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仏で邦人、塩酸をかけられる

2017年4月2日インドのムンバイでロカンドワーラガーデンで開催されたアシッドアタックの犠牲者とのファッションショー 出典:Chirag Wakaskar / GettyImages

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・2月10日、パリで日本人3人が何者かに塩酸をかけられる。

・仏でスリ・ひったくりを含む事件に巻き込まれる可能性もある。

・情報収集を心掛け、危険なことを遠ざけて行動していくことが大事。

在フランス日本国大使館領事部から送られたフランス在住者宛てのメールによれば、2月10日(水)の夕方、パリ17区の公共空間に被害者である日本人が友人と3人でいたところ、塩酸をかけられ、顔をガードするために覆った掌に火傷するという傷害事件があったという。

この事件については日本のメディアでは一切報じられておらず知らない人も多いが、在フランス日本国大使館領事部からのメールでは、「フランスでは暴力を伴う犯罪の発生が絶えないため、犯罪に巻き込まれることのないよう、公共交通機関を利用したり屋外を移動する場合は、周囲の状況に常に注意を払い、人の少ない場所・時間帯を避けて複数で移動し、不審者・グループが近づいてきた際にはすぐにその場を離れる等、身の回りの安全に十分注意してください」と、呼びかけられている。

■ 在フランス日本国大使館領事部からのメール

事件詳細は、下記の通りだ。

(1)2月10日(水)夕刻、パリ17区の公共空間において、邦人被害者が友人と3人でいたところ、フードをかぶり下を向いて歩いてきた3人組(男女の別不明)からいきなり顔に向けて液体をかけられた。

(2)不審なグループだったため注意していたが、グループのうち一人が液体の入ったボトル(工具店などで普通に購入できるもの)を取り出した瞬間、危険を察知し、手で顔をガードした。幸いにして顔には液体がかからなかったが、掌に火傷を負った。

(3)すぐにその場から避難した後、医者の診断を受けたところ、火傷は塩酸によるものであることが判明した。仮に顔(特に目など)にかかっていた場合、失明など取り返しのつかない事案に発展していた可能性があった。(メールより引用)

このように塩酸などをかける事件はアシッドアタック(Acid Attack)と呼ばれる。アシッドアタックは女性に行われることが多く、イギリスや他の国では件数的にも多いようだが、フランスでは女性に限らず、2019年2月に地下鉄にて硫酸をかけたとみられる事件が2回起こっているものの、現時点ではわりと稀な事件といえるだろう。

しかしこの件に関しては日本のメディア、フランスのメディアともに一切報じていないため、事件がなぜ起こったのか、その後どうなったかの状況を知ることは難しい。今回、唯一、この貴重な情報を提供していたのが、領事部から出ている今回のメールとなった。

フランス在住者向けに配信されているこういった内容は、フランスに住んでいる場合在留届を出せば自動的に送られてくるが、他の国に住んでいても、外務省の海外安全情報配信サービス「たびレジに登録すればメールで配信を受けることができる。

フランスについていえば、政府からの発表などが偏ることなくまとめられ、次の日には配信されていたりと的確な情報も多く、入出国情報や危険情報の確認にはかかせない存在となっている。もし、備えるために海外の生の危険情報を知りたい場合は、これを機に外務省の海外安全情報配信サービス「たびレジ」に登録しておいても損はないだろう。どんなことでもあったことを知っておくということは、今後の対策を練るにしても大切なことだ。

「たびレジ」登録ページリンクはこちら

今回の「強酸性の液体を用いた傷害事件の発生(注意喚起)」のリンクはこちら
▲写真 2020年12月31日、フランスのパリでの夜間外出禁止令中に、シャンゼリゼ通りへのアクセスをブロックする警官。 出典:Aurelien Meunier / GettyImages

■ フランスは常にどこでも危険か?

しかしながら、こういった事件が起こるからと言ってフランスが常にどこでも危険かと言えば、もちろんそうではない。パリ市内でも普通に生活できる上、田舎にいけばもっと危険度が少ない平和な毎日を送っている人が多いことも間違いない。その点はしっかり押さえて欲しい。

だが、フランスでスリ・ひったくりを含む、なんらかの事件に巻き込まれる可能性があることも事実なのだ。例えば、在仏日本国大使館のデータによれば、コロナが流行する前の2019年における大使館に届けられたパリおよびパリ近郊のみの被害件数は563件だ。この数字だけを見ても、少なくともパリおよびパリ近郊では、毎日一人以上の日本人がなんらかの被害を受けていると考えられるだろう。もちろん大使館に被害届を出していない人もいると思うので、実際はこれ以上かもしれない。

領事部からの注意喚起メールにも記載されている1月15日夕方に起こった事件、パリ15区で14歳の少年が集団暴行により一時期は昏睡状態に陥ったという重傷を負う事件も、15区という日本人も多い地域で起こったことであり衝撃的であった。この事件自体は少年グループ同士の抗争であり、事件の5日前に起こった他の街のグループへの暴行事件の復讐とされていて、一般の人や外国人を狙った暴力事件というわけはないが、たまたま近くを通っていたら巻き込まれていた可能性もある。

しかも、パリ近郊では、アジア人を対象に暴力を働くケースも起こっていたこともある(「中国人狩り、フランスで頻発 」)。去年は、新型コロナウイルスの発祥と結びつけるなどして,アジア人に対する差別的行為を呼びかけるSNSが拡散した。極度に脅かすつもりはないが、普段から注意することに越したことがないのだ。

■ 注意を払う生活をこころがけよう

「私はまったく犯罪に出くわしたことがないことない」と、いう人もそれなりに多いと思うが、それは確かに幸いなことだ。しかしそれでも、ふとした拍子に何かの暴力事件に巻き込まれたり被害にあったりするかもしれない。今回のアシッドアタックの被害者もまさにそんなふいの出来事だった。まさか友達と話しているだけで、そんな目にあうとは思ってもいなかっただろう。

確かに、情報だけ知っていても全てを防ぐことはもちろんできない。でも、それでも、「自分だけは大丈夫」とは思わずに、こういった事件が普段から起きていることを認識し、滞在するにはもちろん旅行するにも情報収集を心掛けて危険を予測する糧とし、十分に注意を払うよう気をつけていきたい。その行動は無事に生きていくための基本でもあるのだ。多くの人が少しでも危険なことを遠ざけながら行動していくことを願うばかりである。

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