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トヨタ、通期営業益2兆円に コロナからの回復想定以上


[東京 10日 ロイター] - トヨタ自動車は10日、2021年3月期通期の連結業績予想(国際会計基準)を上方修正したと発表した。営業利益は前期比16.6%減の2兆円となる見通し。従来は1兆3000億円を見込んでいたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響からの回復が想定より早く進んでいるためで、グループ全体の世界総販売計画も31万台上積みした。

IBESのコンセンサス予想では、アナリスト23人の通期営業利益予想の平均値は1兆5351億円。会社側の上方修正後の数値は市場予想を上回った。

通期の上方修正は昨年11月の中間決算に続き2度目。通期純利益は前期比6.7%減の1兆9000億円となる見通し。従来予想は1兆4200億円だった。売上高に相当する営業収益は前期比11.3%減の26兆5000億円の見通しで、従来予想の26兆円から引き上げた。

営業利益は昨年4─6月期は前年同期比約98%減の139億円まで落ち込んだが、7─9月期は約23%減の5060億円に急回復、10─12月期は54%増の9879億円と四半期だけで1兆円近くを稼いだ。

近健太執行役員は同日のオンライン会見で、コロナ感染拡大で4─6月期は収益は落ち込んだが、3カ月単位で「徐々に回復している」と説明、「足元3カ月でみると各地域で増益を達成している」と述べた。ステークホルダーとともに「リーマン・ショック時から続けてきた努力、コロナ禍でも当たり前のことをやっていく努力の成果が出た」と振り返った。

いちよし証券投資情報部銘柄情報課の及川敬司課長は「上方修正は予想通りではあるものの、内容的にはかなりのサプライズ。もともと保守的に業績予想を組む会社が、この規模の上方修正を発表すると見ていた投資家は少ないのではないか」と話した。

<半導体不足の影響、今夏前に解消の可能性>

近氏は、自動車メーカー各社が直面している半導体不足の影響について、「世界的に半導体が逼迫している状況は同様だが、足元で非常に(大きな)減産があるという状況にはない。ただ、先までずっと大丈夫かというとそうではない。やはりリスクとしてはある」と語った。半導体の価格動向に関しては「価格の上昇は一定程度あると思う」と述べた。

他社では半導体不足の影響は今夏まで続くという声があるが、「調達部門やサプライヤーに聞いているところでは、そこ(今夏)まではいかないかもしれない」との見方も示した。

近氏はまた、他社に比べて影響が軽微である背景について、リーマン・ショック以降、供給が途絶えたことを踏まえ、サプライヤーとともに「初動としてリスクがどこにあるのかを『見える化』する取り組みをしてきた」と指摘。「仕入れ先に結構、確度の高い生産計画を月次、向こう何カ月、長いものでは3年まで提示しており、それをずっと繰り返してきている」ほか、「BCP(事業継続計画)の対応として半導体は、部品によって違うが、1─4カ月程度の在庫を保有している」と述べた。

トヨタは半導体不足による生産や販売への影響台数を公表していない。同社広報によると、修正後の通期の業績予想や世界販売計画に半導体不足の影響は「リスクとして織り込んでいるが、その規模は限定的」という。

株価への影響に関連して、SBI証券の鈴木英之投資調査部長は「半導体不足に関して、トヨタは足元では大きな影響を受けているわけではないことも支援材料となっているようだ」と話している。

<世界販売計画も上方修正>

日野自動車、ダイハツ工業を含むグループ全体の通期の世界総販売計画は973万台(従来は942万台)に上方修正した。地域別では、北米が230万台(同233万台)、日本が210万台(同204万台)、アジアが124万台(同119万台)、欧州が97万台(同93万台)を見込む。

世界販売実績は、コロナ感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)などの影響で落ち込んだ4月を底に回復。10─12月期の世界の連結販売台数は前年同期比6.9%増の235万3000台。日本は14.7%増、北米は12.7%増、欧州は14.8%増となった。

10─12月期のトヨタ車・レクサス車販売は同6.8%増だった。主力市場の中国や米国での販売回復が寄与した。コロナの影響からの回復ペースについて、中間決算時には10─12月期が前年並み、21年1ー3月期は前年同期比5%増と想定していたが、足元の好調を受け、1─3月期を同10%増へと引き上げた。

想定為替レートは1ドル=105円(従来106円)、1ユーロ=123円(同121円)に見直した。

<トヨタ労組、決算内容「追い風になると思っていない」>

トヨタ自動車労働組合は10日、21年春闘での要求を正式決定した。定期昇給などを含めた賃上げ総額として、昨年の妥結額より600円高い全組合員1人当たり平均で月9200円(昨年の要求は1万0100円)、一時金(賞与)は年6カ月分(20年の要求・実績は6.5カ月分)を求める。基本給を底上げするベースアップ(ベア)に当たる賃金改善分が要求に含むかどうかについては非公表とした。

トヨタは同日、4─12月期決算と通期業績予想の上方修正を発表したが、トヨタ労組の西野勝義執行委員長は記者団に対し、「単に業績だけでこの要求を考えているわけではなく、自動車産業の置かれている環境、一緒に働いているオールトヨタの仲間の状況なども踏まえ、総合的に勘案しながら決めた要求だ」と説明。「一時金6カ月の要求水準もたいへん厳しい交渉になる」との見通しを示し、決算結果だけで「何か追い風になるとは思っていない」と述べた。

*トヨタ労組のコメントを追加しました

(白木真紀、内田慎一 取材協力:伊賀大記 グラフ作成・編集:田中志保、橋本浩)

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