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新春対談 働く者・生活者のための政策実現をめざし、受け身から攻めへモードをチェンジ!

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今年は、衆議院議員が任期満了を迎える10月までに必ず総選挙 が実施される。昨年は、コロナ禍への対応が求められる中で、政治も揺れ動いた。歴代最長の在任期間を記録した安倍首相が辞任し、菅内閣が発足。野党においては、立憲民主党と国民民主党が両党解散・合流し、9月15日に国会議員150名の新「立憲民主党」が誕生。連合は、旧両党の経緯を引き継ぐもとで、同17日にこの合流新党「立憲民主党」と「共有する理念」を締結した。

コロナ禍の影響はより立場の弱い人に集中し、格差問題の深刻さとともに、セーフティネットの不十分さなど社会構造の脆弱さが露呈した。この危機をどう克服し、命とくらしを守っていくのか。次期総選挙は、それを鋭く問う選挙になる。

この間の国政選挙では与党が圧倒的な強さを見せる一方、野党は分裂・再編を繰り返し「多弱」に甘んじてきた。政治に緊張感が失われ、政治不信が高まり、投票率は低下している。この流れに歯止めをかけ、働く者・生活者のための政策を実現するにはどうすればいいのか。総選挙に向けて、野党勢力、とりわけ野党第一党の新立憲民主党には何が求められるのか。連合は選挙にどう臨むのか。中北浩爾一橋大学教授と神津会長が率直に語り合った。

(2020年12月4日対談)


命とくらしを守る政治を

−2020年を振り返ると、8月28日に安倍首相が辞任を表明し、9月16日に菅新内閣が発足。野党では、立憲民主党と国民民主党の合流協議が進展し、9月15日に国会議員150名の新「立憲民主党」が誕生しました。まず、その合流の経緯について、連合の関わりも含めて会長からお話しください。

神津 新「立憲民主党」の結党は、2019年12月からの立憲・国民両党の「大きな塊づくり」の一定の到達点だと受け止めています。困難を乗り越え結集した150名の国会議員、そして地方議員のみなさんに敬意を表し、その経験や教訓を今後に生かしてくれることを切に望んでいます。

連合は、結党を受けて9月17日に新立憲民主党との間で「共有する理念—命とくらしを守る『新しい標準(ニューノーマル)』を創る—」を締結しました。これは、6月から立憲、国民、連合の三者で議論を始め、8月27日に基本合意に至ったものです。

新型コロナウイルスの感染拡大で雇用や経済は深刻な影響を受け、特にそれは弱い立場の人に集中しました。しかし、政府の対応は混乱を極め、国民の不安は一向に解消されない。そのような中、連合は、6月12日から「コロナ時代を考える有識者との緊急勉強会」(全12回)をスタートさせていました。

これらを背景として、その翌週の連合中央執行委員会に国会閉会の挨拶に来られた立憲の枝野代表、国民の玉木代表に対し、私から「一緒にアフターコロナの新しい社会像や政策理念について考えていきませんか」と声をかけたのです。両代表に快諾いただいて、意見交換を重ね、「共有する理念」の内容が確認されました。

並行する形で立憲と国民の合流協議が進展し、8月11日に合流新党の綱領・規約案、代表・党名選挙規定案の合意に至りました。24日には2党2グループの幹事長が合流新党の細目に合意し、9月15日に立憲・国民両党が解散して新党を結党。投票で党名は「立憲民主党」と決定し、代表には枝野氏を選出。連合は、9月17日に一連の経過の上に立って合流新党である新立憲民主党と「共有する理念」を改めて締結した、というのが一連の流れです。

一方で、8月11日の国民民主党の役員会後の会見で、玉木代表は分党と合流新党への不参加を表明し、9月9日の両院議員総会で政党分割が了承され、国民民主党解散後の9月15日に玉木氏を含め国会議員15名の新「国民民主党」が設立されました。


最大の問題は野党の力不足

−中北先生は合流新党の意義をどうお考えですか。

中北 この間の日本の政治のいちばんの問題は、野党が分立・弱体化し、結果として自公政権を長期安定化させてきたことです。森友学園、加計学園、桜を見る会など様々な不祥事が続いたにもかかわらず、安倍政権は逃げ切り、その姿勢は菅政権にも受け継がれている。それを許した最大の要因は野党の力不足です。野党が結集して「大きな塊」をつくることは、政治の現状に疑問を抱く国民の期待に応えることであり、そういう意味で合流新党の結成は大変意義があると思います。

