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アメリカの東アジア政策 その2 ボタンの掛け違いと米中関係

バイデン大統領は中国に対して引き続き厳しい姿勢を取ると明言しています。私は甘くなるとみています。アメリカは自分たちこそ最高の指導者とするのが歴史であります。近年はバイデン氏をはじめ「アメリカの老化」もみられますが、アメリカがかつての日本に対して取った姿勢を中国に向けて同様に行えるのか、今日はその可能性を探るために時代を100年以上遡って考えてみたいと思います。

日本が世界に対して自信を持つようなったのはいつか、といえば日露戦争(1904-1905年)の勝利とほぼ断言してよいと思います。司馬遼太郎の「坂の上の雲」の意味とは戦争を通じて国民が一体となり、坂を登る高揚感であります。それは明治維新から30数年の第一幕のクライマックスだったといってもよいでしょう。

しかし、日露戦争の結果が日本をひねくれさせたのも事実。一つには軍部の強化、暴走を招いたこと、二つ目は国民に過剰なる自信を植え付けたこと、三つ目に世界に敵を作ったことであります。今日はその中で三つ目の世界に敵を作った部分に焦点を当てます。

日露戦争は高橋是清の尽力により戦争債をアメリカ、ユダヤ系が協力してくれたことで資金的に戦い抜くことができました。当然、アメリカは日本の味方であったわけです。ところが戦後、アメリカが日本の突出したチカラに懸念を感じ、その力を削いだのがポーツマス条約です。日本は条約で得たものが国民の期待にそぐわず、全権の小村寿太郎が帰国後ボコボコにされたのは教科書の通りです。ただ、この小村が後日、日米関係に決定的な亀裂を引き起こしたことはほとんど知られていません。

その舞台は満州であります。日露戦争の講和をきっかけに日本は満州の鉄道経営に着手するのですが、アメリカの鉄道王、ハリマンが1億ドルで鉄道の共同経営を持ち掛けます。国家予算2億6千万円の時代ですから時の首相、桂太郎はOKを出すのですが、ここで小村がNOを主張、この話は流れます。当然アメリカは激怒します。アメリカの時の大統領はセオドア ルーズベルト(共和党)。のちのフランクリン ルーズベルトの遠縁にあたります。日本にとって二人のルーズベルトは天敵なのでしょう。ここに日米のボタンの掛け違いが始まるのです。

満州事変後、日本は満州経営を始めるにあたり石原莞爾の押しもあり、鮎川義介を重工業事業の展開をさせるために送り込みます。鮎川をご存じない方は多いと思います。「ニキサンスケ」といえば満州を語るにおいて欠かせない5人です。東条英機、星野直樹、岸信介、松岡洋右、鮎川義介であります。この5人の話をひっくるめたノンフィクション小説がなぜないのか不思議なのですが、ここに日本の将来のヒントすら見て取れるのです。その鮎川は日産(日本産業)の創設者で渋沢栄一とはやや違いますが、日本の代表的経営者として研究する価値はあります。その鮎川は満州経営にはアメリカとの共同作業がよいと考えます。

桂と小村が対立した際に桂の後ろには井上馨がおり、彼も桂同様、日米共同戦線派でした。井上の妹の孫が鮎川ということもあり、鮎川自身、幼少時から井上の強い影響を受けており、満州経営にはアメリカが必要と強く訴えたのですが、当時は軍部がウンと言わず、流れます。鮎川は満州経営を諦め、帰国します。また「サンスケ」は全員「長州」出身ですが、その鮎川と松岡は満州経営当時からそりが合いません。後年、近衛文麿が組閣の際、鮎川を大臣にしようと画策したところ、近衛が「松岡をちょうど口説いたところだよ」という逸話もあります。

長くなるので歴史の話はこれぐらいにしておきますが、日米のボタンの掛け違い、そしてアメリカにとって日本に不必要な力をつけさせないというのが絶対方針であったわけです。戦後の日本がアメリカの安保の傘にありますが、その本質を一番分かっているのは岸信介のはずです。

アメリカにとって中国がこれ以上力をつけるのは不都合であるのは歴史を見ても明白であり、力づくでも抑え込みたいところでしょう。それにはあらゆる方法を駆使するはずです。それがアメリカのやり方だからです。こういっては何ですが、アメリカにはやはりアジアに主導権を取らせたくないという気持ちが今でもあるのだろうと思います。

一方で没落する白人労働者階級に「中国と戦う」と明白なビジョンを示したのがトランプ氏であり、その姿勢はある意味二人のルーズベルトに似た感情論さえ感じずにはいられません。バイデン氏がアメリカ国内の分断の修正を第一主義とするようですが、それならば仮想敵国を明白にすることがもっともたやすい手段の一つであることも歴史が証明していると言えないでしょうか?

バイデン氏の外交政策とその手腕をじっくりと拝見したいと思います。

では今日はこのぐらいで。

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