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なぜメンズ服は高い傾向? ユニクロ&GUに一極集中してしまう業界構造

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選択肢が限られるメンズ服の低価格ブランド

先日、「なぜメンズ服はレディース服に比べて少し値段が高いのですか?」という質問を受けました。低価格ブランドの同じアイテムでもたしかにメンズの方がレディースよりも少し価格が高い場合が珍しくありません。

また、低価格ブランドというジャンルだけで考えた場合でも、レディースの方がメンズよりもブランド数も多くバラエティに富んでいます。

メンズだとユニクロ、GU(ジーユー)、無印良品、しまむら、GAP、H&M、ZARA、グローバルワークあたりは男女両方を展開していますが、例えばストライプインターナショナルはメンズブランドがほとんどありません。

共同通信社

アースミュージック&エコロジーやアメリカンホリックのメンズを欲しがったところで、存在していないのですから買えません。ハニーズもメンズがありません。

ではどうしてこのような状況になったのでしょうか。業界に馴染みのない方にもわかりやすいように今回はあえてザックリと見て行きたいと思います。

売り上げは約2倍差 ブランド規模拡大に不可欠なレディース服

衣料品に関する統計データは様々ありますが、あまり多くのデータを使うとややこしくなるので、今回は矢野経済研究所が年に一度発表している国内アパレル小売市場規模を見ながら考えていきましょう。

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2563

2020年はつい先日終わったばかりですから、まだ統計が発表されていません。今回は最新版である2019年のデータです。

2019年の国内アパレル総小売市場規模は前年比99.3%の9兆1,732億円となり、横這いからマイナス推移に転じた。品目別に市場を見ると、婦人服・洋品市場が前年比99.7%の5兆7,138億円、紳士服・洋品市場が同98.5%の2兆5,453億円、ベビー・子供服・洋品市場が同99.5%の9,141億円となり、いずれも微減であった。

とのことです。婦人服は紳士服のおよそ2倍の売り上げ高があります。ということは、レディースはメンズの倍売れるということになります。

単純に考えると、それに伴い生産数量も多いわけですから、1枚当たりの製造コストはメンズよりレディースの方が低く抑えやすいということになります。

製造コストが低ければ、店頭販売価格も低く抑えることが可能になりますから、レディース服の方がメンズ服よりも割安にしやすいということになります。

これは洋服に限らず、ほとんどの工業製品が同様で、パソコンも自動車もスマホも家電も生産数量が増えれば増えるほど、1台当たりの製造コストが低く抑えられ、低価格販売が可能になります。

とはいえ、それだけレディースの方が参入ブランドも多いわけですから、単純にメンズの倍の量を一律に作っているとはいえない部分もあります。

しかし、ブランド数が多いということは競争も激しくなるということですから、価格競争もメンズよりシビアにならざるを得ません。そのため、全体的に店頭販売価格が割安に抑えられるという環境要因もあります。

このようなことを考えると、レディースに参入しない方がよいのではないかと思ってしまいますが、ビッグブランドになるためにはレディースなしでは到達できないのが実情です。

ユニクロにせよ、GUにせよ、無印良品にせよ、しまむらにせよ、すべてレディースを展開しています。レディースを展開しているだけでなく、売り上げ構成比もレディースの方が高いのです。

ユニクロもメンズ服が強い時代には足踏み状態に

Getty Images

一方、ユニクロ&GU、しまむら、無印良品などに比べて不振傾向が強いライトオンやジーンズメイトですが、レディースも展開しています。

しかし、売り上げ構成比はメンズの方が高いといわれており、メンズの売り上げ構成比の方が高いブランドやショップは、売り上げ規模を拡大しにくいという傾向にあります。

今では売り上げ高8000億円を越えて国内無敵のユニクロですが、一時期足踏み状態が続いた時期がありました。実はユニクロは元来メンズが強いブランドで、2000年代後半までメンズの売り上げ構成比の方が高いといわれていました。

男女別の構成比については発表されていませんので、あくまでもサプライヤー側からの情報によるものですが、もともとメンズショップからスタートしたユニクロなので当然といえば当然なのですが、それでも2000年代半ばの時点でもまだメンズの構成比の方が高かったといわれています。

国内売り上げ高8000億円台にまで駆け上がることができたのは、レディースを成長させることができたことも大きな要因の一つなのです。

また、価格帯は異なりますが、百貨店向け・ファッションビル向けの大手アパレルであるワールドやオンワード樫山もレディースブランドが主体となっています。メンズ主体のアパレルだったなら、売り上げ高2000億円~3000億円はとても到達できなかったでしょう。

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