政府は、一昨日2日、中学生以下の子どもを対象とした児童手当のうち、高所得者向けの特例給付について、年収1200万円以上の世帯は廃止する方針を盛り込んだ児童手当法などの改正案を決定しました。成立すれば、2022年10月分から適用する、と報じられています。
児童手当は、3歳未満で月1万5000円、3歳以上は原則月1万円を支給しています。一定以上の所得のある世帯には、児童1人あたり月5000円の特例給付が行われています。
政府は、今回、1200万円以上の世帯で廃止した財源で、新たな保育所整備などの待機児童対策に充てる、とのこと。民主党政権の時の、社会保障と税一体改革でも議論になりましたが、一貫して、子どもへの手当は、所得にかかわらずすべての子どもに給付されるべきだと述べてきました。
一見、もっともな改正に見えるかもしれませんが、高額所得の人には、今はフラットになりすぎている累進課税を強化して、税金で支払ってもらうべきです。ずっと子ども政策に関わってきて、すべての子どもの育ちを社会が支援する、と考えてきました。先進諸国をみても、子どもの手当に、所得制限をかけている国はありません。どの国も、所得格差には、税制で対応しています。
そもそも子どもへの予算が非常に低い日本(社会保障給付費で子どもは高齢者の17分の1しかない)で、子どもへの予算の中でチマチマとやりくりしようとするのが、間違いです。もっと子ども・子育てを支援する予算を増やすべきです。
また、今回も、世帯主の所得を基準としていますが、共働きが過半数を超えている現状を反映しない、古い考えだと思います。相変わらず、男の世帯主が大黒柱、という日本の様々な仕組みが、世界の中で、男女平等が153ヶ国中121位ということに繋がっているのだと思います。