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日本を混乱させた 民主党の政治手法

画像を見る今回の衆院選挙では、政党の政権担当能力が問われている。「民主党政権はなぜ失敗したのか。しっかり検証し、総括する必要がある」(山口那津男代表)といえよう。民主党は野党時代から「いつでも政権を担える政権準備政党だ」などと言って、政権担当能力を公言してきた。しかし、政権の座に就いた途端、国民の期待を裏切り、日本を混乱させてしまった。その理由として、実現不可能な政策を掲げただけでなく、民主党の自己中心的で幼稚な政治手法(政治の進め方)にも批判が集まっている。民主党も最近、「政権を取れば何でもできるという傲慢さ」があったと認めた。民主党政権の誤った政治手法をまとめた。

まやかしの政治主導
官僚をリードできず思いつきの政策判断繰り返す


民主党は、政権交代を果たした2009年のマニフェストで「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」として政治主導を掲げた。

画像を見るしかし、政治主導の柱である首相は、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦氏と3年間で3人、組閣・改造は8回と、じっくりと国政に向き合い、官僚をリードするどころではない。野党時代には総選挙なしの首相交代を「政権たらい回し」と批判していたはずだ。

また、3内閣での閣僚辞任【左の表参照】や閣僚交代も相次いだ。特に、少子化相(10人)、消費者相(9人)、法相(9人)、拉致問題相(8人)の交代は目に余る。これでは「政務3役(大臣、副大臣、政務官)を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定する」(マニフェスト)といってもむなしい。

しかも、政務3役の会議録も作成していなかった。これは政府の透明化を求めた行政情報公開法の精神に反する行為である。

政権の座に就けば、何でも許されるとの傲慢な政治手法がうかがわれる。

民主国家の政権交代では、外交・安全保障など国の基本政策は大きく変えないことが常識的な政治手法である。変える場合は確実な代案と慎重な準備が求められる。

ところが鳩山首相(当時)は、日米両政府と沖縄県で基本的な合意ができていた米海兵隊・普天間飛行場の辺野古移設問題を、「最低でも県外」(09年の衆院選)と言って大混乱に陥らせた。党首討論でも「当然のことだが、私は腹案をもっている。関係閣僚もその認識の下で行動してもらっている」(10年3月31日)と言明。沖縄県民は首相の政治主導に期待を寄せた。

ところが、鳩山首相が腹案を本気で詰めた形跡はなく、結局、「日米同盟や抑止力の観点からすべて県外というのは現実的に難しい」(10年5月4日=沖縄県庁)と述べ、仲井真弘多知事に謝罪。今も民主党政権は移設問題を解決できていない。「思いつきの政治」(山口公明党代表)が日米関係を悪化させた。

パフォーマンス優先
政党としての理念不在で頼るのは「大衆受け」だけ


政党には理念や政策を定めた綱領が不可欠である。しかし、民主党にはそれがない。外交や安全保障など国の基本政策について党内の一致ができないからだ。事実、今回の消費税増税のような党の理念が問われる局面では党内分裂を繰り返してきた。

その民主党にとって支持をつなぎ留める唯一の政治手法がパフォーマンスだった。

現実を踏まえた地道な議論や、関係者からの要望を調整するといった政治が担うべき努力を避け、「大衆受け」だけを狙う政治手法を実践したのが事業仕分けだった。

進行中の事業の廃止や見直しを決める作業は本来、多大な労力が必要とされる。民主党はそれを、テレビカメラの前で、わずかな質疑時間だけで進め、官僚たたきのパフォーマンスを繰り広げた。

その後、事業仕分けで廃止されたはずの事業が姿を変えて復活していたり、予想されたほどのムダ削減にもならず、尻すぼみで終わった。

マニフェスト総崩れ
「政策本位の政治」を破壊し国民の政治不信を招く


「このマニフェストを見て、おじいちゃん、おばあちゃん、7万円もらえるんだ、民主党に入れようと。40年後なんてどこにも書いていないじゃないですか。まさに詐欺的ですよ」(昨年8月10日 衆院決算行政監視委)。

民主党が“目玉”としてマニフェストに掲げた年金制度改革。ところが、最低保障年金7万円(月額)の支給開始予定が40年後であることを“隠した”ことに対し、菅首相(当時)は野党議員から厳しく追及された。

マニフェストについて民主党は、「選挙の前に、その政党と首相候補が合意をして、私たちが政権を担う場合にはこうしますと、あらかじめ方法、期限、財源などを明記して国民に示す。国民はその中身を、政権を選択する判断として投票する。(中略)新政権が発足すると、既に(党内で)合意しているわけですから直ちに実行に移す」(2003年7月 菅代表=当時)などと位置付け、政策本位の政治を呼び掛けていた。

しかし、16.8兆円の「新しい財源を生み出す」とマニフェストに書いたことが、机上の空論であったことが露呈し、現在では民主党自身も認めざるを得なくなっている。

財源が崩れたのだから、前回総選挙で最大の“売り”にしていた子ども手当(1人当たり月額2万6000円を中学卒業まで支給=毎年5.5兆円必要)も挫折。結局、児童手当に戻った。民主党は児童手当の拡充を「バラマキだ」として唯一反対した“実績”があるだけに皮肉な結末だ。

画像を見るまた、社会保障と税の一体改革に関する協議でも、民主党のいいかげんな財源論は厳しくただされ、民自公3党合意で成立した社会保障制度改革推進法(8月)の中でも、マニフェストの内容は大きく後退した【表参照】

政策の基礎となる財源について誤った公約をしたことは、「想定が甘かった」「政権運営に未熟だった」では済まされない。「政権を取れば何でもできる」(各地で今月開かれた民主党の政策進捗報告会の資料)と言わんばかりの傲慢な政治手法があったことを猛省すべきである。

民主党政権の3年間は、「マニフェスト総崩れで国民の政治不信を増大させた」(井上義久幹事長)取り返しのつかない期間であった。

政治倫理の軽視
身内の不祥事に甘い対応。説明責任も防止策も無視


選挙や政治資金に関する政治家の不祥事は、国民の政治不信を招いてきた。特に政権与党は政治倫理に関し、より厳しい対応が求められる。

民主党は野党時代から所属議員の不祥事が相次いでいたが、他党に対する追及の厳しさとは裏腹に、身内の場合は進退を本人任せにするなど甘さが目立っていた。

2003年の衆院選で、民主党議員の関係者が公職選挙法違反で起訴され、連座制適用の前提となる裁判を申し立てられた際、当時の菅代表は「(違法性を)知らなかったことによる一種のケアレスミス(軽率な間違い)だ」(04年1月)と言い放って世間を驚かせた。

政権交代後も、母親からの巨額献金問題で鳩山元首相が窮地に陥っただけでなく、党内から政治資金規正法(政規法)違反などの不祥事が続出。そのたびに野党から証人喚問要求や説明責任を果たすよう迫られてきたが、政治倫理審査会にも証人喚問にも一切応じていない。

また、「秘書がやった」と言って責任を逃れる政治家を許さないため、公明党は、政治家が秘書などの会計責任者に対する監督責任を怠れば、厳しく罰する政規法改正案を国会に提出。野田首相には何回も賛成するよう迫ったが、政治倫理にまともに向き合う姿勢を示さなかった。

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