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進化する米の有料ニューズレターブーム

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米国では有料ニューズレターのブームが拡大しているようです。

そのプラットフォームとして注目を集めるSubstackのことは、昨年9月に紹介しましたが、その勢いは止まらないようで、最近もニュースキャスターとして名を馳せたあのDan Rather氏も、「Steady」という題で始めました。月額5ドル、1年だと50ドルです。

おん年89歳での挑戦です。それでも乗り出すのは、アメリカ社会にニューズレターへの関心が高まっていることの証でもあるのでしょう。

そのブームに乗ろうとしてか、Twitterはオランダ生まれのニューズレター会社Revueを先月末に買収しました。詳しくは分かりませんが、Twitter内でニューズレターと連動させる仕組みにするようです。Substackへの対抗策としては、同社が売り上げの10%を”手数料”として徴収しているのを、Twitterでは5%にするそう。

また、Facebookも複数の消息筋の話として、ジャーナリストとライター向けのニューズレターツールの開発に取り組んでいるとニューヨークタイムズが伝えています。ザッカーバーグCEO肝煎のプロジェクトで、数十人のエンジニアが参画、今年夏までにリリースする予定だそう。

さらにForbesは、ジャーナリストを自社の編集局員に近い扱いで迎入れ、各人が自分のブランドでニューズレターを発行し、収益はForbesと折半するという試みを始めたという話をAXIOSがスクープとして報じました。

それによると、多数のフォロワーを持つ20~30人ほどを採用し、同社のフルタイムのサラリーの最低限を保証し、福利厚生も与えられるということです。そして、法的なサポートや編集指導、校閲、ファクトチェックなども支援します。

これによって、参加者がなんの拘束もなく書くSubstackのニューズレターとは異なり、ある程度の内容管理が出来る点が特徴です。また自社の社員でも立候補できるというのもユニークです。

こんな動きが相次ぐ中、当方に新鮮だったのは、Substackからの集団離脱です。昨年後半からSubstackで経済を扱う8つのニューズレターが<Everything>という名称で一塊になって、月20ドルの契約一つで8つのニューズレター全部を読めるという形で活動していたのですが、先月末にSubstackを抜け、<Every>と改名、自前のCMS(コンテンツ・マネジメントシステム)を有するウェブサイトに移ったのです。

中心人物はDan Shipper氏とNathan Baschez氏の二人。投資会社と個人投資家から60万ドルの資金を調達しての船出です。Insiderの記事からお二人の写真を拝借します。左がShipper氏、右がBaschez氏。

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この二人の狙いは「独立した新たなメディア」を作ることでした。なぜSubstackを抜けたのか。それはSubstackの魅力は誰もが容易に参加でき、使いやすということですが、欠点としては検索エンジンから発生するオーガニックトラフィックが乏しいことことの限界を感じたからだそう。

ですから、独立して検索エンジン最適化を図る仕組みにするために、集団脱走したとのことで、自らを「writer collective」作家集団と称しています。

その名の通り、バラバラに各ライターがニューズレターを書くのではなく、Shipper、Baschez両氏が編集長的な役割を担うほか、グループ全体としてビジネスチャットツールのSlackチャンネルを開設、仲間からフィードバックを得られたり、ライター同士がアイディアを語り合うフォーラム、さらにあるライターがインタビューしたり、取材した内容を共有出来るknowledge baseを構築してあるそうです。

かくして、Everyに参加することは「Substackでニューズレターを始めることとNew York Timesで働くことの間のどこかで書く一つの方法だ」とShipper、Baschez両者による紹介文にあります。

ニューズレター進化形、まさに新たなメディア企業の登場を予感させます。そのホームページには「まだまだ拡大する」とありました。(登録したら見えなくなりましたが)つまり、中心人物のお眼鏡に叶えば、”社員”はどんどん増えるわけですね。

報酬についても、働きに応じて支給する規定が細かくありました。ただし、先の紹介文によれば、現在の有料読者は2400人、年間購読料は200ドルですからその購読料収入は50万ドル足らず。Substackにはない広告を採り入れていますから、総収入はそこそこあっても、”社員”が専業でやれるほどではないでしょうが。

そして、ちょうど先日、週刊東洋経済1月30日号で「消える仕事、残る仕事 1億人の『職業地図』」の特集を組んでいて、2030年に「消える仕事」18業種の一つに「新聞記者」が挙げられていたことが、Facebook上でも話題になりました。

新聞が斜陽産業になりつつあることは残念ですが、そこで働く「記者」が職場を失うことは社会にとって大変な損失でしょう。そう思うと、Everyのような新たなメディア組織が活性化し、2030年になっても記者が活躍することに期待をかけたいのです。

そういえば、冒頭に掲げた昨年9月のブログで紹介しましたが、SubstackはA better future for newsという一文で、「いずれ新聞業界より大きくなる」と宣言していましたね。時代は動いています。

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