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住宅を借りるとオフィスがついてくる?!「職住一体型賃貸住宅」が中目黒に登場

建物は角地に立地しており、いささか複雑な形状。写真はレジデンスの入口を含む向きからの外観

注目度の割に賃貸住宅の少ない目黒区中目黒で、駅から徒歩圏に新築賃貸住宅が誕生した。1月末の竣工で2月2日のメディア内覧会の時点ですでに8割ほどの入居が決まっていたというから、その人気ぶりがお分かりいただけよう。だが、この物件「CONTRAL nakameguro」には単に立地の魅力以上のものがある。ここでは住宅を借りるとオフィスがついてくるのである。

東急東横線中目黒駅から歩いて7分。目黒川にほど近い場所に誕生した「CONTRAL nakameguro」は1階にレジデンス・オフィス入居者が使える共有スペースがあり、レジデンス、店舗、オフィスからなる複合施設である。

間にガラス扉を挟み、異なる雰囲気のCOMMON DEN。手前がレジデンス入居者が利用できるリラックスした雰囲気のスペース

スタイリッシュな外観、レトロな雰囲気のオフィスなど特徴はいくつかあるが、注目したいのは1階に設けられたCOMMON DENと呼ばれる空間。ガラス扉で2つに分かれており、一方はCOZY LOUNGEと名付けられたリラックスできる空間で、こちらはレジデンス、オフィス入居者なら無料で利用できる。

WORK LOUNGE部分は仕事モードな空間。オンライン会議などにも使える個室も用意されている

もうひとつはWORK LOUNGEと名付けられたデスク中心の仕事に使える空間で、オフィス入居者は無料で利用できる(別途、契約内容により異なる保証金、年会費などが必要)。レジデンス入居者も月額1万円を払えば使えるので、ここでは住宅にプラス1万円で同じ建物内に仕事場が得られることになる。自宅で仕事をしていて煮詰まり、外のカフェなどを利用することを考えれば、おトクな感じがするのではなかろうか。

ラウンジの住所で登記可能 起業に大きなメリット

2階のオフィス部分。一般的なオフィスとは違い、中目黒に集まる事業者を意識したデザイン性の高い作りになっている。内部も同様に住宅に近いデザイン

さらに新しいのは70戸のうち、20戸あるSOHO使用ができる住戸を借りた人であれば、そこにプラス2万5000円(登記時)を払うと、ラウンジの住所で登記ができるという点。シェアオフィスで登記ができる物件はすでにいくつもあるが、ここは住居を借りると仕事場がついてきて、登記もできる。起業、副業を始めるにあたり、住居とオフィス、不動産を2つ借りる必要がないのだ。これにより、賃料はもちろん、ダブルでかかる水道光熱費などの様々な出費が不要になることを考えると、起業、副業のハードルが大きく下がるというものである。

レジデンスは基本的には単身者中心の間取りだが、最上階である5階には50㎡超、中には80㎡を超えるプレミアム住戸が用意されている

中目黒徒歩圏という立地のため、賃料は30㎡弱の1Kで17万円台(管理費1万円)と決して安くはないが、ワンルーム+シェアオフィスあるいはワンルーム2室を借りる場合などと比べて考えると検討の余地はあろう。

実際、広告ではごく小さく記載されているだけというのに、スタートアップ企業等から多くの問い合わせがあると住居の管理運営にあたる東急住宅リース広報担当の秋本佳澄氏。「コロナ禍以前から職住の融合はキーワードとして注目度が高く、当社でもSOHO住宅は手掛けてきていますが、法人登記ができることは珍しく、過去に事例がない取り組みです。登記ができることに加え、登記した会社用に郵便受けも用意しています」。

建物自体は3年前からの計画だったそうだが、当初からラウンジは予定されていたそうで、ある程度の規模、賃料の賃貸住宅では共用施設があるのはいまや不思議ではない。だが、それを仕事もできる場とし、登記にまで踏み込んだのはコロナ禍を受けてのチャレンジだったわけだ。

ちなみに、最近では新築だけでなく、中古の改装でも多くの場合にはこうした仕事場としてはもちろん、多目的に使える共有施設が計画に盛り込まれるようになっており、もう少しすれば同じ建物内で生活、仕事ができる物件が増えてくるはずである。

登記可能物件で「住むと働く」の境界を自由に

東京では過去にない取り組みとして登場したオフィスがついてくる賃貸住宅だが、日本全国で見るとすでに事例はある。仙台では2016年に「THE6」という上階にある住宅を借りると、下階にあるシェアオフィスが使えるようになり、かつ登記もできるという物件が登場している。

この物件の人気が高く、住宅では満室状態が続いているため、2020年には同じ仕組みにプラスアルファのある物件「TNER」(トナー)が登場した。トナーでは部屋を借りるとシェアオフィスが使えるようになるだけではなく、借りたオフィスを使わない時間だけほかに貸すことができ、住宅ではあらかじめ自室での営業も可となっているので小商いなどを始めやすいなど、「住むと働く」の境界はより自由になっている。会社勤めをしながら週末だけ自室でサロンや教室を開くほか、副業、兼業がやりやすい物件なのである。

さらに2021年3月には住居、オフィスに宿泊、カフェなどもある「Blank」という物件が登場する予定で、「住むと泊まる」の境界も変わっていくだろう。

働く場としてはオフィス以外に店舗や作業場などもあるが、ここ2~3年でみると1階に工房やスタジオなどを兼ねた店舗、2階を住戸とする物件や、リビングの一部を週末だけカフェなどとして利用できる物件が出てきており、まだまだ増えそうな気配がある。以前からの職住融合、場の複合的な活用の流れがここのところ加速しているということだろう。その流れがそれぞれの人の働き方を自由にしてくれることを楽しみにしたい。

マンションの掲示板 デジタルサイネージ化で利便性UP

従来の掲示板に変わり、最近普及しつつあるデジタルサイネージ。ターゲットを絞った広告メディアとしてこれからどう使われるか。広告主だけでなく、受け取る側にもメリットのある使い方が生まれれば面白いのではなかろうか

ところで、「CONTRAL nakameguro」でもうひとつ、目を惹いたものがある。エントランスに置かれたタッチパネル式のマンションサイネージだ。これまでの掲示板に変わるものとして最近増えていているもので、広告を表示させることで管理組合、管理会社は無料で利用することができ、現地に行かずにお知らせなどを更新できる。天気予報、日付などのほか、災害時には防災情報を掲出することも。

入居者しか見ないが、逆に考えれば非常にセグメントされたターゲットに確実に情報が届けられるメディアともいえるわけで、その特性を活用すれば入居者にも、広告主にもおトクな使い方が生まれそう。個人的には乱雑になりがちな掲示板が駆逐されるだけでもうれしいと思う。

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