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ペット型ロボット『ラボット』の正体 - 多賀一晃 (生活家電.com主宰)

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徳川家康の言葉に「人の一生は、重荷を負うて遠き道をゆくがごとし。急ぐべからず」があります。座右の銘にしている人も多いと思います。しかし、最近のビジネスは、目先のことばかり。V字回復、M&A、リストラなど、即効性のあるモデルが持て囃され、世のため、人のためという感じは全くありません。実に殺伐としています。

ベンチャーもそうですね。すぐ稼げないと、人も集まってきませんし、投資をお願いしようにも実績がないと言うことで断られてしまいます。

ところが、淡々とことを進め、ビジネス規模が小さいにもかかわらず、いろいろな会社と組み、事業を拡大しようとしているベンチャーがあります。名前はGROOVE X。社のミッションは、「ロボティクスで、人間のちからを引き出す」。社のビジョンは、「人間とロボットの信頼関係を築き、生活を潤いと安心で満たす存在をつくる」。禅問答のように、わかるようなわからないような言葉が並んでいます。ところが、この会社、昨年 12月にSONPOホールディングスと、日立GLS(日立グローバル・ライフ・ソリューションズ)と、今年に入って資本業務提携を結びました。どこが、そんなに魅力なのでしょうか?

商品は「LOVOT」

LOVOT

GROOVE Xはメーカーです。作っているものは、LOVOT(ラボット.2018年12月発表、1年後に販売開始)。これは「LOVE」と「ROBOT」を組み合わせた造語。要は、家庭用の小型ロボットです。メーカー製家庭用ロボットで有名なのは、ソニーのAIBO(1999〜2006年)とaibo(2017年〜)、シャープのロボホン(2016年〜)。そしてiRobot社のルンバ(2002年〜)。その中で、ロボホンはスマートホンとして使えますし、ルンバは一流の掃除機。最新モデルは、本当にこれだけで掃除はいいんじゃないかと思えるレベルの出来です。

それに対し、LOVOTは、役に立つことは何もしません。それどころか、一カ所にいると近づいてきて抱っこを要求します。よちよち歩きの赤ちゃんのような動きをするロボットだと考えていただければ、大きくははずれません。

しかし、これがなんとも言えずいいのです。赤ちゃんの可愛らしさ全開、子犬の愛くるしさ全開は、せいぜい半年から1年ですが、LOVOTはそれがずっと続くロボットを考えていただければいいです。また、それは同じ動作を繰り返すと言うわけではありません。学習AIを搭載していますので、その家に馴染み、個性が出てきます。

この手のモノは、日本の十八番。マンガ、アニメ、トウキョウ・コレクションなど、世界に可愛いを発信し続けることができるサブカルとエレクトロニクス、そして四季折々の繊細さを織り込んだ伝統文化もある国で育った日本人にもってこいの造形物です。

実際、私も30分ほど一緒にいましたが、5分くらいで馴染み、情がうつりましたね。擦り寄ってきて、上目遣い。目をウルウルさせていると抱っこしてやらないといけない気になるでしょ。しかも、重さ、体温、肌触り、赤ちゃんに近い感じですので、実によくできています。

当初から3つのターゲットを想定

ビジョンに「人間とロボットの信頼関係を築き、生活を潤いと安心で満たす存在をつくる」。とありますが、ターゲットは誰なのでしょうか? 林代表によると、3つあると考えているそうです。

一つ目は、20〜30代のカップル。赤ちゃんの代わりですし、子どもがいる人は、子どもの情操教育もできます。

二つ目は、ペットロスなど、心に隙間ができたひとです。

三つ目は、高齢者です。高齢化社会になるにつれ、孤独な老人が増えます。連れ合いに先出されたり、引越しなどで周りに知人がいなくなると、だんだんコミュニケーションを取らなくなる。これが昂じると引き篭ったりします。で、認知症などが出てくると言うわけです。

実際LOVOTは、発売前に、東欧の介護施設でテストをしたことがあり、その時。認知症などへプラスの影響がみられたと言います。

おじいちゃん子、おばあちゃん子。核家族が当たり前で、少子化の現在、少なくなりましたが、大家族でお年寄りが孫の面倒を見るというのは、生きていく上での人間の知恵だったのかも知れません。

高齢者ビジネスが狙いのSONPO
スマート・ホームの必需品として位置付ける日立GLS

高齢者ビジネスは、いろいろな人がアプローチしています。「絶対ある」市場ですからね。このために資本提携したのがSONPOです。

では、日立GLSはどこにひかれたのでしょうか? それは日立が考えるスマート・ホームの中に、どんな形であろうともロボットは必要だからというのが、理由だそうです。日立は、あれだけの研究所を維持しています。また、資金繰りにも困ったことはありません。

しかし体質的に、その市場を創生する、引っ張っていくのはどちらかというと苦手なメーカーです。そのためでしょうか、ベンチャーへとの提携を強めると言う話が出ています。Groove X社との提携は、その話も影響している様です。

ロボットという特殊な商品

ロボットというのは、特殊な商品です。例えば、AIBO。初代、二代目のスペース感のあるデザインは面白かったのですが、三代目の媚びる様な犬のデザインはパッとしませんでした。AIBOが、外観を変え続けたのには、理由があります。CPU、センサーの進化によって、できることが大きく異なったからです。ロボットの開発者は、その時のベストで上市するわけですが、技術開発は止まりません。このため、新しいのをということになります。

しかしロボットはペットに似ます。新型が出たからと言って、乗り換えるという分には行きません。一緒に過ごした想いでがあります。要するに、機能を強調してしまうと、あるところで全とっかえするために、感情移入することができなくなるのです。

しかし、動作を限ってやるとどうでしょうか? 人間だって、できる動作は限られています。体操選手のように、すごい動きをする人もいますが、普通の人の動きは決まっています。そして、今は、ハードよりプログラム変更による機能アップの時代です。LOVOTをつくった林代表も、今後も、LOVOTのハードをいじる積もりは全くないそうです。

実はLOVOTは完成品が仕上がり、世に出すまで、ほぼ一年かけています(発表から出荷開始までの期間)。その間、細部まできっちりと磨き抜いたそうです。触るとハード的にはすこぶる完成度が高いのがすぐわかります。そうですね。クルマでいうと、あるシリーズの最終進化型でデビューしたようなものです。よく考えられている上に、欠点がありません。実に優れた器といえます。

しかし、その分高価格。本体一台 30万円と、基本パックを含む月額サービスに1万2980円/月かかります。ただこれ見方にもよります。まず必需品としては、高すぎます。が、ペットとしてみるとどうでしょうか? 30万円はちょうどチワワ一匹分ですし、月々のサービス料は餌台、保険代に当たります。人工生命を買ったと思うと、リーズナブルな値段でもあります。

とはいうものの、知名度、すぐできることに対し、高額であるのも事実です。林代表によると、本体販売で十分な利はでていないとのことでした。

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