
アンケートは、“あそび”と“こども”のラボラトリー(研究室)「HoiClue」(運営は保育士支援・子育て支援を軸とするWebサービスの運営・開発を行う株式会社キッズカラー)が実施したもの。
実施期間は、2021年1月13日~2021年1月18日、回答数は485件だった。 設問は以下となっている。
・新型コロナ感染が拡大するなかで、特に「不安」に感じていることは?
・新型コロナ感染が拡大するなかで、特に「負担」に感じていることは?
・万が一、職員や在園児が感染した場合の対応策について、園で準備している?
・緊急事態宣言下での保育を通して、こんな情報や支援がほしい(または必要だ)…と思うことを具体的に教えて!
・4月の緊急事態宣言の際の経験を活かし、今、保育で配慮していることがあれば、教えて!
詳細はサイトをご参照いただきたいが、気になる答えをピックアップしてみた。
■「不安」は、自分が感染するプレッシャー
「新型コロナ感染が拡大するなかで、特に「不安」に感じていることは?」の設問には、58.1%が「自分が感染してしまったら」と回答している。子どもや園、保護者への影響が大きいことからプレッシャーをより感じていることが分かる。
特に「感染対策は色々しているものの、完全に感染を防ぐ方法がない中、保育を続けなければならない恐怖は、医療従事者に勝るとも劣らないと思います」「保育士はリモートワークできない職種なので、通勤中が感染のリスクが特に高く心配」との回答は考えさせられる。
エッセシャルワーカーは医療従事者だけでないことは言うまでもないが、完全に防ぐことができない状況で、もし感染が分かった場合にどのようなバッシングがあるかの不安がこの背景にはあるのでは、と思えるからだ。

■犯罪者扱いの恐怖
感染が分かったこと(陽性が判明し、発症していない状態)で、犯罪者扱いされてしまうことの恐怖がそこにはあるのではないか。保健所の指導でPCR検査は不要とされても、保育園を休園にしろ、全職員と園児を検査しろ、兄弟姉妹も含めて検査だとの声を聞くことがあるからだ。
不安な気持ちは分かるが、それは誰でも同じこと。誰かを標的にして攻撃することで不安を解消することはあってはならないが、現実的に同じようなことが行われているように思えてならない。
具体的に、準備をしている(対応をした)ことは…? への答えに「保護者にメールを送る際に、当事者探しはしないでください、など感染者を守る文は入れていました」との一文がこの“恐怖”を物語っていないだろうか。
専門家である保健所の指導により冷静な判断がおこなれたのであれば、そこで話は終わる。さらに不安を煽ることはすべきではない。
■我慢ばかりの日々
他には、「先が見えない不安で気持ちも暗く、我慢ばかりの日々で辛くなってしまう」など先行きへの不安。「対策によってかなりの活動が限られている中で、乳幼児期で育ててあげたい土台となる部分をうまく援助してあげられないことが多くあります」など本来の保育ができないことの葛藤が分かる。新型コロナ感染が拡大するなかで、特に「負担」に感じていることは? への回答で最も多かったのが「感染の可能性を気にしながらの保育」で40.2%。
一方で自由回答欄に「地域住民から声がうるさいから窓を開けるなら園に怒鳴り込むと言われ、換気が一切できず、感染リスクが高まっている気がする。地域住民への換気の必要性を訴えて欲しい」との回答があったことには困惑してしまう。
保育園は迷惑施設なのか、コロナ禍でもか…、と。

■不安や犠牲を抱えての保育
さらに「マスクをしない乳幼児、密な関わりの私たち保育士も、色々な不安や犠牲を抱えながら命をかけて預かっています!もう少し行政も、取り上げてほしいです」「行政からの具体的な指示もなく、予定していた行事や日常においてどのような対策をし決定していいのか悩んでしまう」「保育の現場でも医療従事者の方々の子どもさんをお預かりしているのです。保育の現場ではどのような生活をしているのか、感染のリスクが高い中、子どもたちに全力で保育をしている姿、様子を行政の方に上げて欲しいです。医療の方には特別手当はあるのに保育の現場にはないってどうなのかなと思います」との答えもあった。対応策の正解は簡単には見いだせないが、不安を煽ること、保育園、保育士もこの状況下で悩みながら保育をしていることを理解しておくこと。そして、換気のための窓ぐらいいいと思えるような社会にと願わざるを得ない。議会としてできることも考えたい。
【参考】
HoiClue 感染拡大のなかでの保育、どう感じている?アンケート結果 ~withコロナでの保育情報交換アンケートvol.3~