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他国の「主権」侵害には暴力的対応をする一方で、他国には冷静的対応を求める中国

 

既にいろいろなところで報道されており、出遅れた感があって、これまで言及してきませんでしたが、中国が周辺諸国と揉めている問題に中国の新しいパスポートの問題があります。


1 中国の新しいパスポートについて

 これは一言で言ってしまえば、中国のパスポートに新たに掲載された中国の地図が近隣諸国と紛争問題のある地域を全て中国領土としているというものです。結果、それに他国の入管が出入国の判子を押すと中国の領土を認めたことになってしまうのではないかと反対しているわけです。

 これについてはKinbricks Nowさんが写真付きの報道をしておりますので(中国のトラップに今度はベトナムが反撃、奇策「ビザは別紙に貼り付け」が炸裂)、パスポートの現物を見ていただければ中国が何をしでかしたかがわかるかと思います。

 また同記事によると、インドではインド側主張の地図付きのビザをパスポートに貼り付けたり、ベトナムではビザを別紙に貼り付けるという「子供の喧嘩」としか思えないようなことを本気でやっているそうです。

 この問題については木走正水さんが「どうにもパスポートに対して力の入れ方が間違っている中国政府」という記事を書いております。

 その中で、ただでさえ中国のパスポートでは、ビザなし渡航できる国が少ないわけなので、本来なら「国民の民度を高め国家としての信用力を国際的に得るように努力すべきです、そして中国パスポートの価値を高めるよう努力すべきです」なのに、何をくだらない問題を起こしているのだという記事を書いたおられましたが、基本的に私も同意見です。

 さて、今回何故この問題を取り上げようと思ったかというと、最大のネタ元『環球網』が「美国重申接受中国新护照但将向中方提出关注」という記事に基づいてお得意のアンケートを実施しており、その結果が大変興味深かったためです。


2 記事の紹介

 まず最初にこの記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 アメリカ国務院のスポークスマンは、27日、中国の新しいパスポートは合法的で有効なものだが、近隣諸国に緊張を引き起こしていると再度述べた。

 当日の定例記者会見で、スポークスマンはアメリカの立場として、領事方面の事務、パスポートの形は各国が自分で決定することであり、それが国際標准を満たしていれば、良いということを強調した。その上で、アメリカは中国の新しいパスポートは合法的なものとした。

 そして、中国の新しいパスポートが合法的であろうとも、それが政治的に賢いかどうか別問題とした。アメリカは、新しいパスポートに印刷されている中国の地図に関心を持っており、それが南シナ海での各国の緊張を誘発していると憂慮している、と述べた。

 スポークスマンは「こうした方法は問題解決に役立たないということを伝えたいと思っている。」と述べた。

 アメリカはASEAN諸国またはその他の国の要求に応じて中国側に意見を表明するかについて、ASEAN諸国と接触したか確認していないが、ASEAN諸国と情報共通をしつつも、中国に意向を伝えることを自分で決定すると強調した。

 前日の記者会見で、スポークスマンは、中国の新しいパスポートの地図はアメリカのビザを発行すること、アメリカ入国に有効性の何の影響もないとしていた。

 今年5月15日から使い始めた中国の新しいパスポートには地図を印刷してあり、そこには南シナ海、アルナチャルプラデシュ州(インドが実行支配しているところ)も中国の主権の範囲内としており、フィリピン、ベトナム、インドから非難が寄せられている。

 中国外交部は、パスポートのデザインは、特定国に対応するのではないので、関連国家が理性的な、抑えた態度で、冷静に対応することを望むとしている。



3 アンケートの結果

 この問題について、アメリカは一方で中国の新しいパスポートの有効性を認めるとしておきならが、一方で、何度も関心を寄せている。アメリカの本当の態度はどう思うかというアンケートを『環球網』が行っておりました。

 結果、アメリカは反対しているが93%、反対していないが7%という結果になっていました。

 
4 個人的感想

 ま、普通の人が記事を読めばアメリカが反対しているのは明らかだと思いますが、こうした記事に関心が寄せられることや、こうしたアンケートを行っていることを見てもわかるとおり、中国は本当にアメリカの動向を気にしています(アメリカに対しては下手にでる反面、日本に対しては強気にでる中国)。

 アメリカがこの問題についてどう思っているかはあくまで推測に過ぎませんが、くだらないことで問題を起こすなと思っているのではないでしょうか。

 本来アメリカの言うとおり、どの様なパスポートのデザインを採用しようがその国の自由なわけですが、それが他国の「主権」を脅かすとなれば当然他国もほおっておけません。

 しかし、現在一国で中国に対抗するのは厳しいので、アメリカを巻き込んで複数で対応しようとしているのでしょうが、アメリカもいい迷惑位にしか思っていないのではないでしょうか。

 あと何といっても興味深かったのが、尖閣諸島の国有化の問題ではあれだけ「主権」について大騒ぎをした中国が同じことを他国にする場合は冷静な対応を求めていることで、全く説得力がありません。

 まず自国であれだけ暴力的な反日デモという行為が行ったことについて総括をした上で(今回の「反日デモ」のまとめのようなもの)、こうしたコメント発表すべきだと思うのですが、自国がされたことは忘れないくせに、他国にしたことはすぐ忘れるというどこの国でもよくあることが典型で大変興味深く思ったが故の今日のエントリーでした。

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