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「後任は安倍元首相か」IOCの手のひら返しで新局面に入った森会長問題

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IOCが「完全に不適切」との声明を発表

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性蔑視ととれる発言で批判を集めている東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長。自身は発言を撤回して謝罪したが、会見が「逆ギレ」となってしまったこともあり、問題は日々拡大中だ。

首相在任中の国会答弁の誤りについて、参院議院運営委員会で経緯を説明する自民党の安倍晋三前首相=2020年12月25日、国会内
首相在任中の国会答弁の誤りについて、参院議院運営委員会で経緯を説明する自民党の安倍晋三前首相=2020年12月25日、国会内 - 写真=時事通信フォト

菅義偉首相ら政府・自民党は、森氏の会長続投を容認し続ける道と、「自発的辞任」を促す道の両にらみの状態だが、どちらの道も険しい。

問題の発言は2月3日、JOC(日本オリンピック委員会)の臨時評議会で起きた。日本ラグビー協会での経験談を紹介しながら、女性蔑視発言をした。この日は、「オリンピック、どんなことがあってもやります」とも発言。世界で新型コロナウイルスの感染が止まらない現状を理解しているのか、という批判もあがった。その2日前に自民党本部で発言した「(密を回避するために)有名人は、田んぼを走ったらいいんじゃないか」も物議を醸している。

これに対し、内外のメディア、国際機関、女性団体、スポンサー企業……あらゆるところから批判が吹き出しているのはご承知の通り。野党が森氏を強く批判して辞任を求めるのは当然として、自民党内からも後藤田正純、泉田裕彦の両衆院議員らから責任追及の声があがる。

いったんは森氏の謝罪で「不問」としていたIOC(国際オリンピック委員会)も9日「(森氏の発言は)完全に不適切」との声明を発表した。IOCの「手のひら返し」は、森氏を守り切れない、という判断に傾いてきたということだろう。「森問題」は新局面を迎えた。

女性議員は、森氏や二階氏に対する批判コメントを求められ…

批判の矛先は森氏にとどまらない。女性蔑視発言に怒り、大会ボランティアの辞退者が続出していることについて二階俊博自民党幹事長は「(ボランティアを)どうしても辞めたいなら、新しいボランティアを募集する」などと発言。コメントを求められた橋本聖子五輪相は9日、衆院予算委員会で「真意は把握していないが、不適切だった」と述べた。

スイス・ローザンヌにある国際オリンピック委員会(IOC)の新しい本部「オリンピック・ハウス」
スイス・ローザンヌにある国際オリンピック委員会(IOC)の新しい本部「オリンピック・ハウス」 - 写真=iStock.com/Bogdan Lazar

党内における二階氏と橋本氏の「格」の差は歴然としている。「格下」の橋本氏が二階氏に苦言を呈するのは異例。普通なら「真意は把握していないのでコメントは控えたい」のような答弁でお茶を濁すところだ。橋本氏ら、女性議員たちは、この問題で曖昧な対応をとると自分も批判されるという危機意識を持っているのだろう。

実際、稲田朋美、野田聖子の両衆院議員ら、知名度のある女性議員たちは、森氏や二階氏に対する批判コメントを引きだそうとするマスコミに追いかけ回されている。

麻生氏は「子どもを産まないほうが問題だ」とも発言

9日の予算委員会では麻生太郎副総理兼財務相も追及を受けた。麻生氏は2019年2月、自身が「年寄りが悪いみたいなことを言う変なのがいっぱいいるけど、それは間違いだ。子どもを産まないほうが問題だ」と発言したのだが、この問題について現状での認識を問われた。

失言の多さでは森氏に負けない麻生氏は「いつの発言だか、まったく記憶がない」と述べたが、女性がらみの失言をしたことがある政治家たちは、しばらくの間「過去」を蒸し返されることだろう。

しかし、今後最も追及を受けるのは菅義偉首相となりそうだ。菅氏は8日の衆院予算委で森発言について「国益にとって芳しいものではない」と語ったが、森氏に辞任を求めるよう迫られると「組織委が決めること」を繰り返した。

「鈴つけ役」は菅首相しかない

今回の問題が起きてから森氏は、いったん辞意を固めたが、組織委の会長代行・遠藤利明氏、事務総長の武藤敏郎氏らに強く慰留されて翻意したと説明している。森氏を守ろうとする組織委の体質そのものも批判の対象となっている。

そんな中で菅氏が「組織委に判断を委ねる」という立場をとり続ければ、事実上、森氏の続投を容認することと受け止められる。これでは、「ラスボス」森氏に忖度しているようで、政権のイメージダウンは避けられない。

政権内部では、森氏が辞任するシナリオが練られ始めている。森氏が自発的に辞める形で、名誉を残して後進に道を譲るイメージだ。ただ、この場合、問題は2つある。1つは、誰が森氏の首に鈴をつけるか。遠藤氏や武藤氏では役者が違う。小池百合子東京都知事が訴えても森氏は言うことはきかないだろう。二階氏は、自身も批判されているだけに「鈴つけ役」にはなれない。

役割は菅氏自身が果たすしかない。首相自ら乗り出す場合、失敗は許されないので、綿密なうち合わせが必要だ。

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