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焦点:個人投資家「暴走」でソーシャルメディアに厳しい目


[オークランド(米カリフォルニア州) 29日 ロイター] - 交流サイトのフェイスブックやオンライン掲示板のレディットといったソーシャルメディアには、武器や薬物など違法な物品の取引についての書き込みを禁止する規約がある。同様に、株式投資も金もうけをにつながり、当局が一定の規制を設けている行為だ。しかし、それに関する情報投稿で、明確なルールは見当たらない。

一部の専門家からは今、そうしたルールを策定すべきだとの声が出ている。レディットのあるグループでは500万人に上るユーザーが投資アイデアを交換するが、その利用者たちが、今回はゲームストップ株など、いったん市場で落ち目になり大手ヘッジファンドの空売り対象になっていた幾つの銘柄に猛烈な買いを入れ、多額の利益を手にしたからだ。

投資家はもう何年も前からソーシャルメディアを活用している。複数の研究によると、暗号資産(仮想通貨)を巡っても、匿名で数々の相場つり上げや押し下げの手法が投稿されていた。しかし、そうした不透明な市場はそれほど精査を受けてこなかった。

今回は何千もの小口投資家がフェイスブック、インスタグラム、テレグラム、クラブハウスなどさまざまなプラットフォームで情報を交換し、「レディットラリー」と称されるようになった大相場を作り出して、市場を混乱させた。その結果、これらの何千もの投稿の場に厳しい目が向けられるようになっている。

政治家や一般大衆は、個人投資家がスクイーズ(空売りの買い戻しを強いる締め上げ)を通じて、市場で大きな力を持つヘッジファンドに一撃をお見舞いしたとばかりに拍手喝采を送っている。ただ、それと同時に浮上したのは、経営基盤の弱い企業の株を無理やり押し上げる違法な相場操縦を、ソーシャルメディアのユーザーが行ったという批判だ。

もちろんユーザーの中には、特定の個別株の価格つり上げに協力してほしいとの依頼を断った、フェイスブックの投資コミュニティー管理者のような人々もいる。

ソーシャルメディア運営企業は一般的には、通信品位法第230条の免責規定によりユーザーの投稿内容を理由に責任を問われることはない。しかし、銃や薬物といった違法取引の助長や、広告主の立腹や当局による規制強化を招きかねない挑発的なコンテンツの配信は禁じる規約がある。

サイバーセキュリティー関連法専門家のジェフ・コセフ氏の話では、通信品位法第230条は理論的には、連邦刑事法違反の事例ではユーザー投稿が運営企業の連邦刑事罰につながる例外規定がある。ただコセフ氏は、この刑事罰には投稿という言論内容の違法性を証明する必要があるという意味でハードルが高い。その上、表現の自由を定める合衆国憲法修正第1条に基づく過去の判例では、犯罪的な内容が投稿されていることを運営企業が認識していないと、運営企業の責任を問えないことが示されているという。

ハーバード大学法科大学院のジェス・フリード教授は株式投資フォーラムの動きについて、外形的には「純粋に合法的な行為」の要件を満たしていると述べた。単なるアマチュア投資家の「根拠なき熱狂」にすぎない考え方だ。

一方、カリフォルニア大学バークレー校のスタブロス・ガディニス教授は、投資家を欺いたとしてソーシャルメディアのユーザーを告発するのは、難しいが不可能ではないとの意見だ。ソーシャルメディア運営企業には証券取引所などと同じように、相場操縦が疑われる行為を止める力があるとも指摘した。

もっとも熱狂の渦の中で、不心得者を見つけ出すのは簡単ではない。MITデジタル経済イニシアティブのディレクター、シナン・アラル氏は「裏ではあらゆるフィードバックの連鎖と動機があり、誰が群衆の中にいたのかをわれわれは正確に知ることはできない」と説明する。

投資家向けソーシャルメディア・プラットフォーム、ストックウィッツのリシ・カンナ最高経営責任者(CEO)は、やり取りの大半は相場操縦の証拠を示さない単なる株式取引の話題のように見受けられるとし、同社として特別な監視・是正措置は講じていないと明かした。

<グレーゾーン>

レディットは利用全般についての規約で、違法なコンテンツや勧誘、違法取引の促進を禁止しているが、実態としてはコミュニティーベースの「浄化作用」に依存している面が非常に大きい。つまりモデレーターとして行動するユーザーが何が許容されるかの指針をつくり、実施している。

レディットの投資コミュニティー「ウォールストリート・ベッツ」の創設者で、昨年4月までここのモデレーターを務めていたジェイミー・ロゴジンスキー氏も、自分はどこまで許すかの線引きをしようとしていたと振り返る。同氏や他のモデレーターは、企業の内部情報に基づくなどと主張する投稿など、市場を明らかに違法なゲームの場にしようとする投稿については削除に努めてきたという。

半面、違法かどうか判別しにくい「グレーゾーン」に際しては、自分たちは「あえて冒険はせず」そのままにしていたとしている。「株価をつり上げようとする動きがあったとして、今でも自分はその場合の規制はどうなっているのか知らないが、そういうときに試みをあぶり出そうとまで思ったことは一度もなかった」という。

同コミュニティーは昨年4月までに、禁止リストのトップに「相場操縦」を掲げるようになった。一方で、現在のモデレーターらからは、投稿数の急増で問題投稿の監視に四苦八苦しているとの声が聞かれる。

実際、これらの投資コミュニティーにきちんと目が届かない以上、相場操縦の温床になる恐れが消えることはない。

メリルリンチの元アドバイザーで、現在はフェイスブック上で8万人が属する投資コミュニティー「ストックス・アンド・スチレットズ・ソサイエティー」を管理するカサンドラ・カミングス氏は昨年、ある銘柄を値上がりさせるためコミュニティーを盛り上げてくれと、さまざまな方面から要請されたと明かす。ただ、自分は頑としてはねつけたという。

「連中は、私が自分のグループを通じて、やろうと思えばその企業の株価を動かす影響力を持っているのを分かって、動いている」と警戒をあらわにしている。

(Paresh Dave 記者、Katie Paul 記者、Elizabeth Culliford記者)

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