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拡がるネット通販-進化する物流システムと暮らし - 土堤内 昭雄

ネット通販がわれわれの暮らしに大きな影響を与えている。日本経済新聞社と日経BP社の「第1回ネットライフ調査」(2012年10月)によると、日常的な買い物の2割はインターネット経由だという。また、(社)日本通信販売協会「通販市場売上高調査」では、2011年度ネット通販売上高は5兆900億円と前年度を約4,200億円上回り、全国の百貨店売上高6兆2,158億円に近づきつつある。

私が最もよく利用するネット通販は書籍の購入だ。その理由は3つある。ひとつはかなり専門的な本でも在庫があること。2つめは発注すると翌日には手に入ること。3つめは価格に係らず配送料無料であること。そしてわずかながらもポイントがつき、購入履歴が残り、年間の書籍代を把握でき、クレジットカードのポイントを移行して使うととてもお得感がある。

このように利用者が、早く、安く、確実に、欲しい商品をネット通販で入手できるようになった要因はなんだろう。第一は、高度に発達した物流システムだ。東京圏では圏央道や湾岸エリアに超大型の物流センターが次々と建設され、即日配送に向けた物流拠点の整備が進んでいる。第二は、商品の発注手段の拡充だ。商品はパソコンのほかに携帯電話、スマホなどを使って24時間どこからでも注文できる。これらモバイル端末が高齢者などに普及してきたために、通販利用者の年代が大幅に広がっている。第三は、商品の受け取り方法の多様化だ。最近建設されるほとんどのマンション等では宅配ボックスを備えており、近所のコンビニや駅の宅配用ロッカーでも受け取りが可能だ。また、きめ細かい配送時間帯の指定により自宅に不在がちの人も確実に商品を入手できる。

そして最近では配送費の無料化の動きが拡がっている。これまでは一定金額以上の場合は送料無料が一般的だったが、衣料通販サイト大手の「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイは、今年11月から原則全商品の送料無料化に踏み切った。このようにネット通販は、配送コストの削減や入口(発注方法)と出口(受取方法)を含む物流システム全体の進化によりわれわれの暮らしを大きく変えている。

対面販売ではないネット通販は、人の顔が見えないだけに商品やサービスに関する利用者の生の書き込み情報などが大きな影響力を持ち、“ネット(掛け値なし)”のコミュニケーションが重要になる。そしてネットワークを介して商品やサービスに込められた送り手の“思い”を、受け手である消費者に伝えることが高い付加価値につながるのだ。私が先日ネット通販で買った日用品には、生産者の手書きメッセージカードが添えられていた。

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