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上智大は男女別廃止、アメリカは水着審査撤廃……2020年代に「ミスコン」は消えるのか 2021年の論点100 - 高橋 幸

 多くの女性アナウンサーやタレントを輩出してきた上智大学のミスコンテストは、2020年「ソフィアンズコンテスト」へと変貌した。ミス/ミスターコンという性別ごとの開催をやめ、性別統一的なコンテストとすることで、募集要項から性別規定をなくしている。

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 ソフィアンズコンテスト主催団体は、既存のコンテストが持っていた「女らしさ/男らしさ」という性別二元的なあり方を打ち破り、新たな上智大生らしい魅力を実現できる場にすることを目指すと発表している。

 また、この制度改革は、大学が理念として掲げる「ダイバーシティ」(国籍やセクシュアリティなどの個々人の違いを尊重すること)に即したコンテストのあり方を模索した結果であると説明している。

世界で進む「ミスコンの制度改革」

 はたして、このような制度改革は性別に関する新しい感性や文化を育むものか、それともミスコン的イベントを存続させるための言い訳でしかないのか。

©iStock.com

 これは、今後の展開を見ていくことでしか答えられない問題だが、実はこのような「ミスコンの制度改革」は近年、世界の様々なミスコンで活発になされている。そこで、これまでのミスコン批判とそれに応えたミスコンの変化を少し紐解いてみよう。

「ルッキズム」を助長……ミスコン批判の始まり

 ミスコンに対する反対運動が始まるのは1960年代末からである。主にルッキズム(外見至上主義)を助長するものとして、ミスコンは批判されてきた。

 ルッキズムとは、外見の「良し悪し」によって人を判断し、その人に対する態度を変えることを指す。

 とくに社会的・職業的な地位や権力をもたない女性たちはこのような扱いを受けることが多かった。そもそも女性の外見の「良さ」とは純粋な美しさだけでなく、(異性愛者男性にとっての)性的対象としての望ましさも意味してきた。

 そのため、外見評価の場は人格を無視し性的対象としてのみ捉えた蔑視発言を伴うことが多く、セクハラも起きやすい。

 また、外見の「良さ」の判断基準には、暗黙のうちに人種差別的感情が入り込んでおり、白人の持つ属性を「美しい」とする偏りがあることも指摘されてきた。

 ミスコンは、ルッキズムがもたらす女性差別や人種差別を温存するものになっているとして問題視されてきたのだ。

「ミス・アメリカ」は2019年大会から水着審査を撤廃

 これらの批判に応答するように、ミスコンそのもののあり方が変わってきている。

 アメリカでは1980年代から少しずつ、非ヨーロッパ系アメリカ人や障害をもつ女性などの多様な人々が入賞者として選ばれるようになってきていた。

 2019年には世界の5大ミスコンの優勝者はすべて「ブラック」女性となった。ミスコンという場を用いた「多様な美」の提示が目指されていることがわかる。

 また、2017年から起こった #MeToo 運動をきっかけに、「ミス・アメリカ」は2019年大会から水着審査を撤廃し、自分にとっての「正装」でのインタビュー審査に変えた(ちなみに「ミス日本」は2020年現在も水着審査を行っている)。女性を性的対象化する要素をミスコンから払拭しようと努めていることがうかがえる。

 このように、ミスコンは美と性的魅力をめぐる「社会的な正しさ(ポリティカル・コレクトネス)」の観点をもって変化している。この改革を通して、批判も多いミスコンの「社会的意義」を確保し、ミスコンを開催することの正当性を獲得しようとしていると分析できるだろう。

性暴力事件で注目を集めた大学ミスコン

 冒頭で挙げた上智大学のミス/ミスターコンの制度改革も、大きくはこのようなミスコンをめぐる世界的な変化の潮流の中に位置づけて理解することができる。

 ここ十数年の日本のミスコンを振り返ってみると、大学のミスコン運営団体における性暴力事件で、注目を集めることが多かった。

 2003年には早稲田大学公認サークル「スーパーフリー」が数年にわたって大規模で組織的な集団準強姦を行っていたことが明らかとなったが、その年の早稲田大学のミスコンは、この事件をパロディ化し事件の重大さを矮小化するようなイベントを行った。

 その結果、大きな社会的非難を浴び、2004年以降のミスコンを中止せざるを得なくなっている(ただし、代替となる「ファッションショー」は2007年から開催されている)。

 慶應義塾大学ではミスコンを主催する広告学研究会の学生が、2009年に公然わいせつ容疑で書類送検され、2010年のミスコンが中止。

 2016年には同じく広研の学生が集団準強姦事件を起こし、大学から広研への解散命令が出され、その年のミスコンが中止された。

 しかし、女性アナウンサーの登竜門ともなっている慶應大学のミスコンは、どちらのケースでも翌年から復活している(このミスコンは賞金及び運営資金を提供する数々の協賛企業があることでも知られている)。

 2019年にも、ミスコン出場女性に対する運営団体メンバーからのセクハラがあったと告発されており、問題は絶えない。

 これらの事件は、ミスコンと女性への性暴力・女性蔑視が密接に絡みあっていることを改めて明らかにした。

法政大学はミスコンに対して「容認できるものではありません」

 大学はミスコンに対する厳しい態度を鮮明にしている。

 法政大学は2019年に改めて声明を出し「人格を切り離したところで、都合よく規定された『女性像』に基づき、女性の評価を行う」ミスコンは「容認できるものではありません」と断言し、「本学施設を利用しての」ミス/ミスターコン等のイベント開催は「一切容認されない」と立場を明瞭にした。国際基督教大学(ICU)は2011年からミスコンを全面中止している。

 世界的潮流として、批判に応答したミスコンの制度改革が様々に進んでいる。だが、ミスコンそのものが持つルッキズムの助長という問題を解消するのが難しいのも事実だ。社会とミスコンの変貌のなかで、ミスコン賛否の議論は新たな段階を迎えている。

(高橋 幸/文春ムック 文藝春秋オピニオン 2021年の論点100)

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