
新型コロナウイルスの感染拡大がいまだ収束しないなか、宮内庁内で「どうすべきか」と案じられているのが「皇族方の新型コロナワクチン接種」だ。宮内庁関係者が語る。
【写真】マスクをし、公用車の中から、手をふられている上皇・上皇后両陛下
「菅首相は“2月下旬にワクチン接種開始を目指す”と話していましたが、供給の遅れも指摘されており、国民に行き渡るのはまだ先になると思われます。65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人が優先的に接種を受ける方針と聞いているが、上皇・上皇后両陛下はまさにこの条件に当てはまる。宮内庁内では“優先的に受けていただくべきではないか”という意見が出ているのです」
一方、周囲が勧めたとしても、両陛下は接種を望まれないのではないかという声も聞こえてくる。
2009年に新型インフルエンザが流行した際、周囲からは“早いうちにワクチンを接種していただきたい”との声が上がったが、両陛下は“国民と同じタイミングで”とのご意向を示したというのだ。
「結果的に、前立腺がんの治療中だった上皇陛下(当時は天皇)は重症化リスクの高い優先接種対象者だったため2009年11月に接種を受けられたが、当時75歳の美智子さまは健康成人(19~64歳)が接種開始となった2010年1月まで接種を待たれた。“自分たちよりも国民を優先してほしい”というお気持ちだったのでしょう」(別の宮内庁関係者)
しかし、海外には“逆の考え方”もある。
イギリスでは1月9日、94歳のエリザベス女王が99歳の夫・フィリップ殿下とともに新型コロナワクチンの接種を受けた。前年12月8日にワクチン接種が開始されてから、ちょうど1か月後のことだった。
接種の公表は、女王自身の判断だった。英国に在住するジャーナリストが言う。
「イギリスでは1日の死者が1000人を超える日も多く、新規患者を受け入れられない病院も急増していた。イギリス政府はテレビやネットを通じてワクチン接種を急ぐよう国民に呼びかけたが、ワクチンの効果や副反応に懐疑的な見方も根強く、なかなか広まらなかった。国民の不安を払拭するために女王が自らの接種をアピールしたという見方が強い」
どちらが国民のためになるのかは難しい判断だけに、宮内庁でも「ワクチン接種を両陛下に勧めるべきか、庁内でも意見は分かれている」(前出・宮内庁関係者)という。
※週刊ポスト2021年2月12日号