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バロンズ:ITバブルと似て非なる足元の米株高

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Barron’s : Keep Partying Like It’s 1999, This Time Can Be Different.

バロンズ誌、今週のカバーは”持続可能推奨銘柄100”を紹介する。ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマン氏が「ビジネスの社会的責任とはその利潤を増やすこと」と発言してから約50年後、パンデミックや社会不安が襲うなかで、企業は変わった。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのサビータ・スブラマニアン氏いわく「コーポレート・アメリカは方向転換し、株主ではなく従業員や顧客、地域などステークホルダーのリターンに向け注力し始めた」という。

同氏によれば、現金支給や無料のマスク配布、 融資返済免除など、企業による様々な寛大な措置が2020年に1兆ドル以上に及んだ。実際、米国の大手企業団体ビジネスラウンドテーブルは2019年8月に株主至上主義からの決別を宣言すると共にステークホルダーを重視する姿勢へ転換し、世界経済フォーラム(WEF)などの国際機関と足並みをそろえ環境を含めステークホルダーへの貢献を報告するよう訴えてきた。

投資家もこの流れに沿い、持続可能な取り組みを行う企業に投資するファンドへの資金流入は2020年には2018年比42%増の17兆ドルと、米国での同関連ファンド運用資産51.4兆ドルの約3分の1に相当する水準へ加速させている。

バロンズ誌による”持続可能推奨銘柄100”は4年目を数えつつ、今回の1位は家電小売のベスト・バイ(2020年は5位)、2位は分析機器メーカーのアジレント・テクノロジー(20年は1位)、3位は水質管理のエコラボ(20年は17位)となる。残り97銘柄など、詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株高にフォーカスする。抄訳は、以下の通り。

足元の米株高は1999年と違って、問題視する必要なしか―Today’s Stock Mania Differs From 1999’s, but That Might Not Matter.

1999年の時のような大相場か?米株高が最高値を更新すれば、ITバブル時を思い出すのは当然かもしれない。2007年にシティグループのチャック・プリンス最高経営責任者(CEO)が「音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない」という言葉を思い出す者もいるだろう。しかし、1990年代の米株高との共通点と言えば、恐ろしいほどのボラティリティだけでなく、オンライン掲示板レディットを舞台としたような流動性が高くない銘柄の高騰だろう。

米株高の勢いに押され、投資信託の資金流入額は再び急増しつつある。EPFRのデータによれば、世界の株式ファンドへの資金流入額は直近の週で580億ドルに及び、そのうちテクノロジー関連ファンドへは54億ドルに及んだ。勝ち組は投資会社ARKインベストメントが立ち上げた”ARKイノベーション”で、年初来では”バンガード S&P500”に次ぐ資金流入を記録している。

懐疑派は、1999年と同様に足元の米株高に取り残されている。ただナスダックは1999年6月の4,000から2000年3月に5,000を超えた後にピークアウトし、その1ヵ月後に3分の1相当の上昇を吹き飛ばした。それだけでなく、2000年の最高値を更新するには2014年まで待たねばならなかった。

当時と今を振り返ると、足元の方が良好な状況と言える。ストラテガス・セキュリティーズによれば、2000年3月時点で主要50銘柄の12ヵ月先の株価収益率(PER)は31倍だったが、足元は23.6倍に過ぎない。金利が当時と比べて格段に低い点も重要で、米10年債利回りは過去最低から2倍近く上昇したとはいっても1.2%程度である。また、TIPSでみた足元の米10年債実質金利はマイナス1%だ。

さらにスクの高いハイイールド債に至っては利回りは4%を割り込み、過去最低を更新している。振り返って1999年はというと米10年債利回りは6%でイールドカーブも金融引き締めを織り込みフラット化していたが、足元は追加緩和継続をにらみスティープ化している。

チャート:景気後退期を除き、米10年債利回りの低下に合わせ上昇してきたS&P500

(作成:My Big Apple NY)

財政面をみると、2000年は2,360億ドルの財政黒字を計上していた。当時、グリーンスパンFRB議長はオペを実施する上で、中銀が引き受けるだけの米国債が十分流通していないと指摘していたものだ。現在はというと、財政赤字は新型コロナウイルスの大流行を受けた景気刺激策などを背景に膨れ上がり、米議会予算局は2021年度(21年9月末終了)の財政赤字につき2.3兆ドル、GDP比10.3%を見込む。しかし、そこにはバイデン政権が提示した1.9兆ドルのつい経済対策の分は含まれていない

翻って現在、FRBはITバブル期と違い連邦債務増加に合わせ米国債を大量に取得する状況だ。米債利回りの低下に有用だが、将来のインフレや金融不安を誘発しかねない。その間、当時と同じく人々は大相場を楽しみ続けるのだろう。

――日本も日経平均が約30年半ぶりに3万円台を回復し、太平洋の向こう側でも春節前の中国でCSI300が約13年ぶりの高値を更新するなど、世界的な株高で沸いております。北半球の主要国を中心に春にかけ最悪期を脱し感染者は減少すると見込まれるほか、ワクチン普及、米国の追加経済対策期待、主要国の超緩和政策継続などが株価を押し上げていることでしょう。

ビットコインも初の5万ドルを突破し、まさに絵に描いたような過剰流動性相場といったところ。向かうところ死角なしといった様相ですが、「今回は違う」という観測が浮上する時、その逆をいく場合もありますから油断大敵です。米株急変動を受けた規制強化、追加経済対策後の上方リスク、米長期金利動向、対中政策の不透明性など、死角は無きにしも非ずですし・・・。

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