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コロナ感染症の有事医療体制、かくあるべし

昨年6月、自民党行革推進本部長(当時)として、この国は感染症有事のガバナンスが機能しておらず、可及的速やかにその体制を組み直さねばならないことを、具体的法改正事項を含め、提言した。さもなくば、想像以上の感染力を持ち、また有史以来初めての無症状で感染力を持つ未知の感染症に勝てる保証はない、と考えた。秋には、武見参議院議員中心に、政務調査会の感染症ガバナンス小委提言でも、同趣旨の提言をし、以来、その内容を仲間とともに充実させ、訴えてきた。

そのような流れの中で、年明け後、1月2日から6回にわたってこの「独り言」で、新型コロナウィルス感染症有事の医療体制及び「攻めの戦略」として、徹底的なスクリーニングを含むPCR検査実施により、無症状患者を探し出して隔離することにより、オリンピック・パラリンピックを控えた国として当然な、名実ともにコロナフリーの日本となることを提唱してきた。

このところ、検査で陽性とされながら入院先が決まらないまま自宅待機をしている間に容体が急変、亡くなられる方々が後を絶たない。病床過多とも言われる日本で次々と明らかになる「医療崩壊」の事例。そして日本の感染症有事における日本の公衆衛生と医療制度の機能不全振りは、否定し難い。ここは、間違いなく平時ではなく有事の今、それに対応できる体制に切り替える法改正、およびそれに基づく制度改正を実現しなければならない。

今回の与野党合意により、政府提案の特措法、感染症法が改正され、2月初旬にも成立するとみられている。私達の主張については、党内コロナ本部の平場で繰り返し訴えたが、肝心の部分は取り入れられることがなかった。その中でも何が本質的に、そして決定的に重要かについては、「独り言」で書いてきており、ご笑読頂ければ幸いだ。

今回の法改正は、確かに一歩前進かもしれないが、本質的問題の抜本改革には至っていない。なぜならば、現段階の法案は、「平時の対応」の域を出ず、まずは、有事に際してどのような患者がどのような病院に入院すべきかの「ルール不在」だ。そして、本来その入院先決定のルールに従って決定する「司令塔不在」であり、「司令塔への法的権限付与の欠如」も、有事の「国のかたち」としても問題だ。

例えば、今回の改正で知事が入院の「総合調整」が可能とはなるが、調整が不調の際にはそれ以上講ずる手立てはない。これとは別に、医療関係者や医療機関に協力を要請、勧告し、勧告に従わなかったときに「医療機関名などの公表」という、いささか筋違いの制裁的手段が用意されているだけで、「総合調整」から「指示」までの一貫した強い権限はない。関係者間の利害対立から有効な解決に至らない公算大だ。この間与野党事前協議の場では、このような議論がなされた、とは聞いておらず、是非こうした点を国会審議の過程で与野党が議論を深め、私達の提言も踏まえてさらなる改善を図ることを期待したい。

この程、私達の新型コロナ感染症有事における医療体制に関する「ポンチ絵」を作成した。これまでの主張を入れ込んだつもりであり、是非ご一覧頂き、ご意見を頂ければ幸いだ。【「『薄く、広く』から『選択と集中』へ」」

一言で言えば、平時ではなく、コロナ有事に限っての、現状の「広く、薄く」から、「診療能力に応じた病院間の役割と責任の新たな分担」による「選択と集中」だ。加えて、「医療資源(人材、医療設備等)の有事に際しての最大限の有効・効率活用」だ。さらに、コロナ時代前の医療圏内の医療の質と量は、提供場所や方法が変わることはあろうとも、何らかの形で全体として維持をするべきだ。

すなわち、「最重症」・「重症」、「中等症」、「軽症・無症状」の3段階の症状に応じ、「選択と集中」を受け入れ病院の役割分担において明確にする。リスクを負いきれない民間中小病院に、補助金と診療報酬という財政的インセンティブだけで、「広く、薄く」入院受け入れを実現しようとしても、効果は小さいと思う。

その際、「自宅療養」は原則なくし、すべての感染者は、何らかの病院か宿泊療養への入院・入所としてはどうか。既存施設が不足し、やむなく自宅待機中に死亡されるケースが続出する現在のような場合には、短期間突貫工事により「仮設簡易病院」をプレハブででも一気に大量建設し、容体急変患者の高度医療病院への迅速な移送が可能な新たな整備された施設の実現を図るべきではないか。

そして、軽快患者や厚労省の定める退院基準を満たす患者の転院先がないため「目詰まり」が生じ、「選択と集中」が進まないという現状を打破する必要がある。転院先の受け皿としては、公衆衛生上の緊急時に厚労大臣からの要請が可能な国立病院やJCHOがまず対応すべきであろうし、中小といえども、民間病院の活躍の余地はこうしたところに十分ある。

こうした入院先・転院先の確保と決定を行う司令塔は、一義的には都道府県知事であり、必要な場合には厚労大臣も担い得ることを法律上明確にすべきだ。【「感染症法改正の追加すべき主要条文案のイメージ」」

我々は、今が深刻な「有事」であることを、もっと深く認識し、「有事」にふさわしい対応を迅速に行い得るよう、国家ガバナンスの仕組みを早急に作り直さねばならない。

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