- 2021年02月03日 15:35 (配信日時 02月03日 11:15)
「スマホ充電が1年不要に」打倒GAFAを狙うNTTの光電融合技術の期待値
1/2NTTの技術開発力は世界に冠たるものだ。しかし、iPhoneに先駆けていた「iモード」は、世界戦略を欠いたため、「ガラパゴス化」に終わった。そんなNTTは、ポスト5Gとして「光電融合技術」の開発を進めている。これには北欧のエリクソンやノキアも関心を寄せる。今度こそ世界を制覇することができるか――。
「Beyond 5G推進コンソーシアム総会」でテープカットするNTTの澤田純社長(前列右から2人目)ら=2020年12月18日、東京都千代田区 - 時事通信フォト
「NTTがだらしないからGAFAにやられたんだ」
12月にNTTドコモの社長に就任したばかりの井伊基之氏は、菅義偉官房長官(現・首相)にいわれたこの言葉が耳から離れない。
「NTTがだらしないからGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)にやられたんだ」
その井伊氏は11月末、NTTの澤田純社長に連れられて首相になった菅氏のもとへ就任のあいさつに向かった。
「NTTドコモの完全子会社化で日本の通信インフラ、国際競争力を強化していきます」。面談の大半の時間をNTTグループの世界戦略についての説明に割いた。
なぜなら「携帯電話の料金引き下げを求める一方で、米アマゾン・ドット・コムやアップルなどGAFAに負けるなと無理難題を押しつける菅首相の気心が知れない」と思うNTT幹部は多いからだ。
しかし、澤田氏も井伊氏もぐっとこらえ、「代わりにドコモのTOB(株式公開買い付け)を認めさせた」(NTT幹部)。
NTTの研究開発費はグーグルやアマゾンの10分の1以下だが…
NTTは4兆2500億円を投じ、NTTドコモを完全子会社化した。国内企業へのTOBでは過去最大額だ。NTTの年間の研究開発費は直近通期で2248億円と、グーグルを傘下に持つ米アルファベットの2.7兆円、米アマゾン・ドット・コムの3.7兆円と比べれば10分の1にも満たない。買収を通じてグループ外に流出しているキャッシュを取り込むのが狙いだ。
ドコモの完全子会社化で、ドコモの少数株主への配当とNTTグループ外を対象にした自社株買いに回るキャッシュを取り込む。合計で年間2500億円の現金流入(キャッシュイン)を見込める。NTTのフリーキャッシュフロー(CF)は年間1兆円程度で、これにドコモ完全子会社化によるキャッシュインを加えれば約1兆2500億円になる。
またドコモ完全子会社化によりドコモの研究開発機能が使いやすくなるだけでなく、あわせてグループ内のNTTコミュニケーションズなどとの間で発生していた通信設備の二重投資も回避し、研究開発費の捻出も目指す。
光通信ネットワーク構想「IOWN」の狙い
4兆円を超える大枚をはたいてドコモを傘下に入れたNTTが期待を寄せるのが、2019年5月に打ち出した光通信ネットワーク構想である「IOWN(アイオン)」だ。
※写真はイメージです - iStock.com/GA161076
核となる技術はNTTが開発した光電融合技術、光を使ったトランジスタ回路だ。
NTTは光を使った半導体の基礎技術開発に世界で初めて成功。2019年4月に英科学誌「ネイチャーフォトニクス」に掲載され、世界の注目を集めた。
IOWNの背景にあるのが「データトラフィック(通信量)」と「消費電力」の急速な増大だ。
現在の情報通信技術の基盤は、スマートフォンやパソコンからクラウドに至るまで電子回路を流れる「電子」が半導体を動かし、複雑な計算から画像処理までこなしている。しかし、AI(人工知能)の利用拡大で世界のデータ総量は、爆発的な増大に直面している。
米調査会社IDCによると、2020年に世界で生成、消費されるデータ総量は59ゼタ(10の21乗)バイトを超え、10年前の約60倍に膨れ上がる見込みだ。さらに今後3年間で生まれるデータ総量は、過去30年間の累積を上回る見通しという。
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