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  • 2021年02月14日 15:00 (配信日時 02月14日 11:25)

秋吉 健のArcaic Singularity:ゲームの世界もカジュアル重視?簡単操作で気軽に遊べるカジュアルゲームの隆盛と市場的価値を考える【コラム】

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カジュアルゲームについて考えてみた!

みなさんは「カジュアルゲーム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。スマートフォン(スマホ)など向けのゲームを扱っているWebサイトなどを頻繁に見に行く人なら知っているかもしれませんが、一般にはあまり馴染みのない言葉のように思われます。

カジュアルゲームとはシンプルな操作性で簡単に遊ぶことができるゲームのことです。分かりやすく言うなら、家庭用ゲームの中で遊べるミニゲームのようなものです。ロールプレイングゲーム(RPG)によくあるカジノゲームなどが典型例と言えるでしょう。

今、このカジュアルゲームにジャンル分けされるゲーム類が大きな市場を形成しつつあります。その舞台となっているのはスマホです。そしてカジュアルゲームもまたスマホ文化に合わせた独自進化を遂げつつあります。

カジュアルゲームとは何か。カジュアルゲームの何が人々を惹きつけるのか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はカジュアルゲームについて考察します。


人々はゲームに何を求めるのだろうか

■手軽で簡単なカジュアルゲームの世界

ゲームには、RPGやFPS(ファーストパーソン・シューティング)、レースゲームなど様々なジャンルがありますが、カジュアルゲームというジャンル分けは少々異質です。ゲームのプレイ内容ではなく、プレイスタイルで区別されているからです。

例えば、カジュアルゲームの1つにラン&ジャンプ系などと呼ばれるものがあります。画面内でただひたすらに走るキャラクターを左右に動かしたり、障害物に併せてタップしてジャンプするだけ、という非常に簡単なゲームです。

説明のみを聞くと非常につまらなそうに感じますが、そこはゲームとして飽きさせない工夫があり、音楽ゲームのようにテンポ良く障害物を避けさせたり、徐々に難易度が上がる仕組みを作って熱中度を切らさないようにしています。

他にも、ただ木を登るだけのゲーム、注文通りに料理を作るだけのゲーム、簡単な指示で街を発展させるゲーム等々、「ゲームのプレイ内容」としてのジャンルは様々です。

いずれにも共通するのが「簡単な操作」、「チュートリアル要らずの簡単なゲーム性」、「短時間で楽しめる」などであり、こういった手軽さを売りとしたミニゲーム的なものをカジュアルゲームと総称しているのです。

かつてのWindows OSに無料で付属していたマインスイーパやソリティア、ピンボールなどもカジュアルゲームに分類されます(ソリティアはWindows 10でも遊べる)。また、その手軽なゲーム性や開発コストの低さからインディーゲーム市場とも相性が良く、とくにスマホ向けでは数多くのカジュアルゲームが人気を博しています。


Windows 10には「Microsoft Solitaire Collection」というミニゲーム集アプリがプリインストールされており、ソリティアはその中に入っている


筆者の好きなカジュアルゲーム「TRAFFIX」。信号機をタップして交通整理するだけの簡単なゲームだが、ステージが増えるごとに難易度が徐々に上がっていき中毒性が高い

スマホ向けのカジュアルゲームは料金的にも手軽さを追求し、ほとんどが無料です。さらに、ゲーム内課金があるゲームも珍しく、多くはゲーム内広告を表示させることで収益を確保しています。一般的に、課金ガチャと呼ばれるゲーム内課金システムを導入しているゲームはカジュアルゲームには属されません。

また、最近ではゲーム内広告として別のカジュアルゲームの宣伝を行い、そこからまた新たなカジュアルゲームを遊んでもらうことで収益性を上げる「ハイパーカジュアルゲーム」と呼ばれる連鎖・還元型のビジネスモデルも流行りつつあります。

ゲームプレイヤーはずっと無料のまま次々に新しいゲームを遊べることがメリットであり、またゲームデベロッパーとしても人気ゲームに広告を出せればヒットへ繋がる可能性が上がるため、Win-Winの関係を構築できるとして広く採用されています。

ただし、最近ではゲーム内容を詳しく紹介したいがために長めの動画広告を強制的に表示するゲームも増えており、「カジュアルゲームは広告が邪魔」をいう声も増え始めています。


スマホゲームのランキング上位には、数多くのカジュアルゲームがランクインする

■ゲームを「消費する」という遊び方

では、なぜカジュアルゲームはここまで流行っているのでしょうか。

ゲーム(ビデオゲーム)の歴史を振り返ってみれば、ファミコンから現在まで、家庭用ゲームの世界ではひたすらにゲームのリッチ化と複雑化を繰り返してきました。より美しいグラフィックスを求め、より戦略的で飽きないゲーム性を求め、複雑で長大なシナリオを追求してきたのです。

しかしながら、それはゲームが持つ楽しさの一面でしかありません。そもそもゲームとは一体何でしょうか。筆者のようにゲームを「趣味」として楽しみ、そのために何万円もする家庭用ゲーム機や何十万円もするゲーミングPCを購入するのもまたゲームの楽しみ方の1つですが、そればかりではありません。

多くの人にとって、ゲームは「娯楽」であり「暇つぶし」です。単なる暇つぶしのために大金をはたいて環境を整えようという人はいません。今持っているスマホで、無料で手軽に時間が潰せれば良い。そういう遊び方もあるのです。そしてそういった遊び方をするユーザーこそがマジョリティではないでしょうか。

自室やリビングに腰を据えてじっくりと遊ぶ家庭用ゲームと、いつでもどこでも簡単に遊べるスマホゲームでは用途が根本的に違うのです。

時勢や景気からも、ゲームへ湯水のようにお金を使う時代ではなくなりました。できるだけ手軽に出費も少なく遊びたい。そういう風潮になるのも必然でしょう。そしてスマホとスマホゲームは、それを実現するための環境として最良だったのです。


コロナ禍で外出が難しく収入も減る一方、テレワークの普及などで自由に使える時間が増えた今、自宅にいながら無料(追加投資なし)でストレス解消ができるカジュアルゲームは最高の暇つぶしとなった

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