写真・AC
大学のなかで学生の意識調査を行うのは、学生が作るメディア、大学新聞、大学ミニコミ、大学ウェブサイトニュース、そして、社会学あるいは教育学系の大学教員である。
その大学の学生がどの政党を支持しているのか、時の政策について賛成か反対かを長きにわたって調べているところがある。「東京大学新聞」だ。1950年代から学生の意識調査、政治観を集計している。
同紙では、2015年に安保関連法案に関する調査を行っている。また、それに関連して2017年10月の衆議院議員選挙について、東京大生の投票行動を調べている。東京大生の自民党投票率は51.6%。自民党の全国得票率は33.3%なので、18ポイント上回っている。
同調査では、投票先を決める際にもっとも重視したことをたずねている。自民党に投票した学生の約62%が「政権担当能力」としている。一方、立憲民主党について、「政権担当能力」を重視した学生は約3%にすぎない。
なるほど、自民党という政党への信頼感をうかがうことができる。当時、立憲民主党はまだできたばかりで、信頼に足る実績はほとんどないと評価されている。
メディアの世論調査、学生による選挙行動調査から、自民党政権、安保関連法案に反対する学生は3~4割程度、集会やデモに参加した学生は1割に満たないといっていい。ということは、自民党政権支持、安保関連法案に賛成する学生は5~6割程度と見ていい。
いったいなぜ、学生は自民党、つまり、現政権を支持するのか。
ネットニュースマガジン「ビジネスインサイダージャパン」では、「『やっぱり安倍政権しか選べない』東大生はなぜ自民党を支持するのか」(2017年6月27日)、「売り手市場が続いてほしい──20代が希望の党より自民党を支持する理由」(2017年10月11日)、「東大生はなぜ “森友改ざん問題” 後も安倍政権を支持するのか」(2018年9月4日)において、自民党を支持する学生を紹介している。
以下、抜粋しよう。
「まず、企画の前提が間違ってますよね。東大生なんて高所得者層の子どもが多いんだから、現状肯定派なのは当然じゃないっすか」(法学部3年・都内私立高校出身)
「安倍総理は人柄の良さがにじみ出てますよね。2006年の第一次安倍内閣の時は理想的なことばかり話していた気がしますが、今回は経済という国民の基盤となる部分にちゃんと力を入れている。民主党政権時代の記憶が残っているうちは自民党の支持率は下がらないんじゃないですか」(文科一類2年・都内私立高校出身)
「自分と高校も大学も同じ2歳上の兄がいい会社に就職できているし、サークルの先輩も就活に成功している人が多い。アベノミクス以降、株高、企業の業績向上、ベースアップが実現している。このまま今の売り手市場が続いてほしい」(都内の私立大2年の男子学生)
「一連の森友学園問題が民主主義の危機という人たちがいるが、そういう人たちが果たして本当に民主主義のことを考えているのか疑問。安倍政権を終わらせることしか考えてないように見える。仮に終わって、その後どうするのか。全くビジョンがない。(安倍首相は)問題があるなら真摯に反省しつつ、日本のために頑張ってほしい」(法学部4年・都内私立高校出身)