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焦点:債務危機回避へ試されるG7の結束、日本の収支構造にも影響


山口貴也

[東京 12日 ロイター] - 主要7カ国(G7)が12日に開催する財務相・中央銀行総裁会議では、途上国の債務問題も焦点の1つとなる。債務負担を軽減する枠組みは20カ国・地域(G20)で合意済みだが、伝統的なパリクラブ(主要債権国会議)以上に債権国として存在感を高める中国の動向を警戒する声は根強く、改めてG7の結束が問われる。枠組みを着実に実行できるかは、海外投資で稼ぐ日本の収支構造にも影響を及ぼす恐れがある。

G7財務相・中銀総裁会合に先立つ9日、麻生太郎財務相は、まずは「債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)後の債務措置に関わる『共通枠組み』の着実な実施が重要」と記者団に語った。

DSSIは、新型コロナウイルス渦中で財政が悪化した途上国の債務返済を猶予する制度。G20は2020年10月、同年末に迎える期限を「少なくとも6カ月間延長する」ことで一致し、2国間の公的融資の返済猶予を21年6月までとすることで合意した。世界銀行と国際通do貨基金(IMF)が4月に開催する春季会合の段階でも新型コロナウイルスの収束が見通せなければ、再延長を視野に入れる。

また、新たな債務負担軽減の枠組みとして元本返済の猶予にとどまらない負担軽減策や、民間も含む幅広い債権者を対象とするルールも整備し、支払猶予の終了後に債務危機が広がらないよう備える構えだ。

もっともG7内では危機回避に向けて「いかに中国を(合意枠組みから)足抜けさせないようにするかが重要。『ちゃぶ台返し』の債権回収が最大のリスク」(日本の外交関係者)との声が根強く残る。

巨大経済圏構想「一帯一路」で途上国への融資を伸ばした中国は、アフリカを中心とする多くの国で債権比率がパリクラブを上回っているとされる。中国政府は表向き「深刻な債務リスクが顕在化するのを防ぐことに、引き続き重点を置く」との立場を崩していないが、「返済猶予だけでは時間稼ぎに過ぎない。DSSI以上の債務救済措置で、合意済みの枠組みに沿ってきちんと対処できるかは、これからの課題」(先の外交関係者)との懸念もくすぶる。

債務問題を巡ってG7は従来から「いくつかの国が」と名指しを避けつつ、中国国家開発銀行を念頭に「国有で政府管理下にある銀行を商業銀行として分類し、公的債権者と同等の扱いをしていない」との懸念を共有。その後にG20が再確認したのが公的融資を民間部門に移せばかえって回収比率が下がる仕組みで、G7が中国の「飛ばしの手口」を封じた格好となる。

将来的に、米経済の回復を先取りする形で「ドル安是正」が進み、金利正常化の観測が強まれば、ドル建ての途上国債務は一段と膨らむリスクも抱える。「懸念がより深くなる前に、早い段階で債務問題の出口が見える状況にしておく必要がある」と、日本の政府関係者は言う。

IMFは、21年には国内総生産(GDP)に対する債務残高比率が19年末に比べて先進国で20%、新興国で10%、低所得国で7%増えるとそれぞれ試算し、「低所得国の約半数、新興市場国の数カ国がすでに債務危機の最中にあるか、危機に直面しつつある」と警鐘を鳴らす。

「コロナ禍から回復し始めた矢先に、これらの多くの国がデフォルト(債務不履行)や資本流出、緊縮財政による『景気後退の第2波』に見舞われかねない」とも、IMFは指摘する。

債務危機が経済を不安定化させる事態を回避できなければ、日本の収支構造にも影響を及ぼすのは必至で、海外投資を通じた利子・配当収益が支える経常黒字が縮減する可能性がある。

<デジタル課税・通貨に課題も>

12日の会議ではこのほか、経済協力開発機構(OECD)が導入を検討するデジタル課税のあり方について議論する見通しで、トランプ前政権が後ろ向きだった国際的なルール作りが進展するかが焦点となる。

先行するデジタル人民元を念頭に、デジタル通貨を巡る議論を深められるかも課題だ。

今年からG7首脳会議(サミット)の議長国となる英国は、コロナ危機からの「より良い復興」を最優先に、G7が結束して諸課題に対処する姿勢をアピールしたい考え。

21年6月に予定されるサミットや国連が11月に英グラスゴーで開く気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を念頭に、各国の財務相・中銀総裁は、財政出動を伴う経済対策や気候変動にどう対処するかで足並みをそろえる。

米国が議長を務めた20年はG7サミットを開けなかった。

(山口貴也 編集:久保信博)

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