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グローバル化する覚せい剤密輸ルート

先月末、薬物密輸に関して、私にとって興味深いニュースが報じられていました。近年急速に増えている西アフリカからの覚せい剤密輸ルートの解明につながるのでしょうか。
<ニュースから>
■覚せい剤4キロ密輸、自宅に14キロ=ナイジェリア籍の2人逮捕―大阪府警

ケニアから覚せい剤約4キロを密輸したとして、大阪府警などは28日までに、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)容疑で、いずれもナイジェリア国籍の無職O(39)=千葉県松戸市・・・=と、自動車解体業U(43)=東京都江戸川区・・・=両容疑者を逮捕した。2人とも容疑を否認しているが、28日、同法違反罪などで起訴された。
府警などは家宅捜索でO容疑者の自宅から覚せい剤約14キロとコカイン約1.4キロを押収。密輸分を含めた押収物の末端価格は計約15億円に上り、背後関係を調べている。
逮捕容疑は10月5日と6日、国際スピード郵便を使って、覚せい剤約4キロをケニアから成田国際空港に営利目的で密輸した疑い。 
時事通信 11月28日(水)18時10分配信

アフリカの覚せい剤は極東市場へ向かう

それまで日本に密輸される覚せい剤の供給ルートといえば、東アジアや東南アジアの狭い地域が中心だったものが、急速に広域化し始めたのは2004年ころだったと思います。最初はカナダやメキシコから太平洋を越えて密輸されるケースが続き、その後2009年ころから、西アフリカ初の覚せい剤密輸が急増しているのです。

これまで、覚せい剤と接点のあまりなかった西アフリカから、なぜ遠い日本に覚せい剤が密輸されてくるのか、その答えを求めていた私にとって、待望の報告書が今年夏に国連薬物犯罪事務所から発表されました。日本も参加している国際プロジェクト「グローバルSMART計画」の報告書として発行された『西アフリカ―2012 ATS状況報告書WEST AFRICA―2012 ATS Situation Report』です。この報告書は、日本や韓国、東南アジアなどに向けて密輸される覚せい剤の仕出し地、そしておそらく大生産地でもある西アフリカ地域の視点から、ATS問題をまとめたものです。

ここから見えてくるのは、南米の麻薬カルテルから端を発した国際的な薬物組織が、消費市場に合わせて、多様な薬物を製造し、地球規模で流通させている実態なのです。

最初は、南米で産出するコカインをヨーロッパへ密輸する中継地点として始まった西アフリカの薬物密輸組織が、次第に勢力を拡大する過程で、覚せい剤などの合成薬物の密造も手掛け始め、それを日本など極東の市場に向けて密輸している現状が、この1冊にかなり具体的にまとめられています。また、覚せい剤の密造や密輸にかかわっているのは、西アフリカ諸国だけでなく、取り締まり体制の脆弱な東アフリカ諸国をも巻き込み始めている状況も語られています。

西アフリカでの覚せい剤密造は、最初から、日本など覚せい剤需要の高い地域に応じた製品を供給する目論見で始められたもので、つまり、日本の覚せい剤需要が生み出した、最新の生産拠点が西アフリカだというわけです。そして、その背後には南米の麻薬カルテルの影が見え隠れしています。日本の覚せい剤市場は、いまや有望な標的のひとつとして、グローバルな麻薬流通に組み込まれているのです。

日本に覚せい剤需要がある限り、密造拠点は次々に生まれ、供給ルートもその都度、新たに生み出されるのです。

リンク先を見る
↑ベナンおよびナイジェリア:メタンフェタミン密輸ルート
WEST AFRICA―2012 ATS Situation Report 23ページより転載


リンク先を見る
↑その他の西アフリカ諸国:メタンフェタミン密輸ルート
WEST AFRICA―2012 ATS Situation Report 25ページより転載


なお、この報告書は私たち日本人に密接な関係がある内容なので、ぜひご一読をおすすめします。当ブログでも、機会を見つけて、その内容をすこしずつ紹介するつもりです。

[参照]
UNODC Global SMART Programme
WEST AFRICA―2012 ATS Situation Report
http://www.unodc.org/documents/scientific/ATS_West_Africa_final_2012.pdf

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