一人のときは、どうしても片側に寄せて立ちます。真ん中に立つことはありません。
自然と片側が空くことになりますが、他方で親子で、しかも子が小さいときは、必ずしも一列に並ぶというのは安全面からいっても問題があります。
埼玉県議会で、自民党議員団がエスカレーターでは歩かないということを努力義務を科す条例を検討だそうです。
「「エスカレーターは歩かない」条例案を県議会に提出へ…可決なら全国初」(読売新聞2021年2月9日)
確かに危険です。子どもを連れた場合、身障者と補助の方の場合、大きな荷物を持っている場合、とにかく危険が隣り合わせです。
デパートやスーパーなどのエスカレーターで歩いている場面を見ることはほとんどありません。駅などは移動中であるということもあり、急ぐ人たちが多いことも事実です。
ただやはり急いでいるが故に安全配慮がおろそかになり事故が起きがちなのでしょう。急ぐのであれば階段を使うべきです。
「エスカレーターの片方を空けるのは時代遅れ? 安全優先への転換」
エスカレーターは動いているということと狭いということが問題ですが、エスカレーターの隣りに階段がなかったりすることも多々あり、どうなのかなと思ったりすることもあります。
そもそも降りるときくらいは階段で十分のように思ったりもします。エスカレーターは身障者や高齢者のためということでいいのですが、如何せん階段がなかったりすることもあり、割り切れない状態というのは歯痒く思います。

以前、札幌駅で私もそのように2列で利用してエスカレーターを下っていたとき、後ろから空けてください、と言われたことがありました。仕方なく空けましたが、釈然とせず、JR北海道に質問しました。
するととても明快な回答がありました。
「大きなスーツケースをお持ちのお客様や、お身体が不自由で介助の方と並んでご利用頂いているお客様など、エスカレーターの片側をあけることのできない事情のあるお客様も多くいらっしゃることから、こうしたお客様の安全を確保しなければならないと考えております」結局、片側を空けなければならない、そうしないと非常識というような雰囲気があるために片側を空けられない事情がある利用者が無理をして片側を空けるということになり、安全性にも問題が出てきてしまいます。
本来、堂々と並んで利用できるはずなのに利用できず安全が確保できないということであれば重大な問題です。
エスカレーターの上では止まって乗る
これを常識にしたいものです。
条例でこの努力義務を科すということの是非はあろうかと思います。
「知事には施策の実効性を持たせるため、事業者への指導や助言のほか、条例に違反した事業者への勧告や公表などの権限も設ける方向だ。」(前掲読売新聞)エスカレーター利用者に対して呼び掛ける程度のことで良く、それ以上にこのような事業者名の公表などは必要ないように思います。
特に問題になるのは駅や空港です。朝のラッシュ時にはそんなこと言ってられないということになるのでしょうか。
実際には既に各社ともエスカレーター上を歩くことの防止のための周知は行っているところであり、いかにトラブルなく事業者がスムーズに実現できるかを考えるべきで、事業者への指導というのは違うのではないでしょうか。