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中国の通信機器メーカー「華為技術」めぐり、米国と英国に大きなミゾ

中国の通信機器メーカー、華為(ファーウエイ)技術について米国やオーストラリアなどが「国家安全保障上の脅威になる」と警戒を強めているのに対し、英国は華為技術の進出を大歓迎しており、対応に大きなミゾができている。

米下院情報特別委員会は今年10月、中国の大手通信機器メーカーの「華為技術」と「中興通訊(ZTE)」が中国共産党や人民解放軍と密接につながっており、対米スパイ工作に関与している恐れを指摘した。

オーストラリアは華為技術が同国内でブロードバンド・ネットワークを構築することに反対。カナダも企業名を特定しなかったが、華為技術を念頭に置いた上で、安全保障上に問題が生じる場合、外国企業を排除できる例外規定を設けた。

インドも華為技術が同国内で企業活動を拡大させることに反対している。

こうした国々は、中国側がサイバー・スパイをしやすいように補助金や低利での融資、有利な輸出金融で華為技術の世界進出を後押しし、平時は華為技術の通信インフラを悪用してスパイ活動を展開、有事には通信インフラをシャットダウンさせる恐れがあると懸念している。

これに対して、華為技術は「中国企業の海外活動を妨害するためのでっち上げだ」と反発している。

華為技術は1988年、人民解放軍出身の任正非総裁が創設。現在では世界140カ国に展開し、従業員数は14万人。スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンを買収して世界最大の通信機器メーカーとなった。華為技術は欧州の第4世代移動通信システム市場の50%以上を占めている。

市場開放を表看板にする英政府は「中国企業だからと言って安全保障上の脅威を無暗に強調すれば保護主義の口実になる。脅威がないことを証明した上で取引を拡大し、自由貿易を促進すべきだ」との立場だ。

英誌エコノミストも「脅威を強調することは自由競争の妨げになる」「華為技術はすでに世界市場に組み込まれており、サイバー上の懸念に対しては世界共通の基準を適用すべきだ」と華為技術を擁護している。

世界金融危機後、景気が低迷する英国は、経済再生のカンフル剤として中国マネーにしきりにラブコールを送っている。今年9月には任総裁をロンドンの英首相官邸に招いて華為技術から13億ポンド(約1722億円)にのぼる投資の約束を新たに取り付けた。

英国に2001年に進出した華為技術は、英電気通信事業者BTなどと取引しており、ロンドン・オリンピックでは地下鉄の携帯電話ネットワークを構築した。安全保障上の懸念を取り除くため、華為技術は英政府情報通信本部(GCHQ)の元職員も受け入れている。

華為技術をめぐっては、欧州連合(EU)は米国とは一線を画しているものの、華為技術の企業活動について調査することを検討している。

米国と英国は第二次大戦以来、「特別な関係」で結ばれた同盟国で、インテリジェンスの世界でも深く結びついている。それだけに英国が単独で華為技術の関係を深めていることに、元国防関係者からは「取引しない金銭上の不利益を考慮して、英政府は悪魔と取引している」(英大衆紙デーリー・メール)との懸念の声が上がり、英議会も関心を強めている。

華為技術をめぐる米英間のミゾはますます広がる恐れがある。

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