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原子力の専門家が集結!新政権への提言 原発ゼロは可能なのか

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撮影:田野幸伸
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アゴラ研究所が、第一線の専門家、政策担当者を集めて行ったシンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」第ニ夜。

民主党が掲げる2030年代に原発稼働ゼロ。しかし、原発を撤廃するためには、核廃棄物をどうやって処理するのか、核燃料サイクルは、プルトニウムは、などなど、課題が山積み。そこで今夜は原発ゼロは可能なのか、可能であれば何をどうすればいいのか。日本が抱える中長期的なエネルギー問題について、2時間議論しました。

【出演】
司会:池田信夫(アゴラ研究所所長)
ゲスト:植田和弘(京都大学教授)
鈴木達治郎(原子力委員長代理)
山名元(京大原子炉実験所教授)
澤昭裕(国際環境経済研究所所長)

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核廃棄物の海外投棄は実現可能か?

池田: 一番厄介な問題は、核廃棄物をどうやって処理するか?特に今、建屋の中に一時的に置いてあるわけですね。あれ非常に危険で、電源がなくなると爆発することもあるので、とてもマズイ状況です。これがあと6年ぐらいで、キャパシティが来ちゃうという状況になっているわけですね。発電所に中にあるのは、明らかにマズイとして、それをどうするのかというのが、差し迫った具体的な問題だと思うんですけどね。

鈴木: もうちょっと詳しく提言内容を申しますと、まず第一に、今の世代が原子力発電を使って、ゴミを出しているわけですから、現世代でどういう取り組みをするかということを、ある程度決める責務があるということを言ってます。

一方、何千年先という次世代の方々に負担を残してもいけない。したがって、次世代の人達が選べるような仕組みも作っておきなさいと。一見矛盾するようなんですが、世界的にもそういう仕組みになっています。

例えば、地層処分はやります。立地場所を探しますが、埋め戻しをするかという決定はちょっと時間を置いておきましょうと。というのも、埋め戻しをしてしまいますと、人間環境から隔離されてしまうので、管理ができなくなるわけです。

要するに、学術会議の提言は、今の世代の責務だけ言って、この方法が一番だから、これでいきますといって、その柔軟性についてはあまり説明していなかった。というか、国民に全く説明されていなかった。ですから、そこのところを反省して、地層処分は続けるんだけども、その他の考え方とか代替案もきちっと議論をして、国民投票をしましょうと。その間、いつ埋め戻しをするかというのは、国民が決めることですから、これについてちゃんと理解をしてもらわなきゃいけないということを、今回原子力委員会として反省して言ったと。こういうことです。

池田: この問題は非常にデリケートな問題で、最終的にどこに処分するのかという候補地もまだ決まっていないわけですよね。考え方として昔あったのは、海洋投棄という方法。これは実際にやっていたわけですが、1973年以降、禁止されたので、国内でやらなきゃいけないわけです。

ただ一時期、モンゴルに捨てるとか捨てないとかいう話も出ましたけど、シベリアに捨てるなど“海外投棄”という方法もある。それからもう1つ。国内のどこかにお願いして捨てると。大体3つぐらいの手段があると思われますけども、澤さんからご説明いただけますか?

澤: 今の核廃棄物を、再処理のため、あるいは、核廃棄物処分のために、国境間を移動するのは、バーゼル条約があって、すぐにはできないと言っているんです。使用済み燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約っていうのが、最近できたはずなんで、それによれば、できるはずなんですよね。今、池田さんの話にあったように、モンゴルでの海外投棄を実現しようと思えば、この条約で相手国との合意を得れば、一応できるようになっているわけなんです。

ですから、国際法上の枠組みというのは、ある意味、どうにでも設計できるということだと思うんですね。あとは実態のニーズとしてどうかと。我々日本が原子力をやりだした時っていうのは、一言でいえば、先進国だけが原子力をやっていたわけですね。「先進国なんだから、自分でやったことぐらい自分で処理しろよな」という原則があってもおかしくなかったと思うんですけど。

これからは、中国はもちろんのことながら、例えば、ベトナムだとか。2基か3基だけ作るような原子力の使い方をする国も出てくるわけですね。そこがそれぞれの国ではたして核廃棄物処分の場所が見つかるかと。日本の反省じゃないですけど、トイレなきマンションですよね。色んな国がやっていくことについては、どこかで限界が出てくるはずなので。

今、言うことはタブーなのかもしれないですけど、今言ったようなインターナショナルな枠組みの中で、どこかで集中的に廃棄をする。あるいは日本の六ケ所村という再処理工場も、日本の国内だけでやると経済性的にできるかという問題がでてくるので。受諾を受けるとかそういうことをいうとまた…

池田: いえいえ、今日はニコ生ですからタブーなしで!僕が色んなことをブログで書くと、一番激しい攻撃が来るのは、“自分たちが作ったゴミを海に捨てるとか、他所の国に捨てるとか、とんでもない不道徳な奴だ!”ってのが、ものすごく来るんですよ。

澤: 誰かタブーを破って、そういうようなアイデアがありますよと。論破されても、もちろんいいんですけど、みんなに一度そういう目で見てもらうことも必要なんじゃないかなと思います。だから、「国内で捨てる場所がない。だからダメだろ」ということで、議論が終わりになってしまうと、今の世界の実態、あるいは将来的に起こるような実態を踏まえていない議論になってしまうと思うので、その辺は頭を柔軟にして考えるしかないんだろうな。

池田: 僕も澤さんと同じような疑問を感じてね、学術会議のレポートも総量管理とおっしゃるのは、もうとにかく日本のキャパシティはこれだけしかないんだから、絶対的な限界として、原子炉の運転も考えなさいということになっているんだけれども、それは、澤さんがおっしゃるように、政治の枠組みとかそういうことを考えると、キャパシティも変数なのではあるまいかと。この辺はどうなんでしょうか?

澤: 学術会議は、日本で総量被曝があるとは言っていないんです。そこまでは検証してないです。言っているのは、廃棄物の始末もできないのに、原子力政策を進めたりとか、原子力政策を進めたから、これを引き受けろという議論がよくないということが1つ。

もう1つは、廃棄物の量を減らすというのは、廃棄物を扱う人間としては、当然やらなければいけないことなので、そういう意味では、技術的に量を減らして行くという方法を日本はやってきていると。だけどそれは、今の物でできないっていうわけじゃないですね。ただ廃棄物の量を減らすことが、本当にいいことかどうかはまた別の話で。廃棄物の量を減らすことによって、お金もかかるし、リスクも高くなる可能性もあるわけだから、そこはちゃんと比較して、議論しなくてはいけない。

そういうことを今回我々は言ったということで、実際に健康の害が出る線というのは、リスクを評価すればできるんですけど、廃棄物の場合、そういう枠はないんですね。これ以上、量が増えてはダメだという線はなかなか引けないので、考え方として抑制する力も、何も無いまま、廃棄物がドンドン増えていくことに対する不安があるという風に我々は解釈しています。

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