アプリのダウンロードランキングで1位になるなど、日本で急速拡大中の音声SNS「Clubhouse」。“音声版Twitter”とも称されているが、実はそのTwitterも今同様のサービスを開発中との噂がある。
「非常にClubhouseに似ている。Clubhouseの人気が出てきた需要を見込んで、音声でグループチャットをTwitterが作った」
ITジャーナリストの鈴木朋子氏は、Twitterが去年12月からベータテスト中の音声チャットサービス「Spaces(Spaces)」を体験。Clubhouseと同様、音声のチャットルームで会話をするという点は共通しているものの、Spacesならではの特色があるという。
「Clubhouseは番組一覧的に今どんなトークルームがあるかトピック名が出て、その中に入っていく。Twitterは自分がフォローしている人が始めたという感じで、何の話題かもわからないけれども、とりあえず自分が繋がっている人が話し始めたから私も参加しようというもの。
Clubhouseは向こうが話していることを聞いていて、すごい面白いと思っても自分がスピーカーにならないと何も言えないが、Spacesの方は絵文字が5種類用意されていて、面白かった時は100点とか自分の意思を表明できる。すると向こうも話しがいがあるというか、『この話はウケたんだな』といった反応を見ながらお互いにできるので、交流が深まる音声チャットかなと思う」
音声SNSとしてClubhouseが確固たる地位を獲得しつつある中現れた、TwitterのSpaces。覇権を握るのはどちらのサービスになるのか。
「今までのソーシャルグラフ(関係性)をそのまま使いたい人はTwitterにいって、仲良しの人と雑談をしたりというのが多いと思う。一方で、広くいろんな情報を集めたい人、いろいろセミナーとかジャンルの違う人たちの話とか、新しい出会いが欲しい人はClubhouseにいくと思う。
まだ早い段階の判断だが、Twitterは日本語ですぐ始められるということもあるし、反応ができたり、字幕の機能もあって耳が聞こえづらい人でも参加できる。SNSとしてずっとやってきた実績があるので、ちゃんとしたものを作ると思う。TwitterのSpacesの方が期待は高まっている」
ここ最近で音声SNSが増えてきていることについて、臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は「やはり肉声で話せることがひとつの魅力だと思う。一方で、新しいSNSが出る時は、『最新のツールやコミュニケーションを絶対に逃したくない』という、ある種の不安を抱えた性格の人や職業の人から広がっていく面があると思う」とコメント。
音声SNSはより“ながら”ができるようになっていることがひとつの鍵だとし、「動画やテキストだと、視覚と手を動かすことが必要だが、音声だけだと何か他のことをしながらでもできる。人の集中力は時代とともにどんどん減ってきていると言われているが、注意が複数の対象に分散する中で、同時にいろいろな情報を得たいというニーズもあるのではないか」との見方を示した。
では、これらの音声SNSは定着していくのだろうか。「ClubhouseもSpacesも、『話したい』というコロナに関係した需要がほぼ確実にあると思う。仮にコロナが落ち着いたら、その需要も少し落ち着くのではないか。例えば、今Zoomでビジネス上のやり取りをしていても、画像をオフにして音声だけでやりとりをしていることも少なくない。音声だけでやりとりするコミュニケーションツールとしては残り続けていくのではないか」とした。
加えて藤井氏は、今後のSNSに求められうる機能にも言及。「一言でいえば、『まとめとグラデーション』。個人的には、音声チャットを聞く側のとき、内容がダイジェストで短くまとまっていたら情報を得るのには楽だな、と思ってしまう時もある。また、あふれる情報量の中で自分にとっての重要度の差、つまりグラデーションが自動的に可視化されたりすると効率的だと感じる。いずれにしても、より欲張りになる人間の心理に追従する形でSNSは進化・多様化していくのでは」と述べた。 (ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)