森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視発言は世界に衝撃を与えました。国内外から森氏辞任の声が高まる中、IOCは責任を問わず、オリパラ組織委幹部は慰留し、菅政権内からも辞任を求める声が起きていません。
森氏の暴言・失言は昔からですが、その都度強い非難を浴びてきました。かつて、森氏が首相就任から一年で辞任せざるを得なくなったのも、自身の度重なる失言で政権支持率が10%以下になるなど求心力が急速に低下したからに他なりません。
それでも、首相退任後の森氏が自民党内外で影響力を保ってきたのは調整力や人脈が抜きんでていたということらしいですが、今回の発言は今の時代にありえない露骨な性差別発言で、到底看過できるものではありません。さらに、記者会見の態度は開き直り・逆切れそのものだったので、もはや救いようがありません。
一連の森氏の発言を受けてさら今夏のオリパラ開催に否定的な声が強まる中で、来週にはIOCのバッハ会長、小池都知事、橋本五輪相、森氏による4者会談が予定されているようですが、そこでも森氏が続投ということになれば、オリパラ開催への支持率は辞任直前の森政権の支持率以下になるでしょう。
個人的な考えを述べれば、そもそも私は五輪の商業主義自体に否定的な感情を持っていたし、(ロンドンやパリなども含めて)二度も同じ場所で開催するべきではないと思っていたことから、2020年の東京オリパラ開催の自体に賛成ではありませんでした。開催が決まった2013年当時は安倍政権の支持率が高かったこともあり、「五輪開催に反対するのは非国民」のような雰囲気がありました。当時は、安倍政権や親安倍メディアが旧民主党政権を徹底的に攻撃していたことから、世間は自民党の公共事業・イベント依存体質に対して多分に甘かったのではないかと思います。
それでも一度開催が決まって準備も整ったものだから、私は関係者のこれまでの尽力を考えると中止よりも延期の方が望ましいと思い、どう延期すべきかについて度々提言を行ってきました。しかし、ここまで主催者達の頭の中が世間と乖離しているとなると、もはや延期さえも支持できないというのが正直なところです。そもそも、今現在の日本と他国の感染状況を比べてもオリンピックが開催できない原因は日本側にあるとは言えないにもかかわらず、主催者達は今夏に開催することしか考えたくないらしく、延期のプランに関して対外的にまともに交渉しようする姿勢さえないように見えます。
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- 2021年02月09日 20:09
森氏続投は世論を「中止」に導く
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