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小細工で墓穴を掘ったホワイトハウス副報道官

バイデン大統領の副報道官が辞任、というニュース、共同通信時事通信が短く伝える程度で、今日は新聞休刊日とあってか、新聞社サイトにも殆どないようです。

ただ、私はこの件を比較的早くから注目していましたので、こういう顛末になったことでいろいろ考えさせられました。その一つが、この問題に火をつけたワシントン政界に強い影響力を持つPoliticoのホワイトハウス担当編集者サム・ステイン(Sam Stein)氏のツィートです。


こういうことです。<一見、悪い話を親切に扱ってくれそうな別のメディアに流すことで、先取りさせて(潰す)という誘惑にかられることがあるのは理解する。それは戦略的であるかもしれない。だがあなたが感じる短期的な利益はその行為による長期的なダメージによって取り消されよう。そんなことはするべきではない>

これが投稿されたのは2月9日午後10時13分。その日午前6時07分に配信されたPoliticoの看板ニューズレター「Playbook」では、バイデン 新政権のTJ ダックロー(Ducklo)副報道官と躍進中のネットメディアAxiosの女性政治記者アレクシー・マキャモンド(Alexi McCammond)さんとのロマンスを特集し、いくつかの記事令を上げて、情報がダックローからマキャモンドに流れているのではないかと仄かしました。

事実なら新政権に打撃を与えるかも知れない、ちょっとしたスキャンダルでしょう。スクープのはずです。

しかし、それはスクープになりませんでした。その8時間前の2月8日午後8時58分に、米国最大の週刊誌の一つPeopleのサイトに掲載されてしまったからです。

しかもその内容は、2019年秋に末期に近いステージ4の肺癌が発見されながらもバイデン陣営で活動していたダックロー氏と、バイデン 選対の担当だった黒人記者が知り合い、交際しているが、マキャモンド記者はすぐに上司に打ち明け、バイデン担当からハリス副大統領候補やリベラル議員担当に替えてもらい、以後、お互いに政治の情報交換はしていないとありました。

また、肺ガンにに関しては、Washingtonianの記事によると、南カリフォルニア大の専門医を紹介され、化学療法で癌が縮小しているとのことですが、Peopleの記事では2ヶ月毎のCT検査には彼女が付き添っているという様子がマキャモンドさんの提供写真とともに紹介されてもいました。

そして、ダックロー氏の言として「真面目な関係であり、私のパーソナルライフで今が最高だ」などともあって、その二人の寛いでいるマキャモンド提供の写真もあって、全体として二人にとても好意的な内容になっていました。

あまりにタイミングが良すぎる。冒頭に掲げたステイン氏の言う「他のメディアに流して潰す」という典型的なケースに見えます。でも、なぜ、そんなことが可能だったのか?

実は、二人の関係についてはPoliticoの女性記者テラ・パルメリ(Tera Palmeri)記者が早くから追っていました。

で、Vanity Fairによると、彼女は1月20日にマキャモンドさんのコメントを求める電話をしていました。そのことをパルメリさんの男性同僚記者がダックロー氏にも連絡しました。

そこで、ダックロー氏、Playbookの編集長に掲載反対の意を伝えたものの、直接、担当者に懸念を伝えるように言われ、パルメリ記者に「I wiil destroy you」「叩き潰してやるぞ」など脅迫したり、そのほか彼女を侮蔑する言葉を吐き散らしました。

当然、問題になりPoliticoの上層部とホワイトハウス広報部幹部との話し合いが始まって、結局、ダックロー氏が謝罪し、最終的には「無給で1週間の停職」がホワイトハウスから発表されるんですが、その間に、ダックロー氏とマキャモンドさんはPeople編集部に”美談”として売り込んでいたようです。これはMediateが2月12日に報じています

同じ日のWashington Postによれば「Playbookの編集部は8日夜に、二人の件は9日朝配信のニューズレターに掲載されると通知した」そうです。それを知ったダックロー氏はすかさずPeople編集部に連絡し、その日のうちにPeopleのサイトに「特ダネ」と題して掲載されたということでしょう。

仕掛けは順調に進んだように見えましたが、New York Timesはじめ多くのメディアが「バイデンは就任直後に、同僚に敬意をもって対応しなければ直ちに解雇するとした約束に矛盾する」との非難の嵐となって、ダックロー氏はあえなく辞任に追い込まれたのです。

冒頭のステイン氏のツィートは、流れを読み切ってのことだったのでしょう。なんだか人生に通じるものがあります。小細工すると必ずしっぺ返しがあるぞ、っという警告という意味で。それと同時に、ネットメディアの存在感が既存メディアに伍しているようになったことも実感します。

ちなみに、ステイン氏の入社を紹介するPoliticoの記事によれば「彼はホワイトハウスの記者会見で、大統領に質問した最初のオンラインニュースの記者だった」とあります。

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