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官民の「ゲノム解析チーム」を立ち上げよ

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2月7日付の「独り言」において、日本が中途半端な「平時」モードから、本格的「有事」モードへ覚悟も新たに大転換することの必要性を訴えた。

「有事」には国家資源を総動員しなければ敵に勝てないということは言うまでもなく、前回は自宅療養中の死者続出問題を取り上げ、「公衆衛生と地域医療の有機的一体化」など、国家資源の有効活用・総動員を唱えた。

同様に「平時」の発想により敵との闘いになっていないのが、新型コロナウィルスの「ゲノム解析」だ。「変異株」の発見やその治療法開発、創薬などにつながるゲノム解析を通じた政策研究は、厚労省の組織の一部である国立感染症研究所(以下、感染研)一か所に独占させた「平時体制」のままだ。

例えば、現在わが国の「変異株」の発見は、感染研が全国の検体を一手に東京に集め、ゲノム解析して探し出すこととなっている。しかし、未知の病の新型コロナウィルスを解明し、確実に予防、治療ができるようにすることこそが至上命題であるときに、なぜ、ゲノム解析・医療に長けている大学などの研究室とアライアンスを組んで、皆の知恵を結集して世界に先駆けたコロナ克服法を打ち立てることをしないのか。ここまで来て、まだ「平時モード」のまま、ひたすら感染研の発表を待つ、という国民は、不幸ではないか。加えて、感染研がゲノム解析分野において、日本や世界をリードしている、との話は聞いたことがない。また、情報公開が余りに少ないがゆえに、日本のこの分野の研究論文数は、世界の中でも大きく後れを取っている。

大学の医学部や研究所、附属病院の研究能力などゲノム解析能力を有する組織は全国に沢山あるが、それらの英知と能力を結集して問題解決しようとする姿勢が厚労省には窺われない。官民を問わない総力の結集がなされないまま、未知の病の科学的真相解明が遅々として進まない。

英国ではこうしたゲノム解析のネットワークがかねてより発達しており、「英国型」、「南ア型」などを早々に発見している。オーストラリアも英国の仕組みを参考に全国ネットワークが完成しており、成果を上げてきているという。ドイツでも、ゲノム解析データの政府への提供に対し償還金が用意されている。

「有事」にあっては、「変異株」対策も、国が独占するのではなく、国が司令塔機能を発揮しながら、ウィルスとゲノム情報は国で一元管理し、官民を問わず日本中の英知を結集して「国家レベルのゲノム解析チーム」を作ることを提案したい。そのチームでは、大学等の知見をフル活用し、地域ごとにゲノム解析可能とするとともに、解析結果は地域に還元しながら新たな治療法やワクチンを含む予防法の開発をする体制へ直ちに移行すべきと思う。

感染研の独占体制は徹底されていて、昨年、大学等の研究機関が新型コロナの「生ウィルス」の分与を感染研に求めてもなかなか出してもらえず、配布を始めても感染研OBがいる研究機関優先、やっと配布が行われた頃には、時すでに遅く、感染拡大によって全国どこでもウィルスが入手可能となっていたという。実は、「変異株の生ウィルス」に関しても昨年同様の事が起きつつあるとも聞いており、民間研究者の士気の低下につながっているようだ。

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