
「正直、立憲民主党に入れようと思えないのですが……」
なんと野党第一党のトップ、枝野幸男さんが YouTubeたかまつななチャンネルに出演してくださりました。
そして、Yahooのトップニュース、アクセスランキングも1位になりました。まずは、大変ありがたいです。お忙しい時間を割いていただき、感謝の限りです。時間を割いて枝野さんが出てくださるメリットは正直、そんなにないと思う。国民や若者と対話しようという想いからだとおもうが、NGなし、事前チェックなどもなしに、原稿や動画を出させてもらったことは、嬉しかった。記者会見が短い、どこかの誰かさんとは大違いだなと思った。フリーランスはなかなか入れない場もある中、タブー忖度なしにというのは、当たり前に見えて実はそれさえできていない議員が多いから、ありがたい。
枝野氏 今は政権交代言えない - Yahoo!ニュース
昨年、旧立憲民主党と旧国民民主党が合流して誕生した「立憲民主党」。菅政権の支持率が低迷する中、最大野党である立憲民主党は、
news.yahoo.co.jp
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6383406
今までも番組共演や、立憲民主党の結党大会の取材などさせていただき、枝野さんの本音を引き出す難しさを感じていたので、なんとか今までと違う取材をしたく、事前のリサーチや官僚の方へのヒアリング、野党担当記者の方や専門家の方に相談を重ねた。
枝野さんは記者からの評判があまりよくない。本音が見えず、失言が少ないからだ。「政権交代の戦略を教えてください」という質問に、「戦術は話せない。話すと、自民党や電通にマネされるから」みたいなことを真顔で答える。(私の記憶で書いているので、ちょっと違うかもです。)
たしかに、枝野さんの懸念はわかる。立憲民主党の結党大会の日程にぶつける形で、自民党の総裁選の日程などを組まれ、報道量が減ったと言われている。

森友や桜など長期政権による弊害は明らかである。民主主義の根幹である、記録を残すという原則を覆すことが行われた。だから、野党が強くなってくれないと困る。
田原総一朗さんとご飯にいったときも、いつも、若者の投票率をあげるためには、野党に強くなってもらう必要があると田原さんはいう。「変わる」という期待もなく選挙にいけというのは、たしかにかなり無理があると自分も思う。
そこで、私は結党大会で、質問した。「枝野さん、政権交代はおこせますか?」解散時期ももちろんわからないこともあり、「それは私にも分かりません」的な感じでかわされてしまった。本当は、「おこせます。(にっこり)」との答えがストレートニュースになって、ばんばん報じられてほしかった。
せっかく取材に足を運んでも、誰からも文句がこないような答えをする枝野さんは、誰からも批判されないし、誰からの賞賛も得ない。自民党の批判票が集まる。そして一定の議席数はとれる。でも、本気で政権交代狙っているの?もっともっとアピールしてよ、というのが私の本音だ。
そんな枝野さんの心を動かすために、私は取材者としての私を前面に出すのではなく、一有権者として聞いてみることにした。

私は…「正直、立憲民主党に入れようと思えないのですが……」という質問を一番最初にすることを考えた。私は無党派層だ。いろんな政党にいれたことがある。特定の政党を支持していない。
今の自民党には、でも入れたくない。だからといって、立憲に入れたくもない。内閣支持率が下がっても、立憲民主党の支持率が急増することはない。野党は批判ばかりしているし、政権担当能力がないからと自民党にいれる。消極的に自民党を支持する人たちの気持ちが少し分かるのだ。
だから有権者として、枝野さんと話して気持ちよく立憲民主党と書きたい、中途半端な答えがきたら、気持ちよく書けないと伝えようと思った。だが枝野さんの答えは意外なものだった。「気持ちよくなくてもいいから、立憲民主党と書いてください。期待値をあげすぎたらダメです。2009年の政権交代の時に失敗した。よりましな方を選ぶのが民主主義だから」と。

よりマシな方を選んだ結果、今自民党が選ばれ続けているのでは……?
組閣人事を発表したり、立憲民主党が政権をとったら予算はこうかわり、(増えるも減るも示す)とかしたり、国家像を示してくれないと、私にはイメージがわかない。
この立憲民主党の HPの綱領をみても、「みんな仲良く」ぐらいの美辞麗句が並べられているような気しかしないのだ。。。
https://cdp-japan.jp/about/principles
批判されないと議論にすらならない
枝野さんは賢いし、失言しない。だけど、言葉に力がないのかもしれないと思った。この言葉とは、演説のできみたいなものではなく、夢みたいなものだ。売れない若手芸人の「M1優勝してやる」や「海賊王に俺はなる」的なもの、「武道館を満員にする」みたいに熱狂するようなものだ。ポピュリズムの危険性はもちろんあるのだが、今のままだと、具体案がでてこないから批判さえおきないのではないか。議論にさえならないのではないか。

YouTubeのコメントでこのようなものもあった。
例えば、私が「教育費は今、およそ5%ぐらい年間で使われていると思うんですけど、立憲民主党が政権をとると、どのくらいになるんですか?」と聞いた。
すると、枝野さんは、「そういうテーマを立てるからダメだと。国会で予算を通さないといけない。衆参でねじれがおきる可能性もあるし、やると宣言しても震災やCOVID-19などの場合は対応できない。将来的にはヨーロッパの先進国の水準にはもっていきたいし、大きなゴールは示せるけど、具体的な数字をしめすと大きな注目を集めてしまうことを過去に僕自身がやってしまい反省しています」と話した。

でも、その大きなゴールも今のままでは国民には届いていないのではないか。数字をいってもらって、じゃあそのためにはどうするんですか?と話して議論が転がっていく。具体例を言わないと議論や批判さえできない。
本来は、野党が自民党と違う国家像を示せば、議論が巻き起こるはず。しかし、今の野党は、次の選挙をどうするか、国家像をすり合わせず、野党共闘をどうするかばかり考えているように思う。
枝野さんや立憲の国家像がやはりよくわからない。これは、枝野さんに限らず、自民党の総裁選でも思った。いまだに菅さんが目指す国家像がよくわからない。
対談は失敗した
枝野さんと私の対談は最初から最後まで噛み合っていない。立憲民主党を積極的に支持したい私と、奇をてらったことをしたくない枝野さん。私は政治のプレー経験がないから、理想論をぶつけすぎたのかもしれない。でも、やはり私のような無党派層って結構多いと思うから、立憲民主党や枝野さんの声は私たちには届いていませんよ、というのをうまく伝えて気づいてほしかった。

そして、少しでも枝野さんのコミュニケーションを変えてもらい、強い野党になってほしかった。それに失敗した。
正直、どちらが正しいのかはわからない。できないことは言わないというような枝野さんの姿勢はある意味真摯なのかもしれないし、ビラをくばり、地元で頑張り続けること、個人が信頼をとり続けることが大事で、変な期待値をあげすぎないというのも分かる。現に立憲民主党は、国民民主党の議員と一部合流したことで国会での議員の数を増やしたし、選挙で野党票が割れることも防げるから、次の選挙では増加する可能性が高いだろう。
でも、本当に本当に、ただ、よりマシなものを選びつづければ、この国はよくなるのだろうか。。。