新型コロナウイルスのワクチンの供給の遅れが世界的に指摘されています。
アメリカでは国境や州境を越えて接種を求める「ワクチン・ツーリズム」が問題になっているとか。
WSJはVaccination Delays Put Global Rebound at Risk(ワクチン遅延で世界経済の回復はリスクに直面)の中で、新型コロナウイルスのワクチンの供給が多くの国で遅れていることから、世界経済の回復は2022年、あるいはそれ以降になるだろうと報じています。
アメリカや一部の小国では、この夏の終わりまでに国民の大部分に対してワクチンを接種するための準備が進められている一方で、医療関係者や経済の専門家はヨーロッパ、アジア、南アメリカでは時間を要することを見込んでいるとしています。
とりわけドイツやメキシコでは十分なワクチンを確保できない事態に直面。
大手金融機関のUBSは、▼2021年末まで世界人口の10%、▼2022年末までに21%しか接種が終わらないと予想しています。年内に国民の3分の1以上にワクチンを接種できるのは僅か10か国だとしています。
ヨーロッパではこの夏までに域内の70%を接種することを目指していましたが、ここ数日、ワクチン不足に陥り、これまでに接種したのが対象人口の2%に過ぎないことから、達成が不可能だろうという現実が突きつけられていると指摘しています。
問題の核心は、一気にワクチンの大量生産を行なうことの難しさだと言います。
FTはEU faces global criticism over curbs on vaccine exports(EUのワクチン輸出規制に対して各国が批判)のなかで、EU=ヨーロッパ連合が先週金曜日に域内からのワクチンの輸出規制を発表したことを受けて、カナダや日本、韓国などが懸念を表明したと伝えています。
イギリスの製薬大手アストラゼネカのワクチン供給の大幅な遅延を受けて規制を導入することにしましたが、EU加盟国であるアイルランドと英領北アイルランドの間の国境でも監視を行う方針を示したことで波紋が広がったとしています。
この結果、EUは金曜の深夜に慌てて撤回することになったということです。
The GuardianはVaccine tourism: tens of thousands of Americans crossstate lines for injections(ワクチン・ツーリズム: 多くのアメリカ人がワクチン接種を求めて越境)の中で、アメリカでは州によってワクチン接種の計画が異なることから、多くの人が国境や州境を越えて早くにワクチンを接種できるところに移動して接種をしていて、まるで「ワクチン・ツーリズム」だと伝えています。
フロリダ州は65歳であれば誰でも接種できるという当初の計画により、ワクチン・ツーリズムの人気スポットとなっていて旅行会社も後押ししているそうです。