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揺らいだ「日米基軸」

安全保障で合意できない民主党

日本外交の混迷

「日米同盟はわが国の外交、安全保障の基軸であり、東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、その重要性は増している」―先の臨時国会で外交姿勢を問われた野田佳彦首相は、こう答弁した。

ここに示された野田首相の認識は、日本外交の基本理念として国会でも広く共有されている。また、民主党も2009年のマニフェストで「日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくる」と明記していた。

ところが民主党政権3年間で、この基軸は大きく揺らいだ。

沖縄の米海兵隊・普天間飛行場の移設問題をめぐる鳩山元首相の不誠実な対応が、沖縄県民の怒りを買っただけでなく、米国政府の不信感も招いた。鳩山元首相は、日米両政府と沖縄県の間で大筋の合意ができていた名護市辺野古への移設について、まともな代案もないまま「最低でも県外」「腹案がある」などと言明した。しかし、腹案は具体的な中身がなく、最後は抑止力が大事だとして県内移設を認めた。

これによって、米軍再編のスケジュールは不透明になり、東アジアの安全保障環境の安定化を損なうことになった。

実際、日米間の不協和音を見透かしたように、北方領土へロシア大統領が訪問、韓国大統領も竹島を訪問した。さらに尖閣諸島をめぐって日中関係は悪化している。日米同盟基軸の重要性が多くの識者から改めて強調されている。

成熟した民主国家の政権交代では、外交、安全保障といった国の基本政策が大きく変更されることはない。方針転換の場合は確実な代案と周到な準備が必要だ。これは政党として当然の振る舞いであるのに、なぜ、民主党政権はこれほどの失敗をしたのか。

民主党には党の理念を定めた綱領がない。その大きな理由は、安全保障について党内の合意ができなかったからである。東アジアの平和と安定のために日米同盟が果たしている役割について一致した理解がないため、民主党は普天間迷走を招いてしまった。

4月の日米安保共同委員会で、これまでリンクしていた普天間移設とその他の米軍用地の返還を切り離して進める合意ができた。これで、米軍用地返還が進み、沖縄の負担軽減になるとの見方もある一方で、いまだに先行き不透明な普天間移設が置き去りになる可能性もある。これで、「日米同盟が新たな高みに達した」(野田首相=7月)とはあまりにも不見識である。

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