記事

アマゾン創業者のベゾス氏、CEO退任へ 取締役会長に

米アマゾンは2日、創業者のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が2021年7~9月期(第3四半期)に退任すると発表した。ベゾス氏は約30年前に自宅ガレージで同社を立ち上げ、Eコマース(電子商取引)大手に成長させた。

ベゾス氏はCEO退任後はアマゾンの取締役会長となる。同氏は自分が立ち上げたほかのベンチャー企業に集中する「時間とエネルギー」を確保できるようになると述べた。

世界一の富豪であるベゾス氏の後任には、現在アマゾンのクラウドコンピューティング事業を率いるアンディ・ジャシー氏が就任する。

ベゾス氏は2日、アマゾンのスタッフに宛てた文書で、「アマゾンのCEOであることは深い責任があり、消耗するものだ。このような責任を背負っている間はほかのことに注意を向けるのが難しい」と述べた。

「取締役会長として、アマゾンの重要な事業に関わり続けていくが、Day 1基金やベゾス・アース基金、ブルーオリジン(宇宙開発企業)、ワシントンポスト、その他の自分の情熱に集中するために必要な時間とエネルギーも持てるようになる」

「これほどのエネルギーを持ったことはないし、これは引退ではない。私はこれらの組織が受けるであろう影響に対して、とてつもない情熱を抱いている」

高まる知名度

57歳のベゾス氏はアマゾンを、1994年にオンライン書店としてスタートさせて以来、率いてきた。現在では全世界で約130万人の従業員を擁し、宅配便からビデオのストリーミング、クラウドサービス、広告に至るまでのあらゆる分野を手がけている。米誌フォーブスの世界富豪ランキングによると、同氏の資産は1962億ドル(約20兆6千億円)と世界首位。

新型コロナウイルスのパンデミックでオンラインショッピング需要が高まったことで同社の利益は爆発的に増加していた。

<関連記事>

アマゾンの2020年の売上は3860億ドル(約40兆円)と、2019年から38%増加した。利益はほぼ2倍増の213億ドル(約1兆2000億円)だった。

ベゾス氏は退任計画の発表にあたり、今後も新製品や初期の事業に力を入れていくと述べた。

そして、「わが社の決算を見れば、長期的な発明の結果の積み重ねによるものだとわかる」、「今アマゾンは過去最高の発明力を発揮しており、役職移行にふさわしいタイミングだ」とした。

今回の人事は、ベゾス氏の知名度が一段と高まる中で発表された。

同氏は離婚が世間で取り上げられ、労働や不平等の問題に取り組む活動家の標的となった。宇宙開発企業のブルーオリジンや米紙ワシントンポストなど、ほかの事業に富をつぎ込んでいることでも話題を集めている。

「辞めるわけじゃない」

アマゾンに対しては、業界における独占力をめぐり、規制当局からの監視が厳しくなっている。同社はクラウドコンピューティングで優位な立場にあり、マイクロソフトやグーグルの親会社アルファベット、ユーチューブなどが競い合っている。

ベゾス氏の退任のニュースは驚きだったが、この日の時間外取引で同社の株価にほとんど変化はなく、投資家たちは動じていないようだった。

アマゾンの ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)はアナリストとの電話協議で、「ジェフは辞めるのではなく、新しい仕事に就くことになる。(中略)取締役会は非常に活発な場所で、アマゾンのサクセスストーリーにおいて重要だ」と述べた。

後任はウェブサービス責任者

後任のジャシー氏は、ハーバード大学卒で、1997年にアマゾンに入社。長年同社の利益を生み出してきたとされるウェブサービスの開発に貢献してきた。

「アンディは社内ではよく知られた人物で、私と同じくらい長くアマゾンで働いている。彼は傑出したリーダーになるだろう。彼に全幅の信頼を寄せている」と、ベゾス氏は述べた。

ハーグリーブス・ランズダウンのアナリスト、ソフィー・ルンド=イェーツ氏は、クラウド事業の責任者をアマゾンのトップに起用するのは「偶然ではない」と述べた。

また、同社のウェブサービスは「同社の売上の大部分を占めている。可能性は非常に大きく、拡大可能な利益は重視されるべきだろう」とした。

同社の2020年第4四半期のウェブサービスの売上は28%増の1270億ドルとなった。

市場調査会社クリエイティブ・ストラテジーズのアナリスト、カロリナ・ミラネシ氏は、この「大」発表でアマゾンの事業にとってクラウドサービスが中心的な存在であることが示されたとツイートした。

一方で、ベゾス氏が「会社の未来に影響を与えるのをやめた」とは考えていないと付け加えた。

アマゾンに批判的な人たちは、ミラネシ氏と同様の反応を見せた。

「アマゾンにだまされてはいけない。ジェフ・ベゾスは取締役会長として絶大な力を維持している」と、アメリカに拠点を置く消費者権利活動団体「パブリック・シチズン(公共の市民)」は述べた。「この暴力的で略奪的な独占には、まだ徹底的な見直しが必要だ」。

(英語記事 Jeff Bezos to step down as Amazon chief executive

あわせて読みたい

「ジェフ・ベゾス」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    コロナ禍で増える離婚予備軍 ステイホームを破局回避のチャンスに変えよう

    土屋礼央

    03月04日 08:03

  2. 2

    AI翻訳のロゼッタ、全社員に「英語禁止令」発令「英語は本業の能力とは何の関係もない」

    Ledge.ai

    03月03日 17:31

  3. 3

    緊急事態宣言 延長の方向で検討する政府の判断に「残念」

    青山まさゆき

    03月03日 21:21

  4. 4

    平均賃金は韓国以下…「貧しい国」になった日本が生き残るための“新常識” 2021年の論点100 - 加谷 珪一

    文春オンライン

    03月04日 10:23

  5. 5

    中国が特許件数2年連続で首位 いまや技術の「質」も苦しい立場の日本

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    03月04日 08:36

  6. 6

    「尖閣の主権は日本」直後に訂正、米報道官の発言、計算づくか

    WEDGE Infinity

    03月03日 12:50

  7. 7

    ジェネリック医薬品大手で不適切製造か 安全より利益追求する企業に呆れ

    中村ゆきつぐ

    03月04日 09:16

  8. 8

    「この売女!」福原愛を離婚決意に追い込んだ「モラハラ夫」 - 「週刊文春」編集部

    文春オンライン

    03月03日 17:10

  9. 9

    「私自身が判断したい」という総理発言は何故素直に受け入れられないのか

    近藤駿介

    03月04日 13:30

  10. 10

    毒蝮三太夫84歳「ワクチン打つ」それがコロナ時代を生きる俺の『飲む打つ買う』だ

    毒蝮三太夫

    03月04日 08:09

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。