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老朽化した公共インフラを点検し、「修繕・修復型公共投資」の枠組みを急がなければ

 今朝8時頃に、中央自動車道の笹子トンネルで天井部が50メートルにわたって崩落するという事故が発生。残念ながら亡くなった方も確認され、現在のところ救出作業も続いている。私も含めて、数えきれないぐらい通ったあのトンネルが走行中に落ちてくるなど想像さえしなかったが、1977年の竣工以来、35年もの走行量が蓄積した経年劣化が原因なのか、また他の理由が引き金になったのかは不明だが、この際には同種のトンネルは徹底的に緊急点検をしてほしい。

 日本の大型公共事業は、ダムや高速道路の「新造」に投資が集中し、老朽化した橋やトンネルの「修復」「修繕」は、その必要性が言われながらも進んで来なかった。高速道路を走行する車両数も、また大型化するトラックの重量も、建設当時の予想を大きく上まっている。私は、2009年の総選挙後の政権交代直後に、当時の前原国土交通大臣の「八ッ場ダムは中止。マニフェストに書いてあるから」との言辞に懸念を持った。何度か現地に行っていれば、長期にわたって継続されることを前提とした公共事業に依存して事業継続を予定している人々がどのように仕事をし、雇用を継続するのかにプランなくして、ただ止めると言っても必ず反動が強まると考えたからだ。

 当時、「どこどこ日記」にこんな記事を書いた。

「開発型公共事業」から修繕・修復型に転換を(2009年10月22日)

折しも、リーマンショックから1年、経済の低迷が続く中で、新政権は「新たな雇用の創出」を緊急の課題としている。私は、「公共事業は全否定、全部止めろ」という論者ではない。むしろ、「公共性・公益性」のある事業として質的転換をはかることが大事だと考えている。

たとえば、高速道路など高規格道路の建設は進むが、30年間も補修を放置されている生活道路には予算がまわらないという現実がある。高速道路を凍結したのなら、生活道路に転換するという「公共事業の切り換え」が必要となる。ダム建設を停止したのなら、森林保全(みどりのダム)に人と予算をふりむける必要がある。また治水と言うのなら、遊水地をもうけたり、川の浚渫などをしっかり行い、少ない予算で効果的に洪水に対処できるようにすることも大切だ。

日本全国の建設・土木の「技術力」「労働力」を生かして、公共性・公益性のある公共事業に転換するためには、「開発から修復へ」と予算要求・執行の軸心を変えることにある。年間10兆円の公共事業をやってきた日本は、30年で300兆円の「社会資本」を築き上げたことになる。ダムや道路、橋、トンネルにも耐用年数というものがあり、30年を経過して老朽化した施設は危険でもあり、「修繕」「補修」を丹念にやらなければならないが、新規事業に引っ張られていてなかなかその予算をつけることが出来なかった。

地中に埋設された水道管・ガス菅も、耐用年数が来たら交換しなければならないが、「わかってはいるが予算がまわらない」ということで放置されていると、ガス爆発や水道管破裂などの事故につながる。人命を脅かす危険度が高まってくる。これまでは、公共事業と利権誘導の「自民党型政治」の下で「新規事業」にばかり目が行き、地道な「修繕」「補修」事業には関心が向かなかった。

暮らしの安全につながり、雇用を確保出来て、公益性・公共性がある事業に思い切った転換をするのが、新政権の方向性だろうと思う。そして、新政権は「コンクリートから人へ」(社民党は「いのちとみどりの公共投資へ」)と言っているが、建設・土木産業から農業・林業といった第1次産業、そして、介護・医療を中心とした高齢化社会にふさわしい充実した「いのちを支える基盤産業」への転換をはかる道を開かなければならない。

  こうした議論は、在野のジャーナリストに戻りながら発信していたものであり、大きく取り入れられることはなかった。だが近年、高度経済成長期のインフラの老朽化・劣化対策を急がなければならないという議論が高まってきたことは事実である。

高速3社検討委、老朽化対策で初会合 橋梁架け替えなど来秋提言

SankeiBiz 11月8日(木)8時15分配信

 東日本、中日本、西日本の高速道路会社3社は7日、東京都内で高速道の老朽化対策や更新のあり方を考える有識者検討委員会(委員長・藤野陽三東大院教授)の初会合を開いた。東日本大震災など大規模災害の教訓を踏まえ、橋梁(きょうりょう)の架け替えなど安心・安全な高速道を維持していくことを狙い、来年秋をめどに提言をまとめ、各社の道路計画に生かされる方針だ。

 初会合では、今後約1年間をかけて、主に高速道について(1)大規模更新・修繕(2)老朽化などの予防保全(3)災害対策を含めた機能強化-を協議していくことを確認した。全国約9000キロの高速3社の高速道ネットワークの現状と課題を整理。2011年度末で、建設から30年が過ぎた高速道が全体の約4割(約3200キロ)にのぼり、特に橋梁部分では劣化が激しくなる現状などが報告された。今後、技術的な視点から、更新・長寿命化のあり方を検討していくことで合意した。

 ただ、高速道の見直しに必要な財源は「今後、国などとの相談が必要」(高速3社)として、今回の検討委の議論からは外すことにした。

 検討委は有識者や高速3社の担当者ら7人で構成。藤野委員長は今後「高速道路資産の更新の必要性や長期的保全のあり方を検討する」とコメントした。

 この議論のテンポは思い切り前倒しにする必要がある。また、自治体にとっても、自ら管理する公共インフラの「修繕」「修復」の手を尽くさなければならない。「新造」を誘導して「修繕」「修復」に予算が配分されない国の公共投資の枠組みを大きく変更していく必要がある。

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