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コンビニのビジネスモデルは老朽化 本気の改革は進むのか

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我が国のコンビニ店舗数が国内5万店を超えた段階で従来のビジネスモデルは限界点に達すると、以前からマーケティング専門家の間ではいわれてきました。すなわち、その先従来型のビジネスモデルのままでは、成長は見込めないということです。

そしてすでに18年度末時点で全国のコンビニ店舗数は、6万店超えに。それに呼応するかの如く、時同じくして起きたコンビニ・フランチャイズオーナーたちの反乱問題。

限界点を越えたコンビニは、今さらにコロナ禍という逆風も浴びて早急な大変革が求められているといえます。日本のコンビニの誕生から約半世紀。曲がり角に来たともいえるコンビニ・ビジネスはどのように変貌し、生き残りをはかっていくのでしょうか。

24時間営業というコンビニの根本を見直さざるを得ない事態に

BLOGOS編集部

コンビニエンスストアのビジネスモデルは、あらゆる場所で24時間営業することで「どこでもいつでも買い物ができるコンビニエンスな(便利な)店」を実現し、その運営対価として商品は定価販売し利益確保する、というビジネスモデルを基本としています。

しかし、コンビニ店舗の飽和を越えた出店による1店舗当たり売上および利益の低下に加え、コスト削減目的および若年労働力不足によるオーナー家族の労働環境が悪化。

24時間営業の拒否や食品廃棄コスト削減目的での一部商品の値引販売の許可などを求めて、一部フランチャイズ・オーナーが立ち上がるという事態に至り、世間を騒がせることになったわけなのです。

しかしこの問題、世間の受け止め方は単に「コンビニ本部対加盟店オーナーのもめ事」にとどまることなく、むしろ登場から約半世紀を経たコンビニのビジネスモデルの老朽化という点にまで言及されるに至って、24時間営業というコンビニ・ビジネスの根本すら見直しを迫られるかもしれないという状況に追い込まれてきました。

当初、コンビニ本部サイドからいくつかの小さな動きはあったものの、昨年はコロナ禍対策に追われていたことあり、対応をやや先送りにした感が強かったこの問題。

昨年9月公正取引委員会(以下公取)が、問題に関連した公式コメントを出し様相が一変しました。公取は、コンビニ本部の24時間営業強制および値引販売拒否を「独占禁止法の優越的地位の濫用にあたる恐れがある」と表明。各コンビニ本部に激震が走ったのです。

しかしコンビニ本部サイドとすれば、24時間営業は閉店・開店業務を排除しつつ深夜帯に仕入れや陳列の整理、店舗清掃などをおこなうという効率的な店舗運営の要でもあるわけで、そう簡単に放棄するわけにはいきません。

しかも、24時間営業をやめてコンビニエンスでなくなれば、定価販売も守り切れなくなるわけで、コンビニはミニスーパー化して価格競争に巻き込まれて衰退の道を歩むことは目に見えてもいるのです。

となると、公取監視の目を逃れるためのコンビニ本部の策は、「24時間営業も値引販売禁止も強制でなく、加盟店了解の上でやっていく」ということになるわけで、最終的には加盟店オーナーたちと利益面や労働環境面でいかに折り合いを付けるか、という方向に向かわざるを得なくなったのです。

多くの店舗で契約更新 「コンビニ2020年代問題」が迫る

Getty Images

この加盟店オーナーとの折り合いという課題に関連して、コンビニ本部は実はもうひとつ大きな問題を抱えています。それは、この先5年で全コンビニ契約店の約3割が契約更新時期を迎えるという、いわゆる「コンビニ2020年代問題」というものです。

店舗の飽和状態にコロナ禍のダメージも加わり売上・収益は下降線をたどり、かつ24時間営業によるオーナー家族の労力負担は契約意欲を大きくダウンさせています。

このままの状況で、万が一にも加盟店舗数が大きく減るようなことになるなら、現状のビジネスモデル維持が難しくなることも否定できないのです。

すなわちこのような諸事情も勘案するならば、コンビニ本部は以前のような強気一辺倒での対応はしづらくなったといえるでしょう。

このようにコンビニ・ビジネスは文字通りの内憂外患といえる状況下に置かれ、各陣営は手探りながらようやく具体的な対応策を出し始めたわけなのです。

しかし、この陣営ごとの対応策には明らかな温度差がうかがわれ、それぞれのコンビニチェーンが置かれた状況差を如実に表しているようにも思えます。

「守り」と「攻め」コンビニ各社で異なる戦略

もっとも踏み込んだ対応をみせたのは、業界4位のミニストップです。本部と加盟店の利益配分を見直しし、基本的に「利益折半」という思い切った方針を打ち出しました。

店舗数でも上位3チェーンとは大きな開きがありブランド力の弱さは否めないだけに、利益に直接手を付けるという苦渋の対応には加盟店引き止めに向けた大きな危機感が感じられます。

業界2位のファミリーマートも、かなりな譲歩をみせています。全店から営業時間の見直し希望をとって結果約1割の店舗で深夜営業の休止を認め、さらに店舗独自での日配品の値引販売も容認する対応を発表しました。

BLOGOS編集部

数字上は売上、店舗数とも業界2位とはいえ、旧サークルKサンクス(大元はサークルKとサンクスの合併)を統合しての寄り合い所帯であり、セブンイレブン、ローソンにはブランド力的に劣るだけに、加盟店引き止めをより強く念頭に置いた対応になっているのではないかと思われます。

一方、ブランド力に勝るセブンイレブン、ローソンに関しては、少し対応が異なっているようです。セブンイレブンは、オーナー負担経費の一部本部負担への見直しはしたものの、24時間営業、値引販売、利益配分に関しては静観の構え。

むしろ、店舗特性ごとの品揃えの見直しやグループ共同での宅配網の整備・強化で差別化をはかり、オーナー利益の増強をはかる戦略をメインに据えています。ローソンも基本的な対応姿勢は同様です。

無人稼働システムの導入等によりオーナー家族の負担を減らしつつ、無印良品との提携戦略等で「ローソンにしかないものを増やす」という差別化戦略に力点を置いた対応をみせているのです。

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