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「どうする松本潤?」コンフィデンスマン“古沢脚本”の超難関《40年ぶりに家康を描くNHK大河》 - 田幸 和歌子

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 2023年の大河ドラマ『どうする家康』で松本潤(37)が主演を務めると発表された1月19日、ネットは驚きの声にあふれていた。反応は大きく分けて2つ。

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 1つめは、2020年末で「嵐」が活動休止して以降、個人での仕事が少ないことを心配されていた松潤への祝福のメッセージ。


松本潤 NHK大河ドラマ公式サイトインタビュー動画より

 もう1つが、「大河の主役がジャニーズか」、「最近の大河はどんどん軽くなる」のという“ジャニーズ主演”そのものへのネガティブな反応や、「家康に松潤は似合わない」という“ミスマッチ”を指摘する声だった。

 しかし、『どうする家康』の脚本を担当するのは、古沢良太氏(47)。古沢氏はこれまでに堺雅人主演の『リーガル・ハイ』(2012年/フジテレビ系)や長澤まさみ主演の『コンフィデンスマンJP』(2018年/フジテレビ系)、長谷川博己主演の『鈴木先生』(2011年/テレビ東京系)などを手掛け、重厚というよりは軽妙な作風の脚本家だ。

 経歴から考えれば、三谷幸喜の『新選組!』(2004年)のようなコメディ要素たっぷりの“異色大河”になりそうな予感がある。そして古沢氏の脚本といえば長台詞を多用することでも知られており、演じる側への要求は高そうだ。どうする松潤?

松潤の起用を脚本家が望んだ理由

 現時点で判明している情報から、「松本潤主演×古沢良太脚本=徳川家康」の可能性を考えてみよう。報道によれば、主人公が徳川家康に決まったのも、主演に松潤を抜擢したのも、古沢氏のたっての希望だという。いったいなぜ「家康」で「松潤」だったのか。

 大河ドラマには戦国時代を舞台にしたものが多く家康は多くの作品に登場しているが、実は単独での大河主人公は1983年に滝田栄(70)が主演した『徳川家康』以来、40年ぶりとなる。一般的には「棚ぼた的に天下が転がり込んできた」ずる賢いタヌキ親父的なイメージが強いが、古沢氏は家康の中に別の側面を見出し、そこから「家康」+「松潤」の組み合わせを生み出したという。

「カリスマでも天才でもなく、天下取りのロマンあふれる野心家でもない、ひとりの弱く繊細な若者が、ただ大名の子に生まれついた宿命ゆえに、いやが応にも心に鎧をまとわされ、必死に悩み、もがき、すべって転んで、半ベソをかきながらモンスターたちに食らいつき、個性的な仲間たちとともに命からがら乱世を生き延びてゆく。それこそが誰もが共感しうる現代的なヒーローなのではないか」

「主演の松本潤さんは、華やかさと親しみやすさを持ち合わせ、私の描きたい主人公像『ナイーブで頼りないプリンス』にまさにピッタリ」(NHK公式サイトより)

 タヌキ親父ではなく、ナイーブなプリンス。なるほどそう言われてみれば、古沢氏が描こうとしている新しい徳川家康像に、松潤が徐々に重なってくる。

「カッコつけすぎて逆に面白い」という新キャラ

 松潤は華やかなスターオーラを纏う一方で、バラエティ番組では不器用さをさらけ出してイジられることも多かった。『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)の「THIS IS MJ」というコーナーでは、「カッコつけすぎた結果、カッコよすぎて逆に面白い松本潤」という新たなキャラを確立してみせた。

 このキャラクターが面白かったのは、番組企画のために無理やり作られたものではないことも影響している。もともと松潤が持ち合わせている、想像を絶する真面目さ、ストイックさ、熱さという特徴が反映されているからこそ「カッコよすぎて逆に面白い」キャラクターの魅力は本人によくフィットした。

「食事をしていてもお酒が入っても仕事の話しかしない松潤」のエピソードは、仲のいい生田斗真をはじめ多くの人が語っている。「嵐」のコンサートの演出を任されていて、その打ち合わせがいつも白熱するので、予定の時間を超えて深夜に及ぶというのもファンの間では有名な話だ。

 後輩の面倒見もよく、「Hey! Say! JUMP」のライブを見にいったときには、紙にびっしりアドバイスを書いてメンバーに渡したこともあったという。おせっかいなウザい先輩扱いされてもおかしくないが、親切100%の松潤だと、なんともほっこりしたエピソードになってしまう。

 これらの松潤の性質は、役者としての印象にも大きく影響している。代表作となった『花より男子』(2005年/TBS系)で演じた道明寺司も一見「俺様系」のようでいて、真っすぐで熱く、そしてちょっとヌケたところのあるキャラクターだった。

 それ以前にも、松潤がコメディ適性を発揮した作品がある。

 嵐の初主演映画『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』(2002年)で、彼は“ボン”という役を演じている。川崎で純和風居酒屋を経営する父を持ち、登場人物たちが住む団地の中ではお坊ちゃん扱いをされている“ボン”。Tシャツをインした独特なスタイルで、好きになる女の子も超個性派。その子の笑顔を見るために、原宿でクレープ屋を開くという謎の行動に出る。全体にコメディ色の強い映画だが、中でも松潤演じる“ボン”は完全な“お笑い枠”だった。

 ちなみに『ピカ☆ンチ』のDVDに特典として収録されたメイキング映像には、「釣り堀で人生について考えていたら長靴を釣り上げてしまう」というシーンの撮影で、エサがついていない竿でなぜか本当に魚を釣ってしまいNGになり、照れ笑いしながらガッツポーズする松潤の姿が収録されている。こういう「真面目にやっているのに、なぜか面白くなってしまう」というのが松潤なのだ。古沢氏がそれを知って松潤とともに新たな家康像を作ろうと考えたのなら、かなりの慧眼と言える。

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