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吉本興業会長「大阪万博"吉本館"をつくってみたい深い理由」

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吉本興業が変革を進めている。大﨑洋会長は、吉本の活路は「地方創生・デジタル・アジア」という。この3つの柱は日本のビジネスパーソンが向き合わなければならない壁でもある。吉本は何に取り組んでいるのか、取材した。

マイクを使って暗い空のステージ。 ※写真はイメージです - iStock.com/Trodler

大﨑洋・吉本興業会長「まじめに、お笑いの話」

──コロナ禍でエンターテインメントは崩壊などといわれている。吉本興業にとって、2020年を振り返るとどういう年だったか。

大阪の「なんばグランド花月」や東京の「ルミネtheよしもと」など、日本全国に劇場が14館あるが、20年3月からは観客を入れた劇場公演を中止した。テレビ番組も収録が難しくなり、再放送ばかりになった。収入源の多くが絶たれてしまった。所属芸人だけで6000人もいる吉本興業だが、芸能事務所の中で最も新型コロナウイルスの影響を受けただろう。

ただ自分たちが「大変だ、大変だ」と悲鳴を上げるのは違う。日本中、世界中の皆さんが大変だし、より厳しい状況にある人もいる。そんな中、吉本興業にできることは、新しいエンターテインメントに挑戦することだと思う。「星に願いを」ではないが、「笑いに願いを」込めて、世の中の人たちが幸せになるためにできることをする。

3.11で気づいた若者の熱すぎる想い

──吉本興業の未来戦略として「地方創生・デジタル・アジア」の3本柱を唱えている。まず、なぜ「地方」なのか。

吉本興業 大崎洋会長
吉本興業 大﨑洋会長

思い起こせば11年、東日本大震災が起こった後、吉本興業東京本部がある新宿で、20~30代くらいの若い芸人たちが、自発的に「募金」と書いた段ボール箱を持って立っていた。僕らの世代だと被災者を支援したいという気持ちは持っていても、「募金箱を持って立つなんて、自分だけ目立ってしまうし、なんか格好悪い」とか何かと理由をつけて行動に移せない。それなのに、ミレニアル世代といわれる20~30代の若い世代は実際に行動していた。

吉本の若い芸人や社員たちに話を聞いても、特に3.11以降は「地方のためになる仕事をしたい」と皆が言う。それで実際に芸人とマネジャーが一緒になって、地方で営業してスポンサーを見つけてきたりする。テレビに出てお笑いをするとか、新聞の風刺漫画のような反体制的なお笑いをするとか、そういう今までのお笑いとは違う、新しいムーブメントが生まれている。

そこには、資本主義の歪みが背景にあるかもしれない。若い世代はその歪みを感じていて、「地元のために何かやりたい、社会の中の恵まれていない人たちのために僕たちは何かしたい」と、僕のような60代くらいの人間が想像しているよりも数倍強く思っていることに気づいたのが、地方創生に取り組むきっかけのひとつだ。

──吉本興業の地元である大阪では、25年に大阪万博がある。大阪、あるいは関西の創生戦略はあるか。

大阪、関西はいいところがいっぱいあるのに、それを生かしきれていない。いわゆる、ゆでガエル状態だ。みんな「ああ、いいお湯だなあ」と思っている。だが実際は「大阪、ええお湯や」「いやいや、もう、煮えたぎってまっせ」という具合だ。だから、万博は関西にとってラストチャンスだ。このチャンスを逃すと、本当にゆでガエルどころか、関西は死んでしまうと強く思っている。

大阪から始まった吉本興業にしても、大阪に生まれた僕としても、大きなことから小さなことまで、25年にすべてをかける、すべてをつなげる。

まず万博で「吉本館」というパビリオンがつくれるならつくりたい。そこでは、日本中の若き英知を集めて、貧困や環境問題など社会課題の解決を世界中の人と考える場をつくりたい。地方創生以外に柱となっているアジアとの連携もしたいし、デジタルで何ができるか考えて実行する場にしたい。

もちろん、漫才では万博に絡めたネタを考えてほしいと思うし、吉本新喜劇では万博にちなんだことをしたい。できることはなんでもやる。最近でいえば、東京大学などの大学との連携などを進めていて、そのネットワークを生かして新しい挑戦をしようと考えている。吉本はちっぽけな会社だし、あれこれ言われることも多いが、新しい吉本に生まれ変わる、つくり替えるラストチャンスが大阪万博だと思う。

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