東京五輪は「無観客」での開催もやむを得ない空気だ。一部、政府関係者は「観客は国内在住者のみ」と発言したとも報じられた。もはや、インバウンドの経済効果は見込めないし、これ以上、多額の税金を使うべきなのだろうか。
飲食業が「捨て石」のごとき立場を耐えているのも、逼迫(ひっぱく)する医療現場をみて、社会的責任が大きいと感じてのことだ。ワタミの宅食で医療従事者向けに1万食を無償配布したのもそうした思いからだ。かたや五輪の医療スタッフを1万人確保する話題も浮上しているが、国民の命を守るのが国家の前提なら、五輪優先は誤りだ。
東京五輪はロゴマーク問題や国立競技場のデザイン案の「ごたごた」にはじまり、このコロナと「流れ」が悪すぎる。最後ぐらい潔く新しい「夢目標」を国民と共有すべきだ。
次の五輪は2024年パリ、28年ロサンゼルスが決まっている。であれば、2032年、約10年後に再度、東京で五輪を開催することを、今の組織委員会は最後の仕事としてまとめあげ発表すべきだ。私は、日本は近く、財政破綻(ハイパーインフレ)するとみているが、約10年後はその復活の時期とも重なるのではと思う。
五輪を語ることが「ナンセンス」と思うぐらい外食産業は雇用を守ることに必死だ。
ワタミも正社員、アルバイトの雇用を守るあらゆる取り組みを行っている。例えば、居酒屋で働いていた社員は今「から揚げの天才」のデリバリースタッフとして日々、奮闘してくれている。ワタミの宅食のコールセンターでお弁当の注文対応にあたってくれている者もいる。
さらにワタミエージェントを通じて、異業種のスーパーや老人ホームに出向して活躍している者もいる。
ワタミの非正規雇用についても事実と持論を記しておくが、休業や閉店する居酒屋のアルバイトさんには、近隣のワタミ系列のランチ店やデリバリー店を紹介することを原則としている。現在のワタミの清水邦晃社長をはじめ、経営幹部にもアルバイト出身が多くいる。やる気があり、光るものがあれば今でも「社員にならないか」と声をかけている。
一方、当初から、大学在学中のみのアルバイトとか、資格試験に挑戦中、本業は舞台俳優など、目指す道がはっきりしていてアルバイトがいいと望む人も大勢いる。それぞれに事情がある。以前、シングルマザーで中卒の女性アルバイトさんと店で出会った。接客や笑顔がとても気持ちよく優秀だった。本人は中卒であり社員は無理だと勝手に決めつけていた。「なんの問題もない」と社員に誘った。ごくあたり前の「流れ」だ。
「流れ」というものは、何事にもある。
【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より
記事
- 2021年02月05日 12:38
「流れ」悪すぎる東京五輪 ワタミ居酒屋マン、宅配で活躍中!!
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