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これからの社会・働き方を考えるおすすめの書「年収150万円で僕らは自由に生きていく」イケダハヤト著

非常に興味深く、これからの社会のあり方を考える上で、参考になった本があったので紹介したい。「年収150万円で僕らは自由に生きていく」イケダハヤト著。

年収がいくらみたいなタイトルを見ると、「またこの手の本か」とイヤになる人もいるかもしれないが、単に少ない年収だけで生きていこうという内容だけでなく、社会のセーフティーネットを考える上で、非常に示唆に富む「公共を取り戻せ」という話にも、かなりの分量が割かれているのでおすすめしたい。

この方を知ったのはサイトBLOGOSでのこと。この方の何かの記事を見た時に、コメント欄が感情的な批判ばかりで、この人、よっぽど嫌われているのかなと思って、その時はそれで終わった。

その後、彼が非常に興味深い記事を上げていて一挙に興味を持った。『子どもが生まれたので、「業務量半分・収入半分」の育休モードに入ります』というのだ。 http://blogos.com/article/49908/

1986年生まれのブロガー。学生卒業後、大手企業を1年で退職し、ベンチャー企業に転職して1年で退職し、2011年からフリーのライター、ブロガーに。独立してまだ1年なのに、子育てに時間を割くために、堂々とネットで仕事を減らすと宣言するという、ある意味ではものすごい勇気のいる発言に感心した。

こういう考えの人がいっぱい出てくると、日本社会は変わるのになと思った。でも男性の育休取得が過去最高になったと、ニュースになっていたが、取得率はなんと2.63%!驚きの低さ、というか建て前だけの制度で、実際には男性が育休なんて取るなボケ!という無言の圧力がまだまだ大きい。

それにしてもこの著者はフリーで、しかもこの若さで、子育てするから仕事を減らすと言えるのはすごい。私も今年フリーになったおかげで、家で仕事ができるようになり、意味不明な会社出勤せずに、今までと同じ仕事を家でできているので、生まれた赤ちゃんと過ごせる時間が多いが、それでも赤ちゃんが生まれたから、仕事を減らしますとは言えない。というよりむしろ子供が生まれたから、その分も働かなきゃと、むしろもっと仕事をください、フリーになったばかりだしぐらいのことを言いたい心境だ。

そんな新しい働き方・生き方についての考えを持った方が、著書を出したので読んでみたが、実におもしろくて一挙に読み終えた。

前半部分はタイトル通りの内容で、生活レベルを上げるために、腐った目して通勤電車に乗って、毎日奴隷のように働かされて、イヤな仕事をするのはやめた方がいい。生活レベルを下げれば、そうした縛りから脱却できるという、非常にもっともな話で共感できる部分が多かった。

また世代的な価値観も大きいかもしれない。「僕らにとって貧乏は「デフォルト」なのです」。「デフォルト」=すなわち、あらかじめ設定されている標準的な条件。つまり貧乏は当たり前だし、それが何が悪いの?という価値観を持った人が若い世代には多いということだ。この著者と同世代に、最年少上場したリブセンスの村上太一氏もいるが、上場したのに豪華な広い部屋に引っ越すわけでもなく、普通のマンションに暮らし続ける。この感覚は、金満・物欲世代の老害たちには、さっぱり理解できないことだと思う。

だからこんなことが可能になるのだ。「なぜ僕がそんなに(時間的に)余裕があるかといえば、売上目標が低いからです」

売上目標は高い方がいいという「常識」すら、もはや崩れかけている時代になっているのだ。金よりも時間。儲かるけどつまらない仕事より、ギャラが少なくてもおもしろい仕事。そういう価値基準で生き方・働き方を考える人が増えてきていること。そして右肩下がりの今の時代には、こういう生き方・働き方の方がまともで、楽しく生きていけると私も思う。

後半はタイトルとはまったく違った話で、むしろこちらの方が興味深かった。お金がかからない生活をするには、いろんなつながりが大事という延長線上の中で、公共的なこともボランティアなどでやればいいという話だ。

わかりやすい事例として、長野県の下條村が住民総出で、材料費は村負担だが道路工事作業は、村人のボランティアで行ったという話をあげている。こうした公共的なこともボランティアで行えば、住民同士のつながりや村の活性化にもなるし、増税を防げるし、金のかからないセーフティネットができる。

著者はブロガーとして稼ぐかたわら、NPOのマーケティング支援を無料でしている。子育てしたいから仕事量を半分にするという人が、でも無償活動を続けているのは不思議だった。同じような疑問を多くの人に持たれるようだが、「楽しいからやっている」= 「遊びみたいなもの」という答えに非常に納得がいった。

被災地ボランティアを続けている人に、「なぜボランティアを続けているんですか?」という質問をだいたい投げかけるのだが、多くの人が「不謹慎な言い方かもしれないが、楽しいから続けられている」という。この感覚はボランティアをしたことがある人でないとわからないと思うが、著者がいう「利他的な自己犠牲」ではボランティアなんて続かないのだ。

公共や社会保障やセーフティネットを政治に「外注」するから、そのコストが高くついてしまう。高くなるだけならともかく、無駄なものまで作られてしまう。だったらみんなで作ってしまえばいいよね、というのは非常に興味深いアイデアだ。長野県の事例もあるわけだし。「公共を取り戻せ」という概念は、今後非常に重要になってくると思う。

私は常々思っているのだが、社会保障費が増大するから増税しますなんて、脳みそのない人間のやることだ。別にお金で解決する必要はない。有り余っている空き家とか食べ物とかを現物支給でもいいし、国民の労働力提供でまかなうみたいな方法だってある。そうすれば別にお金が少なくても、サービスの質を低下させない方法はいくらでもある。そのヒントの1つが著者のいう「公共を取り戻せ」ということだと思う。

著者は働くということについて、ものすごく重要な根本的な指摘をしている。働くとは問題を解決すること。「「会社」を抜け出し「社会」に出ましょう」と説く。

CSR(企業の社会的責任)だとか、社会起業家といった言葉が流行るように、今の日本の「会社」は本業が社会のために役立っていない、単なる金儲けになっているから、様々な問題や矛盾が出てきているのだろう。本来、会社の事業は社会の問題を解決するため、社会に必要なものを提供するために存在しているものであって、組織自体を存続させるためにあるものではない。だから原発のようにまったくいらないのに、会社自体の既得権益を守るために、無理やり存在させているものが、社会問題の大きな原因となるのだろう。

これからの社会や自分の働き方・生き方を考える上で、非常に参考になり、1~2時間でさっと読めるので、ぜひ読んでみることをおすすめします。

・「年収150万円で僕らは自由に生きていく」イケダハヤト著

※それにしてもレビューをみるとひどい!なんでこの人、こんなに嫌われているんだろう。わりと真っ当なこと言っているのに、書き方が悪いのかな?私はイヤミと感じずスンナリ読めたけど。

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