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大河ドラマ最終回!「本能寺の変」とは日本人にとって何なのか?について考える。

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アイキャッチ画像は「麒麟がくる」公式サイトより

明智光秀が主人公の大河ドラマ「麒麟がくる」の最終回放送が、今週末2月7日日曜日に迫っています。

私は最初からずっと見ていたわけではなく、SNSで話題になっているのが気になって5回前ぐらいから見始めた程度なのですが、それでも

「誰でも知っている最終回の展開」=「本能寺の変」

に向かって徹底的にぶつかりあう人間模様が盛り上がっていく展開に目が離せなくなっています。

今回は、大河ドラマ「麒麟がゆく」の魅力について語ると同時に、日本史にとって「本能寺の変」とはどういう事件だったのか、経営コンサルタント兼思想家の視点で考えてみる・・・という記事になります。

1●それぞれの「人物イメージ」を強烈に塗り替えてくれる「麒麟がくる」の魅力

「今回の大河ドラマの主役は明智光秀」と聞いた時に、失礼ですが私は「なんか地味なドラマだな」と思ってしまいました。

それぐらい、明智光秀という人物は信長とか秀吉とか家康とか武田信玄とか上杉謙信とか毛利元就とか・・・もっと言えば松永久秀や斎藤道三みたいなレベルの知名度の人物と比べても「地味」な印象が、よほどの日本史マニアというわけではない多くの日本人にはあったのではないかと思います。

よくわからないけど、「本能寺の変」の時にポンと歴史の舞台に飛び出てきて、その後すぐに秀吉に敗れ去って消えた人物・・・というぐらいの印象の人が多いのではないでしょうか。

しかし、「麒麟がくる」を途中からでも見始めると、そんな明智光秀像が一変するというか、世の中全体の事を考える良識があり、高い能力があり、周囲のあらゆる人に対する人間的な優しさがあり、そして織田信長とも強い信頼関係で結ばれている・・・そういう非常に魅力的な人物であるように思えてくるわけですね。

長谷川博己さん演じる光秀だけでなくこのドラマの中では、剽軽ぶった振る舞いの奥に不気味なくらいに底知れない人間的深みを感じさせる秀吉(佐々木蔵之介)とか、「神秘的な魅力」と言っていいほどの存在感を放つ正親町帝(坂東玉三郎)とか、最終的には光秀に謀反を決意させた張本人といっていい役割になる迫力がある帰蝶サマ=濃姫(川口春奈)とか、私のように「一応は知っているけど最新の研究動向を事細かに知っているわけではない」ようなレベルの人間の人物イメージを徹底的に覆してくれる鮮烈な人物像がたくさん描かれます。

特に圧巻なのが染谷将太さんが演じる信長で・・・

2●「ほんとうにこういう人がいそう」な信長

日本史において織田信長が描かれる時、それは「圧倒的な英雄」だったり、「サイコパス的な思い切りのある人物」だったり、とにかく「普通の物差しでは測れない人物」として描かれることが多かったように思います。

しかし、染谷将太さん演じる織田信長は、なんかこう、「本当にこういう人がいそう」なんですよね。

もともと最初から「突発的に何するかわからない人物」として部下に恐れられていたのではなく、むしろ部下のことに細部まで気が付き、相互の信頼関係を結ぶことができる人間的な人物であり、掲げる高い理想に共感して色んな武士が馳せ参じてきた経緯がある。

にも関わらず、年を重ねて権力が大きくなるに従って、どんどん”おかしく”なっていく。

嫉妬心と猜疑心が物凄く強くなり、ちょっとしたことで過剰なまでに部下にあたりちらすようになる。ちょっとでも敵対するそぶりを見せた人間が全く許せないようになり、光秀が「命は取らないように約束する」と言って囚えた敵をわざわざハリツケにして殺し、その塩漬けの生首を宴席の余興に持ってきたりする。

これは現代人の私たちの生活においても、「あの優しかった夫が(妻が)・・・」「あの人間味溢れる存在だった上司が・・・」的に「物凄くリアルに」感じられる人間像だと感じます。

高い理想を共有できていたリーダーだったのに、どんどん「おかしく」なってきて、次々と残虐な決定を続けている。

「このままでいいのだろうか?」と真剣に思い悩むのは光秀だけではなく、「出てくる登場人物の”ほぼ”全員の共通の思い」にまで発展しつつあるように見えます。

そして、そういう”ちゃんと悩んでいる部下”たちと、逆に「単純かつ徹底的に信長に心酔している森蘭丸(信長と同性愛関係にある小姓)」というギャップもふとした瞬間の絶妙な演技の中に描かれているように思います。

でも信長は、「森蘭丸みたいに心酔する部下」ではなく、光秀のように自分の意思と考えがある部下にちゃんと自分のことを理解してほしいんですよね。

でもどんどんすれ違っていく。お互いもうちょっと意地を張るのをやめればよいのに・・・というところで引き下がれず、「果てしなく無意味な意地悪」にしか見えないような子供じみたぶつかり合いに発展してしまう。

「本能寺の変」で光秀がなぜ謀反したのか?というのは諸説入り交じる日本史上の大きな謎ですが、このドラマを見ていると、

いやもうほんと、本能寺の変の原因はこういうことだったんだろうな!間違いないわ!

