融やスポーツの話題も見掛ける」とギャリーズ氏。「それが新たなブランドの参入をあおっている」と語った。

(Sheila Dang記者)

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