ただ、完全な合流とはならなかった。新党は150人規模という一定の「大きな塊」になったのに、人々の目には結局2つの党が残り、党名も代表も変わっていないと映る。本当に残念です。連合は、合流に先立って三者で「共有する理念」を確認されましたが、理念や政策では一致できていたとお考えですか。

神津 「共有」できていたと思います。連合が両党に声をかけたのは、一つには、コロナ禍の影響が立場の弱い人に集中し、政府の対応が状況をさらに悪化させているという強い危機感からでした。特に感染拡大初期の対応は、他の先進国との違いが際立っていた。多くの国では、納税者番号制度や給付付き税額控除などの制度が基盤として整備され、行動制限をかけると同時に迅速に生活保障を給付できたのに、日本では泥縄式の対応が続いていた。

もう一つは、前回の衆院選、参院選の経験から「二度とこういう選挙はやりたくない」という思いが強くあったことです。次の選挙は両党が力合わせをしている姿が見えないと闘えない。まず政策理念の共有から始めようと…。

理念の検討は両党幹事長と相原事務局長が中心になって進めましたが、私も枝野代表、玉木代表と一緒に2回議論に参加しました。そこでの議論状況から、両党は同様の基盤に立っており、必ず合流は実現できると確信したんです。だから、土壇場での玉木代表の不参加表明には心底困惑しました。完全な合流とならなかったことで、新立憲と新国民は対立の構図で捉えられ、「違い」が針小棒大に強調される。両党が共有するものをもっと世の中に見えるようにしなければと思います。

中北 3年前の民進党の分裂も、理念や政策の違いによるものではありませんでした。希望の党を旗揚げした小池旋風が起きて、支持率が低迷していた民進党が合流を決断し、そこに行けなかった人たちが立憲民主党を結成した。実は今、コロナ禍への対応を考える中で、民主党政権の政策はもっと正しく評価されるべきだという思いを強くしています。

神津 民主党政権が制度化した求職者支援制度や生活困窮者自立支援の仕組みはセーフティネットとしてさらに広がりを持ち、役割を果たすべきです。地方への財源移譲も然り。さらには、マイナンバー制度や給付付き税額控除が機能し、子ども手当や一括交付金がきちんと継続されていれば、命とくらしを守る基盤として力を発揮したと思います。

中北 「共有する理念」に示された地方分権や、セーフティネットを強化して個人を支援するという方向性は、コロナ禍の中でいっそう重要な政策基盤になると思います。優先順位を明確にしてブラッシュアップしていけばいい。問題はガバナンスです。民主党政権は、それができなかったために理念や政策まで間違っていたかのようにイメージされているからです。

神津 安倍前首相は事あるごとに「悪夢の民主党政権」と批判し、そのイメージが世の中に刷り込まれてしまった。しかし、ご指摘のように民主党政権の失敗とはひとえにガバナンスの問題です。生真面目に議論をやりすぎてバラバラになり、有権者に「本当に政権を託せるのか」という疑念を抱かせてしまった。今回の合流も、「決裂」が強くイメージされる結果になってしまったことは残念でなりません。

中北 「正しく強かれ」という言葉がありますが、今の野党には「正しさ」はあるが、「強さ」がない。「大きな塊」をつくり、地域の支持基盤を固めて与党に対峙していく中で、国民の期待に応えうる強さを培ってほしいと思います。

神津 「強さ」はやはり「数」です。労働組合は「数は力なり」と大同団結の努力を重ね、31年前に連合を結成しました。数やまとまりは間違いなく力の源泉になる。

中北 政権の暴走をチェックする上でも「数」は重要です。国会の委員会ポストや質問時間も「数」で決まる。「対決か対案か」と言われますが、これは二者択一ではなくて、政権を獲るという構えが与野党の緊張感を生み、「数」のまとまりがあってこそ、対案を仕掛けることができる。だから、野党は、どうやってその数を増やすのかを真剣に考えないといけないんです。

新立憲民主党に期待することは?

中北 新しい箱はできたけれども、まだ魂が入っていない感があります。臨時国会では、日本学術会議の任命拒否問題や新型コロナ対策について菅政権を追及し、足並みは揃えやすくなった。ただ、政権獲得に向けてどういう体制を組むのかという政権構想のパッケージがまだ見えてこない。合流新党は150人規模の塊になったのだから、政権を担う発射台に立ったという自覚を持って政権構想を打ち出していけば、相乗効果で力をつけていけるはずです。また合流新党には、旧民主党政権の中核を担った豊富な人材も集まっている。その経験や手腕を生かして組織だった党運営をしていくことを期待しています。


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