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政府と東京都のコロナ対策が後手後手になる3つの理由

 栃木県を除く10都府県では、緊急事態宣言が1ヶ月延長された。新型コロナウイルスの感染者数は減少してきているものの、まだ全面解除の見通しがたたない。

 後手後手の政府や東京都の対応の背景には3つの問題がある。

 第一に、菅首相の世論調査至上主義である。官房長官時代から、マスコミの調査のみならず、自民党などを使って自らも積極的に調査を行い、それを政権運営に活用してきた。その「成功体験」が、今回は裏目に出ており、世論調査に振り回されているようである。

 世論がどうであれ、正しい政策は断固実行するという気概が見られない。

 実際に、最近の世論調査で内閣支持率が下がっており、それが政策決定を後押ししているようである。

 第二に、「政高党低」という官邸主導体制がコロナ対策の選択肢を狭めてしまっている。

 政治指導者は、感染症対策を策定する際に、複数のチームが案を出し合い、議論をして、きちんとしたデータに立脚した対策案を自らの政治判断で選択しなければならない。

 日本の場合、政府が諮問する専門家集団は一つのみで、いかに優秀であっても異端と見なされるような専門家は排除されている。それが、政府の対応の失敗を招いている。東京都も同様である。

 しかも、官僚は官邸に忖度するばかりで、「白を黒と言いくるめる」のに汲汲としている。コロナ対策についても、データを十分に開示せず、PCR検査の不徹底についても詭弁を弄してきたのである。

 第三は、医療資源の逼迫である。日本は、医師数、病床数、病院数などの指標では、世界に冠たる医療大国である。それなのに、なぜ医療崩壊なのか。それは、コロナ専用病院の整備を怠ってきたからである。

 中国の武漢では、プレハブの専用病院を迅速に建設し、1万5千床以上の受け入れ体制を固めた。そこに、コロナ専門の医師や看護師を全国から動員し、感染の拡大を防ぐと共に、コロナ以外の患者の治療も他の病院で継続したのである。

 リーダーシップを欠き、無策続きの小池都知事の責任は重い。彼女は、社会福祉の分野には、そもそもほとんど関心もなく、知識も欠いていた。それは、医療にしろ、介護にしろ、地道な努力が要求される仕事が多く、人気取りにしか興味のない政治家には旨みがないからである。

 政府のコロナ対策の欠陥は、最初からPCR検査を抑えてきたことである。検査の必要性を説く専門家たちは、安倍政権を支援する応援団から脅迫まで受けてきた。「検査と隔離」で感染を抑えた中国や台湾などとは雲泥の差である。

 安倍長期政権の間に、官邸、自民党、官僚、マスコミの劣化が進み、それが新型コロナウイルスの感染拡大で白日の下に照らされているのが今の日本である。官房長官として安倍政権を支えた菅首相も、その負の遺産のなかで呻吟している。

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