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【6回→5回で代金は?】

ファイザーの瓶(バイアル)に入っているコロナワクチンを使う際に注射器(シリンジ)と針の組み合わせを工夫することによって「5回」ではなく「6回」のワクチンを接種できることは先月、アメリカで報道されていました。

それも現場の薬剤師たちが気づいてクチコミで広がったようです。

ファイザーは「バイアル(瓶)の数」ではなく「ドース(接種)の数」で課金していて、アメリカ政府との元の契約が「5回」となっていたことから、去年のクリスマスごろから「6回」とするために働きかけを強め「最大6回」などの選択肢を経て1月6日に「6回」という文言を勝ち取ったそうです。

要はひと瓶あたり同じ量のワクチンなのに「6回」としたことで、ひと瓶の価値が20%上がった形です。

ファイザーとしても当然、6回確保できることは知っていましたが、去年12月の時点ではアメリカの接種会場で効率的な注射器が用意できるかわからないとして、ひとまず「5回」と申請したそうです。

「ひと瓶」ではなく「1回の接種」で課金されるのですが、日本の場合は、注射器を用意できないために「5回」となるため、残った分は廃棄される見通しです。

アメリカ政府は注射器を用意できない場合にはひと瓶6回ではなく5回として課金することなどで合意したそうです。

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1月22日のNew York TimesはPfizer WIll Ship Fewer Vaccine Vials to Account for ‘Extra’ Doses(ファイザー、”余剰”回数分を加味してワクチン瓶の出荷を減らす)で、この中でひとつの瓶に実は1回の余剰分が入っていることが発見されたあと、「接種回数」で課金するファイザーの経営陣がFDA=米食品医薬品局に対してロビーを強め、成功したと報じていました。

去年12月にワクチンの出荷を始めた当初、ファイザーはひと瓶あたり5回分のワクチンが含まれていると説明していましたが、全米の薬剤師たちはすぐに6回分を絞り出せることに気づいたということです。

一時は許可がないとして、6回目の接種分は破棄されていました。その後、ファイザーが6回分を前提に供給を始めることになったものの、接種会場の中には特殊な注射器を入手できずに確実に6回を接種できないとしています。

ファイザーは連邦政府との間の契約で「接種回数」によって代金を受け取るため、去年のクリスマスごろから緊急承認の契約を「6回」に変更するため働きかけを強めし、ことし1月6日にFDAが医師に向けたファクトシートで6回分入っていることを示し、WHO=世界保健機関やEUの保健当局でも同様にラベルの更新が行われたとのことです。

この結果、ファイザーはもともと年内に予想していた13億回分を20億回分に増やすことができたといいます。同じ量のワクチンなのに1億回分が突然、1億2000万回分に増えました。

FDAは、効率的な注射器を十分に確保できない恐れがあるとして、「最大6回」など、より慎重な表現を取ろうとしたものの、接種会場の70%がすでに効率的な注射器を使い、容易に製造できるという説明を受けたといいます。

そもそもファイザーが「5回」と説明していたことからFDA内では不安が広がりましたが、より多くのアメリカ国民にワクチンが行き渡るという利点を評価しつつ、仮に効率的な注射器を十分に確保できなかった場合には1回分が無駄になり、その負担を政府が負うことになるとみていたとのことです。

関係者の話として、ファイザーと連邦政府は▼効率的な注射器を用意できる接種会場を追跡調査すること、▼注射器を用意できない場合にはひと瓶6回ではなく5回として課金することなどで合意したといいます。

一方、ベルギーなど欧州各国ではファイザーから出荷される瓶の数が減ったため現場で混乱が起きているといいます。

こちらがFDAの緊急承認の修正です。https://www.fda.gov/media/144955/download

こちらがFDAが医師向けに出したファクトシートで「注射器/注射器によってはひとつの瓶から6回分の接種が可能だ」とあります。https://www.fda.gov/media/144413/download

2月3日のWashington PostはPfizer spent months working to extract sixth dose from vials as vaccine production shortfalls loomed(ファイザー、ワクチン供給が追いつかない中で6回分確保に向けて何か月も尽力)の中で、ファイザーが去年8月から米マサチューセッツ州のラボでコロナワクチンの瓶から5回ではなく6回目の接種分を確保するために研究を続け、去年12月11日に発表された米FDAの緊急承認をことし1月6日に修正させることに成功したと伝えていました。

この結果、ワクチンを20%多く確保して販売できることになりました。

ただし、このボーナス分は、州当局や保健当局の関係者には突然伝えられたことで、特殊な注射器の確保に向けて混乱が広がったとしています。

ファイザーはそもそも去年12月の緊急承認の際に「6回」で申請した理由として、特殊な注射器が確保できない可能性を挙げていたということです。

その後、注射器と注射針の組み合わせ次第で、0.3ミリリットルのワクチンを6回確保できることに自信を得たとしています。ファイザーは6回を接種するのに必要な注射器/注射針の組み合わせを35通り認証したとしています。

Low-dead-spaceと呼ばれる効率的な注射器は一般的な注射器よりも値が高く、1滴たりとも無駄にできないがんの治療薬など高価な医薬品に使われるものです。

世界最大の注射器メーカーのBDは先月、すぐに生産ラインを増やすことは難しいと説明したとのことですが、アメリカ政府との契約に基づき、去年ネブラスカ州で一般的な注射器を作るための工場の建設に着手し、この夏までに完成するとしています。

2月10日のThe GuardianはJapan to discard millions of Pfizer vaccine doses because it has wrong syringes(日本、適切な注射器を準備できないことからワクチン数百万回分を廃棄へ)の中で、日本政府が1億4400万回分のワクチン接種を確保していたはずだが、効率的な注射針が準備できないため、同じ量ではあるものの、7200万人(ひとり2回接種)ではなく、6000万人しか確保できなくなったと伝えています。

日本政府はファイザーのコロナワクチンひと瓶から6回接種できることを前提に計画を立てていたものの、日本で出回っている注射器では5回分しか採取できないとのことです。

日本では15日にファイザーのコロナワクチンが承認されたあと、早ければ17日に接種が始まるということです。

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