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「有事」モードへ完全転換する覚悟

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非常事態宣言延長に際し、政府も「基本的対処方針」において、症状に応じた医療機関の役割分担の明確化や病床確保の推進、後方支援医療機関の確保等を提案しているが、そこでも「平時」の発想から抜け切れず、折角の方針が十分機能しないこととなる問題がある。

それは、「有事」には不可欠な、そうした役割分担等の指示をする「司令塔」不在のままに、加えて各病院に人員確保を任せたまま役割分担せよ、との提案であり、それでは事態は大きく動かない。こうした対応策全体を知事、厚労大臣が総合調整し、場合によって指示も行える司令塔であることを明確化し、権限付与もすることが重要だが、今回の法改正ではそれが極めて不十分である。「平時」の武器で「有事」を克服しようとしても、それは無理だ。

さらに言えば、厚労省を含めた識者の中には、大学病院は、一般先端医療を引き続き受け持ち、コロナ医療は必ずしも担わなくて良い、との考えがあるが、私はそれも「平時」の発想だと思う。なぜならば、いまだにコロナは「未知の病」であり、「有事」には、国内はもとより、世界の英知を結集して治療法、予防法、ワクチン等を開発すべきで、ゲノム解析能力や医療設備的にも、先端医療を担う大学病院こそが「有事」の今、実力を発揮すべきと思う。

米国ボストンのマサチューセッツ総合病院など、世界は平時に先端医療を担っている病院がコロナ重症患者を受け入れている。そして、多くの研究成果を世界の科学誌・医学誌で発表し、コロナ対策を推し進めている。

事程左様に、「平時」モードが随所に色濃く残り、「有事」体制が構築できていない制度、政策が多く残っているのが、わが国の特徴だが、これを覚悟を持って脱しないと、何時までも緊急事態と平常状態の繰り返しで、国民経済的に持たなくなることを強く危惧する。

(注1)「大規模感染症流行時の国家ガバナンス改革提言」「大規模感染症流行時の国家ガバナンス見直しWG資料」

(注2)「『薄く、広く』から、『選択と集中』へ」

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