・・・という気分にすらさせられてしまう魅力のあるドラマになっていると思います。

本能寺の変という物凄いベタな題材を、ここまで迫ってくるドラマに仕上げた関係者の力量に感服しています。

最近のNHKは受信料を払っていれば放送後見逃し配信がNHKプラスというサイトで一週間見れますし、その配信期間が終わっても「NHKオンデマンド」で少額払えば見れます。

最終回に向けて、最後の方の4ー5回だけでも見ておくと、この「名作ドラマ」の最終回を楽しめること間違いないですよ。おすすめいたします。

3●本能寺の変とは、日本史にとってどういう出来事なのか?

で、ここからが「本能寺の変とはどういう出来事なのか」について個人的な考えを述べていきたいわけですが。

「麒麟がゆく」においては、たとえば第43回では、

世の中は公家だけじゃないのです。武家だけでもない。百姓や商人や、伊呂波太夫一座の芸人もいるのです。みなが良い世と思えるような(政治をしなくてはいけません)

というような理想が繰り返し語られます。

そしてそういう「皆のための善政」を外れて個人の果てしない欲望に飲まれていく存在を、

「月に登ろうとする者」

と呼んでいます。

本能寺の変の真相がこのドラマの通りではなかったとしても、「こういう構図」自体は日本史を通底して常に存在していたのではないかと私は感じています。

「万人のための政治」という理想があり、そこから外れて「個の欲望」に走ろうとする存在がある一線を超えた時に。

「光秀個人が謀反を決断する」というのではなく、言葉には出さないが多くの部下たち、そして敵対勢力や旧幕府や朝廷勢力までは暗黙の「合意」として光秀の背中を押している・・・というような構図がある。

あれだけ戦上手で戦略的慧眼もある光秀が、本能寺の変が終わってからはあまりにもあっけない最後を迎えてしまったのも、本当に「自分自身のエゴとして次の天下人になってやる」という思いよりも、「このままではいけないのだ」という突き動かされるような感情によって決断してしまったために、本能寺の変以降は本当に「戦い続ける意思」を失ってしまっていたのではないか、という感覚もあります。

この「本能的合議制」みたいな性質は、現代まで含む私たち「日本らしさ」の根底にある性質であるように思えてきますよね。

4●「本能寺の変がある日本」と「本能寺の変がない中国・韓国」

しかし、こういう「暴走する個を抑え込む集団的本能」という言い方をすると、そういうのは今の日本の停滞の元凶そのものではないか?と思う人も多くいる時代になっているように思います。

あなたも、

「本能寺の変で織田信長を殺してしまうような国だから、激化する国際競争の時代にイノベーションも起こせず停滞する衰退待ったなしの国になるんだ」

という風に考えるタイプの人かもしれない。

例えば、韓国も含めた「広義の中華文明圏」においては、こういうストッパーをあえて設けないことを理想と感じる人が多いように思います。

「リーダーが万民の幸せを考えなくてはならないという理想」の部分はアジア的に共有しているものだと思いますが、そこから「月に登る者」への扱いが違うというか。

確かに「月に登る者」によって多少の問題は起こされるだろうが、だからといってどこにも中心がなくグダグダに混乱し続けるよりは、「厳然とした一個の中心」を設定して皆がそれに従う世界になったほうがいいのだ・・・という理想が彼らにはある。

ここ一年の「新型コロナに対する対策」にしても、大陸中国が住民に対して強烈な強制力を持っているのは知っていましたが、台湾や韓国といった国でも、「ちょっとでも隔離違反をすれば強烈な罰金とか、場合によっては即逮捕」といった強烈な罰則で人民を統御して、それが多少の反発はあれど多くの国民には受け入れられているのは私にとって衝撃でした。

日本の保健所が、「陽性者の方に電話連絡しても、若い人はなかなか出てもらえないことが多くて・・・」みたいな感じのユルユル統御しかできず、「中国・韓国・台湾のようにもっと厳しくやれ!」という声に答えてちょっとでも「罰則化」の議論をすれば徹底的に反発を受ける・・・というのとは、「お上」に対する感覚が「全く違う世界観」だなと感じざるを得ません。

これは「本能寺の変がある国」と「本能寺の変がない国」といっても良い違いなのではないでしょうか。

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